「出戻り転職」を絶対に阻止すべき元社員の特徴、「優秀だった人」にも要注意のワケPhoto:PIXTA

辞やめた社員しゃいんは「裏切うらぎり者もの」じゃない！
「出戻でもどり転職てんしょく」が歓迎かんげいされ始はじめたワケ

　現代げんだいのビジネス界かいでは「出戻でもどり転職てんしょく」を歓迎かんげいする企業きぎょうが増ふえています。以前いぜんの日本にっぽん企業きぎょうでは、転職てんしょくした社員しゃいんを「裏切うらぎり者もの」のように見みなす風潮ふうちょうがありましたが、そうした考かんがえ方かたは過去かこのものになりつつあります。

　今春こんしゅんの『日経にっけいビジネス』の報道ほうどうによると、伝統でんとう的てきな日本にっぽん企業きぎょうである三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうでもアルムナイ（卒業生そつぎょうせい）採用さいようを導入どうにゅうした結果けっか、中途ちゅうと採用さいようの応募おうぼが殺到さっとうしたとのことです。他たの大手おおても含ふくめ、昨今さっこんは「退職たいしょく者しゃネットワーク」を構築こうちくしてOB・OGとの接点せってんを作つくる動うごきが加速かそくしているようです。

　従来じゅうらいの価値かち観かんでは、一度いちど退職たいしょくした社員しゃいんを簡単かんたんに復帰ふっきさせないことが、従業じゅうぎょう員いんの退職たいしょく防止ぼうしにつながると考かんがえられていました。出戻でもどりを許ゆるしてしまうと、「どうせ簡単かんたんに戻もどれるから」と安易あんいに会社かいしゃを辞やめる人ひとが増ふえるリスクがあったためです。しかし、人手ひとで不足ふそくが顕著けんちょになったこともあり、受うけ入いれる側がわの意識いしきも変かわってきました。

　今いまの価値かち観かんでは、「外そとの空気くうき」を吸すった人ひとが新あらたな知識ちしき・経験けいけんを自社じしゃに持もち帰かえることは、組織そしきを活性かっせい化かする有効ゆうこうな手段しゅだんだとされています。特とくに大手おおて企業きぎょうは、硬直こうちょくした組織そしきを変かえる効果こうかを「出戻でもどり社員しゃいん」に期待きたいするようになりました。

　採用さいようや育成いくせいの手間てまが省はぶけるのも「出戻でもどり採用さいよう」の利点りてんです。膨大ぼうだいな転職てんしょく候補者こうほしゃの中なかから自社じしゃに合あう人材じんざいを選えらぶのは至難しなんの業わざですし、どんなに優秀ゆうしゅうな人ひとが採とれても、新あらたな仕事しごとに慣なれるには時間じかんがかかります。一方いっぽう、OB・OGを迎むかえると即そく戦力せんりょくになりますし、転職てんしょく後ごに獲得かくとくした顧客こきゃく・人脈じんみゃくなどを「持もって帰かえってきてくれる」メリットも見込みこめます。

　ですが、注意ちゅういしておきたいのは「誰だれもが出戻でもどりOKではない」ということです。当然とうぜんながら、在籍ざいせき時じの評価ひょうかや「辞やめ方かた」は問とわれます。低てい評価ひょうかだった人ひとや、揉もめ事ごとを起おこして辞やめていった人ひとが復帰ふっきするのは難むずかしいでしょう。

　さらに言いえば、前回ぜんかいの在籍ざいせき時じに高たかいパフォーマンスを発揮はっきしていた人ひとが、出で戻もどった後のちに再ふたたび活躍かつやくできるとも限かぎりません。人事じんじ側がわは、そのことを念頭ねんとうに置おいて「元もと社員しゃいん」の資質ししつを見極みきわめるべきです。復帰ふっき後ごに「活躍かつやくできる人ひと・できない人ひと」の差さはどこにあるのでしょうか。