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ヘイルトゥリーズン

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ヘイルトゥリーズン(Hail to Reason)とは1958年ねん生うまれのアメリカの競走きょうそう馬ば。

全ちょん米べい2歳さい王者おうじゃになる活躍かつやくを見みせ、種たね牡馬ぼばとしても成功せいこうを収おさめたが
本ほん馬うまの死後しご、極東きょくとうの島しま国くにで子孫しそんが望外ぼうがいの活躍かつやくを見みせた。

馬うま名なは「良識りょうしきに対たいし敬意けいいを表ひょうする、理性りせいに訴うったえる」といった意味いみを持もつ。

概要がいよう

生おい立たち

父ちちTurn-to、母はは Nothir dchance、母はは父ちち Blue Swordsという血統けっとう。
オーナーブリーダーであるイシドア・ビーバーと調教ちょうきょう師しであるハーシュ・ジェイコブズは、「ビーバー・ジェイコブズステーブル」を結成けっせいして長年ながねんに渡わたりサラブレッドの生産せいさんを続つづけていた。そのビーバー・ジェイコブズステーブル名義めいぎのNothir dchanceが1958年ねんに別べつの農場のうじょうで産うみ落おとしたのが本ほん馬うまである。

余談よだんだが、海外かいがいでは生産せいさん者しゃ=母はは馬うまの所有しょゆう者しゃであり、例たとえばシンボリクリスエスはシンボリ牧場ぼくじょうの和田わだ孝こう弘ひろし代表だいひょう(当時とうじ)が米国べいこくで買かった母はは馬うまを米国べいこくの牧場ぼくじょうに預託よたくして産うまれた為ため、生産せいさん者しゃは「Takahiro Wada」と表記ひょうきされている。同様どうようの例れいはエルコンドルパサーやヒシアマゾンがいる。海外かいがい競馬けいばを調しらべていると生産せいさん者しゃがナントカ夫妻ふさいとかになっていたりするが、それは大体だいたい母はは馬うまの所有しょゆう者しゃである。中なかにはガチのオーナーブリーダーもいる。

閑話休題かんわきゅうだい、ヘイルトゥリーズンは幼少ようしょう期きより誰彼だれかれ構かまわず喧嘩けんかを吹ふっかける暴あばれん坊ぼうで、瞬まどかく間かんに厩舎きゅうしゃのボス格かくにまで登のぼりつめる。一方いっぽうで聡明そうめいな馬うまだったというエピソードも残のこっており、この聡明そうめいさが後こうの彼かれを救すくうことになる。

短みじかき競走きょうそう生活せいかつ

ジェイコブズ師しが自みずから調教ちょうきょうを施ほどこし、デビューはなんと2歳さいの1月がつ。道みち営より早はやい。
デビュー戦たたかえ(サンタアニタ、ダート3ハロン)では14頭とう中ちゅう13着ちゃくに敗北はいぼく。その後ごも惨敗ざんぱいを続つづけながらも次第しだいに良りょう化かし、2戦せん連続れんぞく2着ちゃくの後のち、4月がつのアケダクト競馬けいば場じょうで行おこなわれた未み勝利しょうり戦せんで後続こうぞくに9馬うま身みつけ快勝かいしょう。3ヶ月つきで6戦せん。

当時とうじのアメリカ競馬けいばがそういうものだったのかは不明ふめいだが、ジェイコブズ師しが馬うまをとにかく走はしらせる方針ほうしんだった。それ以後いご休やすみなく走はしり続つづけ、5月にステークス競走きょうそうを勝利しょうり。以後いご2歳さいステークス戦せんを走はしりまくり、8月がつ末すえ、当時とうじの米国べいこく2歳さい王者おうじゃ決定けってい戦せんとも言いえるホープフルステークス(6.5ハロン)では後続こうぞくに10馬うま身みつけ、1分ふん16秒びょう0のレコードタイムで圧勝あっしょう。米国べいこくの歴史れきし的まと名めい馬うまであるWhirlawayやNative Dancerがこの競走きょうそうに勝利しょうりしていることから、そりゃもう三さん冠かんのうち一ひとつは確定かくていだろうと呼よべるほど名な声こえが高たかまった……のだが。

次つぎ戦せんのワールズプレイグラウンドSという競走きょうそうを勝利しょうりした数日すうじつ後ご、調教ちょうきょう中なかに落鉄していた蹄鉄てつを思おもえいっきり踏ふんづけてしまい、前ぜん脚あし(文献ぶんけんによって左ひだりだけだったり両前りょうまえ脚あしだったりする)の種子しゅし骨ほねを骨折こっせつ。なんとか石膏せっこうギプスを装着そうちゃくさせて脚あしを固定こていしたい所ところだが、仮かりに馬うまが暴あばれてしまったらその時点じてんでオシャカ。競走きょうそう生活せいかつどころか生命せいめいの危機ききに直面ちょくめんする。

が、ここでヘイルトゥリーズンは暴あばれることなく静しずかに治療ちりょうを受うける。確たしかに彼かれは暴あばれん坊ぼうで知しられたが同時どうじに聡明そうめいであった。引退いんたいを余儀よぎなくされたものの、一命いちめいを取とり留とめることに成功せいこうした。

デビューから僅わずか8ヶ月つきで18戦せん9勝しょう。ステークス競走きょうそう7勝しょう。
1961年ねんのアメリカ二に冠かん馬ばCarry Backとも何なん度どか対戦たいせんしたが、ヘイルトゥリーズンが大おおきく勝かち越こしており、仮かりに故障こしょうしなければ……と考かんがえた人ひとは決けっして少すくなくないだろう。

種たね牡馬ぼば入いり後ご

引退いんたい後のち種たね牡馬ぼばとなる。するといきなりベルモントS・トラヴァーズS 優勝ゆうしょう馬うまHail to All、ハンデ競走きょうそうの女傑じょけつSt raight Dealが輩出はいしゅつされ瞬まどかく間かんに人気にんき種たね牡馬ぼばへと成なり上あがる。
以後いごも順調じゅんちょうに活躍かつやく馬うまを出だし続つづけ、1970年ねんには年度ねんど代表だいひょう馬ば*パーソナリティの活躍かつやくもあり北きた米べいリーディングサイアーに輝てるき、Bold Rulerの八はち連れん荘そうを阻止そしした(1963年ねんからずっとリーディングだったBold Rulerも半端はんぱないなぁ)。

後継こうけい種たね牡馬ぼばにも恵めぐまれ、英えいダービー馬うま Roberto、競走きょうそう馬ばとして二に線せん級きゅうだったHalo、2歳さいGI 優勝ゆうしょう馬うま Stop the MusicがそれぞれGI ホースを輩出はいしゅつした。

また牝めす系けいに入はいっても優秀ゆうしゅうで、母はは父ちちとしては「鉄てつの女おんな」ことTriptych、仏ふつ三さん冠かん牝めす馬うまにして凱旋がいせん門もん賞しょう馬うま Allez Franceを輩出はいしゅつ、またBold Reasoningというどっかの馬うまの骨ほねから米国べいこく三さん冠かん馬ば Seattle Slewが産うまれた。
そしてサイアーライン直系ちょっけいの名な牝めす Fairy Bridgeからは英えい愛あいリーディングサイアー14回かい獲得かくとく、欧州おうしゅうをその血ちで埋うめ尽つくし今いまや世界せかいを席巻せっけんしている大だい種たね牡馬ぼば Sadler's Wellsとその弟おとうと Fairy Kingが産うまれている。

1976年ねん、18歳さいで安楽あんらく死しの措置そちが執とられた。しかし、遺のこされた彼かれの血脈けちみゃくは意外いがいな方向ほうこうへ向むかう。

ヘイルトゥリーズン帝国ていこく、日本にっぽん

1980年代ねんだいの日本にっぽんでは*ノーザンテーストや*ミルジョージ、*テスコボーイが幅はばを利きかせ、Northern Dancer系けいやNasrullah系けいの血ちを持もつ牝めす馬うまが多数たすう存在そんざいし、逆ぎゃくにそれらに配合はいごうできる異こと系けいの種たね牡馬ぼばが求もとむめられていた。そこで白羽しらはの矢やが立たったのがヘイルトゥリーズン系けいの種たね牡馬ぼばである。

まず、Roberto 産さん駒こまの*リアルシャダイが日本にっぽんに輸入ゆにゅうされた所ところいきなり重じゅう賞しょう馬うまを輩出はいしゅつ、2年ねん目め以降いこうにシャダイカグラやイブキマイカグラ、ライスシャワーを送おくり出だす。
続つづけてまたもRoberto 産さん駒こまの*ブライアンズタイムが初年度しょねんどからいきなり三さん冠かん馬ばナリタブライアンとオークス馬うまチョウカイキャロルを輩出はいしゅつ。

今度こんどはHalo 産さん駒こまで米べい年度ねんど代表だいひょう馬ばにも輝てるいた*サンデーサイレンスが……活躍かつやくはご存ぞんじの通とおり。
産さん駒こまが活躍かつやくする、どころか日本にっぽん競馬けいばの在あり方かたすら変かえてしまった。

他たに曾孫そうそんにあたるタイキシャトル、グラスワンダー、シンボリクリスエスが日本にっぽんで競走きょうそう馬ばとして活躍かつやく後ごに種たね牡馬ぼば入いりし、やはり活躍かつやくしている。

かつて名な種たね牡馬ぼばの近ちか親おやをゴッソリ輸入ゆにゅうしては腐くさらせ「父ちち系けいの墓場はかば」と揶揄やゆされた日本にっぽん競馬けいばにおいて、ヘイルトゥリーズンの血統けっとうはガッツリ生いき残のこり、曾孫そうそんにあたるディープインパクトが2018年ねんに英えい2000ギニー優勝ゆうしょう馬うま Saxon Warriorを輩出はいしゅつし逆ぎゃく侵攻しんこうを開始かいし。ハットトリックが仏ふつ年度ねんど代表だいひょう馬ば Dabir simを、シャトル先さきの南半球みなみはんきゅうでフジキセキ、タヤスツヨシ、モーリスがGI 馬うまを輩出はいしゅつしている。(大体だいたいサンデー系けいなのは内緒ないしょ)

日本にっぽん競馬けいばは一過いっか性せいの血統けっとう流行りゅうこうが繰くり返かえされており、Never Say DieやRock fella、*パーソロンや*ノーザンテーストの直系ちょっけいは見みる影かげも無むいが、それをまとめて駆逐くちくしたのがサンデーらヘイルトゥリーズン系けいであり、彼かれらのように別べつの系統けいとうが台頭たいとうし消きえ失うせる……のかなあ。気きになる方ほうは是非ぜひ長生ながいきしよう。サンデーサイレンス導入どうにゅう以降いこうも社台やしろだいや岡田おかだスタッドが異こと系けい種たね牡馬ぼばを導入どうにゅうしているがそれらの父ちち系けいもどうなるのか気きになる方ほうは是非ぜひ長生ながいきしよう。

2017年ねんの種たね牡馬ぼばリーディング上位じょうい20頭とうのうち、ヘイルトゥリーズンの直系ちょっけい父ちち系けいである馬うまは12頭とう。母はは父ちちにヘイルトゥリーズン系けいを持もつ馬うまが1頭とうと、日本にっぽんは世界せかいに冠かんたるヘイルトゥリーズン帝国ていこくであることは疑うたがいようもない。

因ちなみに海外かいがいではアルゼンチンでHalo 産さん駒こま*サザンヘイローがリーディングサイアー7回かいの大だい活躍かつやくで父ちち系けいを広ひろげ、Roberto系けいはElectrocutionistやBarbaroといった大物おおものが早はや世せいし勢いきおいは衰おとろえつつあるが未いまだ健在けんざい。またStop the Musicの系統けいとうは南米なんべいでしぶとく存続そんぞくしている。

Northern DancerとMr. Prospectorによって、現代げんだい競馬けいばからNative Dancerの血ちを持もたないサラブレッドは駆逐くちくされつつある。
Seattle SlewとSadler's Wells・Fairy King 兄弟きょうだいによって、Hail to Reasonの血ちも世界せかいに拡散かくさんしつつある今いま、そうなる未来みらいは絵え空そら事ことでもなんでもない。
彼かれのサイアーラインを世界せかいに広ひろめるのは一体いったい誰だれか。気きになる方ほうは是非ぜひ長生ながいきしよう。

世界せかい平和へいわの意いを込こめて

母ははの名なはNothir dchance(ノーサードチャンス)……つまり「三さん度ど目めはない」という意味いみである。
Nothir dchanceは1948年ねんに産うまれたが、この年としに前後ぜんごして東欧とうおうを中心ちゅうしんに共産きょうさん主義しゅぎ政権せいけんが次々つぎつぎと確立かくりつされ、ドイツの東西とうざい分断ぶんだんなど冷戦れいせん構造こうぞうが出来上できあがった。

本ほん馬うまの名な「Hail to Reason」は前述ぜんじゅつの通とおり「良識りょうしきに対たいし敬意けいいを表ひょうする、理性りせいに訴うったえる」といった意味合いみあいの言葉ことばである。地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせいの打うち上あげや核かく開発かいはつ競争きょうそうの激げき化かもあり、人々ひとびとに対たいし理性りせいある行動こうどうを執とるように呼よびかける願ねがいを込こめて、本ほん馬うまが名付なづけられたことは想像そうぞうに難かたくない。

理性りせいの裏うらに秘ひめた狂気きょうき

上記じょうきの通とおり種たね牡馬ぼばとして大だい成功せいこうを収おさめたヘイルトゥリーズンであったが、サンデーサイレンスやステイゴールドなど子孫しそんは気性きしょう難なんが多おおい。ではヘイルトゥリーズン自身じしんの気性きしょうはというと確たしかに幼少ようしょう期きから喧嘩けんかに明あけ暮くれるほどの荒あらくれ者ものではあったが、骨折こっせつした際さいに怪かい我わがをした際さいに暴あばれることなく苦痛くつうに耐たえた理性りせい的てきな一いち面めんが見受みうけられ、見知みしらぬ他人たにんが来くると忠実ちゅうじつな番犬ばんけんのようにジェイコブス夫人ふじんを守まもろうとしていた。評価ひょうかするなら『賢かしこい馬うま』というほかない。……ここまでは。

ヘイルトゥリーズン産さん駒こまの一いち頭とうであるHalo。サンデーサイレンスの父ちちであり、種たね牡馬ぼばとして多おおくの活躍かつやく馬うまを輩出はいしゅつした同どう馬うまであったが、精神せいしん異常いじょう者ものと言いわれるほどの気性きしょうの持もち主あるじで人ひとを殺ころしかねないほどだった。

ここでとある画が家いえの話はなしをしよう。馬うまの肖像しょうぞう画がを描えがいているリチャード・ストーン・リーヴスという人物じんぶつがいた。彼かれは両方りょうほうの荒あら馬うまを見みており、両りょう馬うまを見み比ひべてこう語かたった。

『Haloも父ちちと比ひべれば並なみの馬うまに見みえる』

……リチャードはヘイルトゥリーズンの何なにを見みたのか。

血統けっとう表ひょう

Turn-to 1951 鹿毛かげ	Royal Char ger 1942 栗毛くりげ	Nearco	Pharos
			Nog ara
		Sun P rin ce ss	Sola rio
			Mumt az Begum
	Source Sucree 1940 黒くろ鹿毛かげ	Admiral Drake	Craig an Eran
			Plucky Liege
		Lav endula	Pharos
			Sweet Lav ender
Nothir dchance 1948 鹿毛かげ FNo.4-n	Blue Swords 1940 鹿毛かげ	Blue Lar ksp ur	Black Servant
			Bl ossom Time
		Fla ming Swords	Man o' War
			Exa lted
	Galla Colors 1943 鹿しか毛もう	Sir Gallahad III	Teddy
			Plucky Liege
		Rouge et Noir	St. Germans
			Baton Rouge