睡眠薬とは (スイミンヤクとは) [単語記事]

ニコニコ大だい百科ひゃっか　：　医学いがく記事きじ
※ご自身じしんの健康けんこう問題もんだいに関かんしては、専せん門もんの医療いりょう機関きかんに相談そうだんしてください。

睡眠薬すいみんやくとは、中枢ちゅうすう神経しんけいの抑制よくせいにより眠ねむりをもたらす薬くすり剤ざいである。催眠さいみん薬やく、眠ねむり剤ざいとも言いう。

※ここは普通ふつうに睡眠薬すいみんやくを扱あつかった記事きじです。サッー！（迫真はくしん）関連かんれんの話題わだいはこちらの記事きじなどでｵﾅｼｬｽ！

概要がいよう

睡眠薬すいみんやくは様々さまざまな種類しゅるいがあるが、作用さようするのは共通きょうつうして「脳のうのGABA_A受容じゅよう体たい」である。GABA_A受容じゅよう体たいは「Cl^－チャネル」という、細胞さいぼう内うちにCl^－イオンを流入りゅうにゅうさせて脳のうの興きょう奮（脱だつ分極ぶんきょく）を抑おさえる部位ぶいを持もっており、睡眠薬すいみんやくはこのCl^－チャネルを開ひらかせて脳のうを鎮静ちんせいさせる薬くすり物ものである。作用さよう機き序じょや作用さよう時間じかんによって分類ぶんるいされる。

ちなみに、酒さけで摂取せっしゅされたアルコールもGABA_A受容じゅよう体たいの別べつの部位ぶいへと作用さようする。酒さけを呑むと眠ねむたくなるのはこのためである。薬くすりと酒さけを同時どうじに飲のむと危あぶないことが多おおいが、睡眠薬すいみんやくの場合ばあいは作用さようがカブって増強ぞうきょうされてしまうわけだ。

※当あたり前まえですが、薬くすりの効きき方かたには個人こじん差さがあります。本ほん記事きじをあまり鵜う呑みにすると効きくものも効きかなくなる可か能のう性せいもあります。繰くり返かえしになりますが、ご自身じしんの健康けんこう問題もんだいに関かんしては専せん門もんの医療いりょう機関きかんにご相談そうだんください。

ベンゾジアゼピン系けい

トリアゾラム トリアゾラム

1963年ねん頃ころから使つかわれ始はじめた、比ひ較的新あたらしい睡眠薬すいみんやく。作用さよう点てんはGABA_A受容じゅよう体たいの「ベンゾジアゼピン結合けつごう部位ぶい」。GABA_A受容じゅよう体たいとGABAとの結合けつごう親和しんわ性せいを高たかめて、Clチャネルの開口かいこう頻度ひんどを高たかめる。同おなじ結合けつごう部位ぶいに作用さようするものの、ベンゾジアゼピンの構造こうぞうは持もたない「非ひベンゾジアゼピン系けい睡眠薬すいみんやく」もある。拮抗きっこう薬くすりとして同どう部位ぶいに結合けつごうする「フルマゼニル」があり、併用へいようするとベンゾジアゼピン系けいの作用さようを減げん弱じゃくさせる。

その安全あんぜん性せいと効果こうかの高たかさから、向こう精神せいしん薬やくや睡眠薬すいみんやくの勢いきおい力ちから図ずが一気いっきにこれに入いれ替かわった。

レム睡眠すいみんを抑制よくせいしない、自然しぜんに近ちかい睡眠すいみん作用さようが特徴とくちょう。薬くすり物もの代謝たいしゃ酵素こうそを誘導ゆうどうしないため薬くすり物もの耐たい性せいが起おこりにくい。といっても長期ちょうき的てきに投与とうよすると、受容じゅよう体たいの減少げんしょうで耐たい性せいや依存いぞん性せいが生しょうじるので注意ちゅういが必要ひつようである。高こう用量ようりょうになるに従したがい、抗こう不安ふあん→抗こうけいれん→筋すじ弛緩しかん→鎮静ちんせい→催眠さいみんの作用さようを発現はつげんするため、用量ようりょうにより別べつの症状しょうじょうにも適応てきおうすることができる。

他たの副作用ふくさようとして、長時間ちょうじかん型かたによる次つぎの日ひへの眠気ねむけの持もち越こし効果こうか、短時間たんじかん型かたによる前ぜん向性こうせい健忘けんぼう、短時間たんじかん型かたの連用れんよう中止ちゅうしによる反はん跳とべ性せい不眠ふみん、不安ふあんの高たかまりによる幻覚げんかく、高こう用量ようりょうでの呼吸こきゅう抑制よくせいなどがある。呼吸こきゅう抑制よくせいに対たいしては、前述ぜんじゅつのフルマゼニルにより作用さようを抑おさえて対処たいしょする。また、突然とつぜん断だん薬くすりすると痙攣けいれんや発はつ汗あせ、動悸どうきなどの退すさ薬くすり症状しょうじょうがみられる。

種類しゅるい	薬くすり物もの名めい（主あるじな商品しょうひん名めい）	備考びこう
超ちょう短時間たんじかん型かた	トリアゾラム（ハルシオン）	おそらく日本一にっぽんいち有名ゆうめいな睡眠薬すいみんやく。77年ねんの発売はつばい当時とうじは中長期ちゅうちょうき型かたの睡眠薬すいみんやくしか存在そんざいしておらず、3～4時じ間あいだで切きれるというメリットから世界せかい的てきにヒットした。しかし安やす全域ぜんいきが狭せまいというデメリットがあり、ハルシオンを危険きけん視しする声こえは次第しだいに高たかまっていった。そして91年ねんに、英国えいこく BBCがこれを取とり扱あつかったドキュメンタリー番組ばんぐみを放映ほうえい。これを各かく国くにのマスコミが針小棒大しんしょうぼうだいに煽あおりまくり、多おおくの国くにがトリアゾラムの採用さいようを中止ちゅうしした。日本にっぽんでも保管ほかん場所ばしょに鍵かぎをかけるなど第だい三種さんしゅ向こう精神せいしん薬やくとは思おもえない厳重げんじゅうさで取とり扱あつかう病院びょういんも出でたほど。が、日本にっぽんではそれほど騒さわがれず現在げんざいも使用しようされている。ちなみに、日本にっぽんは全ぜん世界せかいに流通りゅうつうするハルシオンの約やく6割わりを消費しょうひしている。危険きけん性せいが注ちゅう目めされがちだが、不安ふあんを伴ともなう不眠ふみんに関かんして右みぎに出でる者ものはない。
	ゾピクロン（アモバン）	非ひベンゾジアゼピン系けい睡眠薬すいみんやく。ハルシオンに比ひべて副作用ふくさようが少すくなく、一躍いちやくスターダムにのし上あがる・・・と思おもわれたが、思おもわぬ落おとし穴あながあった。この薬くすり、めちゃめちゃ苦にがいのである。その苦にがさたるや、飲のみ込こんでも血液けつえきから唾液だえきに流ながれ込こみ、唾液だえきが一いち日にち中ちゅう苦にがくなるほど。良りょう薬くすり口くちに苦にがすぎたか、翌年よくねん発売はつばいされたマイスリーにお株かぶを奪うばわれた。現在げんざいは唾液だえき分泌ぶんぴつが少すくないお年寄としよりを中心ちゅうしんに人気にんきを集あつめる隠かくれた優等生ゆうとうせい。ちなみに「アモバン」の由来ゆらいは「あぁもう晩ばん」という脱だっ力ちからのネーミングである。
	エスゾピクロン（ルネスタ）	名前なまえの通とおり、ゾピクロンの「S体からだ」。いわゆる鏡かがみ像ぞう異性いせい体からだというやつである。苦味にがみの原因げんいんであった「R体からだ」を取とり除のぞき、ゾピクロンと同様どうようの（しかも強つよい）効果こうかを得えられるようにした上位じょうい互換ごかんver.といったところ。上位じょうい互換ごかんらしく、薬くすり価あたいもお高たかい。苦味にがみを取とり除のぞいたといっても、まだ苦にがいという声こえもある。これは人ひとによりけりだろうが……。なお、ルネスタの名前なまえの由来ゆらいは「lune（月つき）」と「star（星ほし）」らしく、メーカーは星ほし柄えのツキノワグマをマスコットにしている。
	ゾルピデム（マイスリー）	非ひベンゾジアゼピン系けい。睡眠薬すいみんやくの中なかでも世界せかいトップクラスの人気にんきを誇ほこる。その魅み力ちからは即効そっこう性せいと代謝たいしゃの速はやさ。そして「ωおめが1選択せんたく性せい」である。ベンゾジアゼピン受容じゅよう体たい（ベンゾジアゼピン結合けつごう部位ぶい）にはωおめが1やωおめが2などのサブタイプがあり、肝心かんじんの催眠さいみん効果こうかはωおめが1に、ωおめが2には抗こう不安ふあん、筋すじ弛緩しかんなど睡眠すいみん以外いがいの効果こうかがある。マイスリーはωおめが1に作用さようしやすく、余計よけいな作用さようを起おこしにくいのである。が、筋すじ弛緩しかん作用さようの弱よわさから、短時間たんじかん型かたベンゾジアゼピン系けいにみられる「前ぜん向性こうせい健忘けんぼう（異常いじょう行動こうどうと記憶きおく欠落けつらく）」という副作用ふくさようが起おきやすい。「頭あたまは寝ねているけど体からだは寝ねていない」ような状態じょうたいになるためだと思おもわれる。飲のんだら夜よる更ふかしせずにさっさと寝ねましょう。名前なまえの由来ゆらいは「My sleep」。
短時間たんじかん型かた	ミダゾラム（ドルミカム）	睡眠薬すいみんやくよりも静脈じょうみゃく麻酔ますいに用もちいられることが多おおい。静脈じょうみゃく麻酔ますいは吸入きゅうにゅう麻酔ますいに比ひべて導入どうにゅうが早はやく、手術しゅじゅつ時じの全身ぜんしん麻酔ますいをかけ始はじめるのに向むいている。静脈じょうみゃく麻酔ますいに用もちいられるチオペンタール、チアミラールとは異ことなり、喘息ぜんそくを持もった患者かんじゃに対たいしても使つかうことができるアドバンテージがある。
	ブロチゾラム（レンドルミン）	「チエノジアゼピン系けい」と呼よばれる骨ほね格かくを持もつ化合かごう物ぶつ。ハルシオンの危険きけん性せいが騒さわがれると、それに乗じょうじて一気いっきにシェアを伸のばした。 2000年ねんにマイスリーが登場とうじょうするまでの10年間ねんかん、日本にっぽんの睡眠薬すいみんやく市場いちばでは3割わりのトップシェアを確立かくりつ。マイスリーに販売はんばい額がくでは逆転ぎゃくてんされたものの、薬くすり価あたいの安やすさから流通りゅうつう量りょうでは未いまだにマイスリーを上回うわまわる。副作用ふくさようが少すくないためよく処方しょほうされるが、その分ぶん効きき目めが弱よわいという声こえも……。
	ロルメタゼパム（エバミール）	ドイツ生うまれ。早はやい作用さよう発現はつげん、抗こう不安ふあん作用さようなど隠かくれた良作りょうさくであったが、日本にっぽんでの販売はんばい網もうの弱よわさからあまりメジャーになりきれなかった。共同きょうどう開発かいはつしていた別べつの会社かいしゃからは「ロラメット」という名前なまえで販売はんばいされたが、販売はんばい会社かいしゃの合併がっぺいやら販売はんばい提携ていけいやら社名しゃめい変更へんこうやらの「お家いえ騒動そうどう」に振ふり回まわされ、これまたマイナーな存在そんざいに甘あまんじている。
	リルマザホン（リスミー）	体内たいないで代謝たいしゃされてベンゾジアゼピン構造こうぞうを持もつ、いわゆる「プロドラッグ」。 ……なのだが、いかんせんそのせいで効果こうかを発揮はっきする効率こうりつが悪わるい。分解ぶんかい産物さんぶつが複数ふくすう生うまれてそれぞれ催眠さいみん作用さようを示しめすのだが、例たとえて言いえば「豆腐とうふ料理りょうり食たべたいから大豆だいず買かってきました」みたいなもんである。それぞれの効果こうか発現はつげんに時間じかんがかかり、作用さようも貧弱ひんじゃくで、しかもその内うちの一ひとつが長時間ちょうじかんの作用さようを持もつため体からだに残のこりやすく……と良よいとこなし。とは言いっても、肝臓かんぞうで代謝たいしゃされないメリットがあるため、感受性かんじゅせいが高たかいために普通ふつうの睡眠薬すいみんやくがキツい人じんや、肝臓かんぞうの弱よわい人ひとなどに需要じゅようがある。名前なまえの由来ゆらいは「自然しぜんの『リズム』に近ちかい」から。でもそれ効きいてないってこt
中時なかとき間あいだ型かた	エスタゾラム（ユーロジン）	日本にっぽんの武田たけだ製せい薬くすりが自社じしゃ開発かいはつした。強つよ力ちからな入にゅう眠ねむり、熟眠じゅくみん作用さようがあるということで鳴なり物入ものいりで登場とうじょうしたが、薬くすりの切きれが悪わるく、相性あいしょうの悪わるい人ひとは効ききづらいことからあまり人気にんきがない。サイレースなどにその地位ちいを奪うばわれているというのが実情じつじょうである。
	ニトラゼパム（ベンザリン）	63年ねんに合成ごうせいされた、ベンゾジアゼピンでは初はつの睡眠薬すいみんやく。マイナスイメージの付つきまとう「睡眠薬すいみんやく」の世界せかいに新あらたな風ふうを吹ふき込こんだ。ベンザリン登場とうじょうで睡眠薬すいみんやく界かいは一気いっきにベンゾジアゼピン一色いっしょくに塗ぬり替かわり、多おおくの新しん薬くすりが登場とうじょうすることになる。それに伴ともなってベンザリンは一線いっせんを退しりぞいたものの、新しん薬くすり試験しけん時どきの比ひ較対象ぞう薬くすりとして長年ながねん用もちいられた。そのため多おおくの文献ぶんけんが存在そんざいし、効果こうかも熟知じゅくちされているため根強ねづよく人気にんきあり。てんかん治療ちりょうにも使つかわれるため、処方しょほう日数にっすう制限せいげんが90日にちと長ながいというメリットもある。
	ニメタゼパム（エリミン）	構造こうぞう的てきにはベンザリンにメチル基もとをくっつけただけのもの。ほぼ同一どういつに扱あつかう文献ぶんけんも多おおく、特とくにアドバンテージもない。というか、エリミンを出だすくらいなら実績じっせきのあるベンザリンが出だされるため、人気にんきはいまいち。が、筋すじ弛緩しかん作用さようの強つよさからダウナー系けいの薬くすり物ものとして人気にんきがあったりする。薬くすりは使用しよう上じょうの注意ちゅういをよく読よみ、用法ようほう用量ようりょうを守まもって正ただしくお使つかいください！人気にんきが低ひくく悪わる目め立たちしていたこともあり、2015年ねん 11月をもって販売はんばい中止ちゅうしとなった。
	フルニトラゼパム（サイレース）	半減はんげん期きが約やく7時じ間あいだと、人間にんげんの睡眠すいみん時間じかんに近ちかいため人気にんきが高たかい。また脂あぶら溶性ようせいが低ひくく、肥満ひまん型かたの患者かんじゃに対たいしても十分じゅうぶんな効果こうかを発揮はっきする。このように日本にっぽんでは人気にんきがあるが、アメリカでは全まったく逆ぎゃくである。メジャーな解熱げねつ鎮痛ちんつう薬やく、バファリンこと「アスピリン」との飲のみ合あわせが禁忌きんきとなっており、サイレースはアメリカでは麻薬まやく指ゆび定じょうされている。もちろん用法ようほう用量ようりょうを守まもって使つかえばサイレースは安全あんぜんな薬くすりであるが、許可きょか無むく持もち込こむと逮捕たいほされる可か能のう性せいもある。注意ちゅういしよう。
長時間ちょうじかん型かた	クアゼパム（ドラール）	薬くすり価あたい精度せいどがなく、メーカーが好すきに値段ねだんを付つけられる米国べいこくの製せい薬くすり企業きぎょうが開発かいはつしたため、他たと比ひべて薬くすり価あたいが段違だんちがいに高たかい。体内たいないへの吸収きゅうしゅうが悪わるく、飲のんでも15％ほどしか利用りようされない。しかし脂あぶら溶性ようせいが高たかいため、うっかり脂あぶらっこい食事しょくじの後のちに飲のむと2～3倍ばいも吸収きゅうしゅうしてしまい危険きけんである。そのためベンゾジアゼピンでは唯ただ一いち、食事しょくじ後ごの投与とうよが不可ふかとなっている。分解ぶんかい速度そくども非常ひじょうに遅おそく、翌よく朝あさに効果こうかを持もち越こしてしまうこともしばしば。だが逆ぎゃくに分解ぶんかい速度そくどの遅おそさから、反はん跳とべ性せい不眠ふみんを起おこしにくいメリットがある。ゾルピデム同様どうように、ωおめが1選択せんたく性せいの高たかい睡眠薬すいみんやくである。
	フルラゼパム（ダルメート）
	ハロキサゾラム（ソメリン）

バルビツール酸さん系けい

1903年ねん頃ごろから使つかわれている旧きゅう世代せだいの睡眠薬すいみんやく。「睡眠薬すいみんやくによる自殺じさつ」というと、だいたいこいつのせいである。

芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ（1892～1927）もアモバルビタールやブロモバレリル尿素にょうそ（ブロムワレリル尿素にょうそ）などで自殺じさつしたとされる。

催眠さいみん作用さようの他ほかに強つよい依存いぞん性せいや急性きゅうせい中ちゅう毒どくがあるため、現在げんざいは抗こうけいれん薬くすりや静脈じょうみゃく麻酔ますいなどに応用おうようされている。

作用さよう点てんはGABA_A受容じゅよう体たいのバルビツール酸さん結合けつごう部位ぶい。結合けつごう後ごの作用さようはバルビツール酸さん系けいとほぼ同おなじだが、高こう用量ようりょうを投与とうよすると、直接的ちょくせつてきにCl^－チャネルを開口かいこうさせる作用さようも持もつ。ベンゾジアゼピン系けいではチャネル開口かいこうが脳のう内うちのGABA量りょうに依存いぞんしているので鎮静ちんせい作用さようはタカが知しれているのだが、こちらは飲のめば飲のむほど作用さようが強つよく出でてしまうわけである。

ノンレム睡眠すいみんを延長えんちょうさせる（つまりムリヤリ深ふかく眠ねむらせる）催眠さいみん作用さようが特徴とくちょうだが、それにより起床きしょう時じに不快ふかい感かんをもたらす。副作用ふくさようとしては頭痛ずつう、めまい、脱だっ力ちから感かんなどのほか、翌日よくじつへの持もち越こし効果こうかなどがある。またバルビツール酸さん系けいは、慢性まんせい投与とうよで薬くすり物もの代謝たいしゃ酵素こうそを誘導ゆうどうするため、耐たい性せいや他たの薬くすり物ものとの相互そうご作用さようをもたらす。

急性きゅうせい中ちゅう毒どくの症状しょうじょうには、生命せいめい活動かつどうを司つかさる延髄えんずいの抑制よくせいによる昏睡ねむや血圧けつあつ下降かこう、呼吸こきゅう麻痺まひなどがある。つまり、飲のみまくると生命せいめい活動かつどうが抑制よくせいされて死しぬのである。解かい毒どくには興きょう奮薬くすりの「ジモルホラミン」を用もちいて、延髄えんずいの働はたらきを復活ふっかつさせる。

すごく大雑把おおざっぱに言いえば「ベンゾジアゼピン系けいより強つよ力ちからに効きくが、体からだへのダメージも大おおきく、耐たい性せいがつきやすい」という厄介やっかいなやつらである。必かならず医師いしや薬剤師やくざいしの指ゆび示しめせに従したがい、用法ようほう用量ようりょうを守まもって使つかうことが大切たいせつである。

種類しゅるい	薬くすり物もの名めい（商品しょうひん名めい）	備考びこう
超ちょう短時間たんじかん型かた	チオペンタール	主あるじに静脈じょうみゃく内ない麻酔ますいとして用もちいられる。ヒスタミン遊離ゆうり作用さようがあるため、気管支きかんし喘息ぜんそくの患者かんじゃには投与とうよ禁忌きんきである。鎮痛ちんつう、筋すじ弛緩しかん作用さようはないが、効ききが早はやいので手術しゅじゅつ時じの全身ぜんしん麻酔ますい導入どうにゅうに使つかわれる。
超ちょう短時間たんじかん型かた	チアミラール
短時間たんじかん型かた	ペントバルビタール（ラボナ）	昔むかしながらの睡眠薬すいみんやくであり、現在げんざい用もちいられることはあまりない。ベンゾジアゼピン系けいの薬くすりをいろいろ試ためしてみて、それでも駄だ目めだった場合ばあいに仕方しかたなく出だされる、という感かんじの立たち位置いちである。
短時間たんじかん型かた	セコバルビタール（アイオナール）	注射ちゅうしゃ剤ざいのみで、錠剤じょうざいなどは製造せいぞう販売はんばいされていない。第だい一いち種しゅ向こう精神せいしん薬やくに指ゆび定じょうされており、最もっとも厳きびしく規制きせいされる向こう精神せいしん薬やくである。このレベルの規制きせいを受うける医薬品いやくひんは、アイオナールを除のぞけば覚醒かくせい作用さようと依存いぞん性せいのある薬くすり物もの（リタリンなど）くらいである。
中時なかとき間あいだ型かた	アモバルビタール
長時間ちょうじかん型かた	バルビタール
長時間ちょうじかん型かた	フェノバルビタール（フェノバール）	ラボナと同おなじく、仕方しかたなく出だされるタイプの睡眠薬すいみんやく。かつてベゲタミンという配合はいごう錠じょうも販売はんばいされていたが、現在げんざいは製造せいぞう販売はんばい中止ちゅうし。抗こうけいれん作用さようがあり、現在げんざいは主あるじに抗こうてんかん薬くすりとして用もちいられる。

抗こうヒスタミン薬やく

上記じょうきのベンゾジアゼピン系けい・バルビツール系けいと違ちがい「脳のうのGABA_A受容じゅよう体たい」に作用さようするものではないが、睡眠すいみん改善かいぜん薬くすりとしても利用りようされているので触ふれておく。

“第だい一いち世代せだい抗こうヒスタミン薬やく”と呼よばれている「ジフェンヒドラミン」は中枢ちゅうすうのヒスタミン受容じゅよう体たいに拮抗きっこうすることによって炎症えんしょうなどを抑制よくせいするのだが”副作用ふくさよう”として顕著けんちょな催眠さいみんが見みられていた。

その副作用ふくさようとして現あらわれる催眠さいみん性せいを逆ぎゃくに利用りようしたものが「ドリエル」など、ドラッグストアで買かえる睡眠すいみん改善かいぜん薬くすりである。

メラトニン製剤せいざい

メラトニンとは、生体せいたいリズムを調整ちょうせいする作用さようのあるホルモンである。これの受容じゅよう体たいに作用さようすることで、体内たいないリズムを調整ちょうせいするのがメラトニン製剤せいざいである。上記じょうきのベンゾジアゼピン系けい・バルビツール酸さん系けいなどと比ひべ、習慣しゅうかん性せい・耐たい性せいが生しょうじにくいのが特徴とくちょう。ただ単体たんたいでは抗こう不安ふあん作用さようや鎮静ちんせい作用さようは持もたないため、不安ふあんによる不眠ふみんには向むかないことがある。