鮎とは (アユとは) [単語記事]

鮎あゆ（アユ）とは、お魚さかなである。香こう魚さかなと書かいてもアユと読よむ。

曖昧あいまいさ回避かいひ

歌手かしゅ浜崎はまざきあゆみを指ゆびすスラング。
川原かわはら鮎あゆ - ドリームキャスト用ようゲームソフト｢北きたへ。White Ill umination｣のヒロインの一人ひとり。
若林わかばやし鮎あゆ - ゲーム｢同窓会どうそうかい｣シリーズのヒロインの一人ひとり。

概要がいよう

薄うすい金色きんいろというような独特どくとくな色合いろあいの、滑なめらかな姿態したいをした川かわ魚さかな。この美よししさからか「鮎子あゆこ」とか女おんなの子この名前なまえに使つかわれる事こともあるが、元々もともと鮎あゆという字じはナマズを指ゆびした。それが日本にっぽんではヒゲの連想れんそうから、鮎あゆになった経歴けいれきがある。

鮭さけと同おなじように川かわで生うまれ、海うみに下くだり、育そだったら川かわを遡さかのぼって産卵さんらんする。ちなみに一いち年ねん魚さかなである。

小ちいさい内うちはプランクトンや虫むしなんかを食たべているが、川かわを遡さかのぼる頃ころには石いしなんかにこびりついた苔こけ類るいなんかを食たべるようになる。この苔こけが良よいのか、アユからは果物くだものみたいな香かおりがするのである。メロン、スイカ、きゅうりとかそんな感かんじの青あおっぽい匂においであるので、嫌きらう人ひともいる。ちなみに、川かわが綺麗きれいなところのアユはより良よい香かおりがする（雨あめが降ふらずに苔こけが腐くさったり、水みずがにごると香かおりが悪わるくなる）。アユが大量たいりょう遡上そじょうするシーズンには川かわ全体ぜんたいでアユの香かおりがする。

大体だいたい5月くらいから川かわを遡さかのぼり始はじめる。川かわに行いくと岩いわや石いしに削けずったような後のちが見みられるようになるが、これが所謂いわゆる「アユの食はみ跡あとである」。橋はしの上うえなんかから見みていると、苔こけを食たべるために石いしに身体しんたいを擦こすり付つける際さい、アユが翻ひるがえってぴかっと光ひかりるわけだが、これが多おおくなるとなんかフラッシュを焚たいたみたいにそこらじゅうがピカピカしだす。

そうなると、アユ釣つり師しのおっちゃんたちはもうソワソワ。竿ざおを出だして磨みがいたり、ウエットスーツを干ほしたりと準備じゅんびに余念よねんがなくなる。釣具つりぐ屋やの配置はいちがアユ物もの一色いっしょくに塗ぬり換かわるのも風物詩ふうぶつし。

その頃ころ、川かわにのこのこ現あらわれると殺気さっき立たった漁協ぎょきょうのおっちゃんたちを見みる事ことが出来できる。バス竿ざおなんか持もって歩あるこうものなら怒鳴どなりつけられかねない。なんとなれば、漁協ぎょきょうにとってアユは特別とくべつ。毎年まいとし毎年まいとし大量たいりょう放流ほうりゅうして、釣つり師しや投網なげあみ師しから漁業ぎょぎょう券けん代だいを徴収ちょうしゅうし、簗やなで獲えって観光かんこう客きゃくや市場いちばに出荷しゅっかして、漁師りょうし（漁協ぎょきょう）の生活せいかつを支ささえてくれる神かみ聖きよしなお魚さかななんである。つーか、内うち水みず面めん漁協ぎょきょうなんてほとんどアユで食くってる。おっちゃんたちは密猟みつりょうや川かわを荒あらす行為こういを監視かんしし、カワウをおっぱらい、アユの無む事ことな成育せいいくと遡上そじょうを祈いのるのである。

6月がつ辺あたりになると、アユ釣つりの解禁かいきんが始はじまる。熱心ねっしんな人ひとになるとテントを張ちょうって深夜しんや販売はんばいならぬ深夜しんや解禁かいきんを待まつアキバのゲーマー顔負かおまけのおっちゃんもいる（内うち水みず面めんの夜よる釣つりは禁止きんし）。

普通ふつう、アユは友とも釣つりといって、アユが縄張なわばりを主あるじ張ちょうするお魚さかなである事ことを利用りようする釣つりで釣つる。糸いとの先さきにおとりアユをセット。この周まわりに掛かけ針はりを流ながし、おとりをアユの縄張なわばりに送おくり込こむ。するとアユは怒おこって「何なにしとんじゃぁ！われ!!」と、おとりアユに体当たいあたりをかましてくる。すると掛かけ針はりにアユが掛かかってしまう。まぁ、考かんがえた人ひと天才てんさいじゃね？という釣つり法ほうである。この友とも釣つりを始はじめたのは和歌山わかやま県けんの日置ひおき川かわであるとされている。

言葉ことばにすれば簡単かんたんだが、これが難むずかしく、アユのいる場所ばしょを見極みきわめ、おとりアユを自然しぜんに、しかもすばやく縄張なわばりエリアに侵入しんにゅうさせるのには技術ぎじゅつがいる。ついでに言いうと、アユの竿ざおは大体だいたい10ｍ前後ぜんこうと長ながく、取とり回まわしが難むずかしい。結構けっこうな激げき流りゅうに立たちこんで釣つることも多おおく、なかなかハードな釣つりである。

川かわの両側りょうがわに所ところ狭せましと鮎あゆ師しが立たって物凄ものすごく長ながい竿ざおを並ならべている姿すがたは夏なつの風物詩ふうぶつしだが、近年きんねんは鮎あゆ師しの数かずが減へってしまって少すこし寂さびしくなっている。その原因げんいんは簡単かんたんに言いえば昔むかしほど釣つれなくなったからで、これはアユの遡上そじょうが減へっている事こと。更さらに放流ほうりゅう鮎あゆに冷ひや水みず病やまいという皮膚ひふ病びょうみたいなのが蔓延まんえんして大量たいりょうに死しんでしまう事こと。更さらに少すくなくなったアユどもが仲良なかよく苔こけを分わけ合あうようになって、縄張なわばりを作つくらないようになった事ことなどが原因げんいんだという。

そもそも鮎あゆ釣つりは用具ようぐが高たかく（竿ざおなんて安やすくても10万まん円えん近ちかい）川かわの良よいポジに進入しんにゅうするには四よん駆かがいるなど、始はじめるのにハードルが高たかい釣つりなんである。魚さかな券けんもアユのは特別とくべつで、ひときわ高たかい。

でも、やってみれば奥おくが深ふかくて面めん白しろいので、釣つりが好すきなんならやってみれば良よい。

鮎あゆ釣つりの楽たのしみの一ひとつは、アユがおいしい魚さかなだと言いう事こと。川かわ魚さかな特有とくゆうの泥臭どろくささがなく、淡あわ白しろな上品じょうひんな味あじで大変たいへんおいしい。苔こけしか食たべない時期じきのワタはほろ苦にがくて美味うまい。塩しお焼やきが基本きほんだが、てんぷらやフライなんかにしてもいける。川かわ魚さかなだからナマはNG。ただ、小ちいさい魚さかななんで食くい出でが無むい。大おおきいのは大味おおあじでおいしくないし。また、大量たいりょうに釣つれる事こともあるので毎週まいしゅう食くっていると流石さすがに飽あきる。その時ときは冷凍れいとうしてお中元ちゅうげんお歳暮せいぼにしたり、正月しょうがつに食くったりする。

料亭りょうていとかで提供ていきょうされるアユはほとんどが養殖ようしょくものであり、天然てんねんものはなかなか手てに入はいらない。放流ほうりゅう物ぶつも多おおい。遡上そじょう物ぶつは味あじがピュアで本当ほんとうに一味いちみ違ちがい、味あじわいたければ天然てんねん鮎あゆの産地さんちに行いくか自分じぶんで釣つるなどの手間てまを惜おしまない必要ひつようがある。

最近さいきんは日本にっぽんの河川かせんの水みず質しつが良よくなって、多摩川たまがわなんかでも獲えれるようになっている。ただ、それこそ無む差別さべつに放流ほうりゅうしているせいで、川かわごとのアユの特色とくしょくが無むくなってしまったという話はなしもあり、環境かんきょう水みず準じゅんを測はかるために鮎あゆを放流ほうりゅうする場合ばあいも多おおい。

ちなみに、ブラックバスのアングラーとは敵対てきたいしていると思おもわれるが、アユは流ながれ水みず域いきを好このむ魚さかなに対たいし、ブラックバスは止どめ水みず域いきを好このむ淡あわ水みず魚さかな（それでダム湖みずうみに多おおい）であり、厳密げんみつには棲息せいそくエリアが異ことなっている。ブラックバスは鮎あゆを捕食ほしょくするのが目めの敵てきにされている理由りゆうだが、そもそも鮎あゆは養殖ようしょくが比ひ較的簡単かんたんなので、稚やや魚さかな放流ほうりゅうだけでも一いち河川かせんあたり数すう万まん～数すう十じゅう万まん匹ひきという世界せかいであり、釣つられる鮎あゆより海うみや川かわで捕食ほしょく、瀬せ切きれによって干ひからびる鮎あゆの方ほうが圧倒的あっとうてきに多おおい。

関連かんれん記事きじにもあるようにドラガン・ストイコビッチは鮎あゆ、とりわけ塩しお焼やきが大だい好物こうぶつで、名古屋なごやグランパスの練習れんしゅう場ばがある飛騨ひだ古川ふるかわでいつも鮎あゆ解禁かいきんシーズンを心待こころまちにしていたという（自分じぶんで釣つったりはしなかった）。また頑張ちょうって流ながれに逆流ぎゃくりゅうする鮎あゆを見習みならえと選手せんしゅらを鼓舞こぶしたこともある。