コラム：人間にんげん食たべ食たべカエル　テラー小屋こや - 第だい53回かい

良質りょうしつな残酷ざんこく&胸糞むなくそホラームービーに仕上しあがっていた「恐おそれ解釈かいしゃく　花咲はなさきか爺じいさん」

(C)恐こわ解釈かいしゃく製作せいさく委員いいん会かい

「花咲はなさきか爺じいさん」を知しらない人ひとは少すくないだろう。「枯かれ木きに花はなを咲さかせましょう！」「ここ掘ほれワンワン」というキラーフレーズとともに多おおくの人ひとに浸透しんとうしている有名ゆうめいな童話どうわだ。これは、正直しょうじき爺じいさんと欲張よくばり爺じいさんという2人ふたりの老人ろうじんの物語ものがたり。飼かい犬いぬのおかげで大金たいきんを得えた正直しょうじき爺じいさん一家いっかが、欲張よくばり爺じいさんの強欲ごうよくさによって苦痛くつうを味あじわうが、紆余曲折うよきょくせつあって欲張よくばり爺じいさんにバチが当あたってめでたしめでたしという内容ないようだ。直球ちょっきゅうの因果応報いんがおうほうモノではあるものの、愛犬あいけんが殺害さつがいされるなど残酷ざんこくな一いち面めんも印象いんしょうに残のこる。

さて、そんな有名ゆうめいなお話はなしを「恐おそれ解釈かいしゃく」したらどうなるだろうか。何故なぜだか知しらないが、そんな試こころみをしたクリエイターたちがいた。花咲はなさきか爺じいさん要素ようそはそのままに、舞台ぶたいは現代げんだいに置おき換かえ、話はなしはより残酷ざんこくに、キルカウントも増ふやす。こうして、立派りっぱなホラー映画えいがへと変貌へんぼうを遂とげた「恐おそれ解釈かいしゃく　花咲はなさきか爺じいさん」が爆ばく誕した。

本ほん作さくのあらすじの大枠おおわくは元もとの話はなしと一緒いっしょだ。原作げんさくと異ことなる部分ぶぶんとしては、欲張よくばり爺じいさんには2人ふたりの娘むすめと孫まごがいて、ストーリーは彼女かのじょたちを中心ちゅうしんに進すすむというところ。あと、欲張よくばり爺じいさんは普通ふつうにシリアルキラーで、感情かんじょうを無なくした孫まごの笑顔えがおを取とり戻もどすために日々ひび人じんを殺ころしては家いえで解体かいたいをしているという点てんも大おおきな変更へんこう点てんである。

劇げき中ちゅうの大半たいはんは、欲張よくばり爺じいさんら家族かぞくの日常にちじょうと、それに巻まき込こまれた外部がいぶの人ひとたちという組くみ合あわせで話はなしが進すすむ。そこに、隣となりに住すむ正直しょうじき爺じいさんと優やさしいお婆ばあさんと愛犬あいけんがたまに出でてきて、欲張よくばり爺じいさんの被害ひがいに遭あうという構図こうずだ。多おおくの時間じかんを割さいて、欲張よくばり爺じいさんが自宅じたくで凶行きょうこうを行おこなうシーンが丁寧ていねいに描えがかれており、印象いんしょうとしては「悪魔あくまのいけにえ」に近ちかい。日本にっぽんの片田舎かたいなかがテキサスみたいな治安ちあんになっている。

「悪魔あくまのいけにえ」風ふうといっても、実際じっさいのところ、殺人さつじん一いち家いえというわけでなく、人ひとを殺ころすのは爺じいさんだけ。ただ、他たの家族かぞくは彼かれの行為こういを止とめられず、死体したい処理しょりなどを手伝てつだわされているのだ。傍はたから見みれば十分じゅうぶん共犯きょうはんなのだが、あくまでそれは本意ほんいではなく、やらされているというところが重要じゅうようだ。そんな家父長制かふちょうせいの頂点ちょうてんを極きわめたかのような辛つらい状況じょうきょうを積つみ重かさね、欲張よくばり爺じいさんへのヘイトを溜ために溜ためていく。

(C)恐こわ解釈かいしゃく製作せいさく委員いいん会かい

開始かいし1時じ間あいだくらいはこの胸糞むなくそパートに費ついやされているが、これはいわばチャージだ。怒いかりを出来できる限かぎり溜ためまくって、それを放はなつまでの丁寧ていねいなお膳立ぜんだてである。このパートがあるからこそ、クライマックスが輝かがやくのだ。もちろん、ただ胸糞むなくそ悪わるいだけでなく、残酷ざんこく描写びょうしゃや中途半端ちゅうとはんぱに爺じいさんに危害きがいを加くわえられて挙動きょどうがほぼゾンビみたいになった人ひと（演えんじるは川かわ松まつ尚良ひさよし監督かんとく、迫真はくしんの演技えんぎ！）なんかも盛もり込こんで、飽あきさせないように配慮はいりょしている。

やがて、欲張よくばり爺じいさんの魔まの手ては、隣となりに住すむ正直しょうじき爺じいさんたちにも伸のびて、壮絶そうぜつな展開てんかいを迎むかえる。仏ふつでもそんなに穏おだやかじゃないよってくらい何なにをされても怒おこらなかった正直しょうじき爺じいさんは、あまりの仕打しうちに打うちひしがれ、堪忍袋かんにんぶくろの緒いとぐちが大だいブチ切きれし、遂ついに壮絶そうぜつな復讐ふくしゅうを決意けついするのだった。ここから本ほん作さくは一気いっきにギアを上あげる。ご町内ちょうない「悪魔あくまのいけにえ」からリアリティラインを一気いっきにぶち壊こわし、スーパー殺戮さつりくタイムへと突入とつにゅうするのだ！！

花咲はなさきか爺じいさんってこんな話ばなしだったっけ……と数すう分ふん逡巡しゅんじゅんしたのちに、多分たぶんこんな感かんじだったな……と納得なっとくする。そんな感かんじの映画えいがに仕上しあがっている。個人こじん的てきにお気きに入いりなのがラストシーンだ。グロテスクで、美うつくしく、でも確たしかに花咲はなさきか爺じいさんで、あの世よとこの世よの境目さかいめが壊こわれたような儚はかなさに満みちた映像えいぞうを拝おがむことができる。これが、これが恐おそれ解釈かいしゃくなのか……と思おもわず感動かんどうしてしまった。

いったいどんな映画えいがになるのかと、正直しょうじき観みる前まえは戦々恐々せんせんきょうきょうとしていたが、蓋ぶたを開あけてみれば良質りょうしつな残酷ざんこく&胸糞むなくそホラームービーに仕上しあがっていた。最近さいきんはプーさんとかも恐怖きょうふのアイコン化かをしているし、その波なみに乗のっかってドンドンいろんな童話どうわをホラーすると良よいと思おもう。日本にっぽんからは、「鶴づるの恩返おんがえし」とか「笠かさ地蔵じぞう」あたりはどうでしょうか。面白おもしろいのが出来上できあがりそうだ。血ちみどろの花咲はなさきかホラーを起点きてんに色々いろいろと想像そうぞうが膨ふくらむ。恐おそれ解釈かいしゃくの可能かのう性せいは無限むげんだ!!

(C)恐こわ解釈かいしゃく製作せいさく委員いいん会かい

■「恐おそれ解釈かいしゃく　花咲はなさきか爺じいさん」は、シネマ映画えいが.comで、10月27日にち（金きむ）～10月がつ29日にち（日ひ）の3日間にちかん＆100名めい様さま限定げんていで《劇場げきじょう公開こうかい前ぜんプレミアム先行せんこう配信はいしん》！　この機会きかいをお見逃みのがししなく!!

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