コラム：細野ほその真宏まさひろの試写ししゃ室しつ日記にっき - 第だい12回かい

映画えいがはコケた、大だいヒット、など、経済けいざい的てきな視点してんからも面白おもしろいコンテンツが少すくなくない。そこで「映画えいがの経済けいざい的てきな意味いみを考かんがえるコラム」を書かく。それがこの日記にっきの核かくです。

また、クリエイター目線めせんで「さすがだな～」と感心かんしんする映画えいがも、毎日まいにち見みていれば1～2週間しゅうかんに1本ほんくらいは見みつかる。本音ほんねで薦すすめたい作品さくひんがあれば随時ずいじ紹介しょうかいします。

更新こうしんがないときは、別べつ分野ぶんやの仕事しごとで忙いそがしいときなのか、あるいは……？(笑)かっこわらい

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第だい12回かい 「search サーチ」。映画えいが好すきはサンダンス映画えいが祭さいの観客かんきゃく賞しょうという賞しょうに注目ちゅうもくしておくと良よいことが？

2018年ねん10月がつ9日にち＠ソニー試写ししゃ室しつ

私わたしは、「名めい探偵たんていコナン　ゼロの執行しっこう人じん」や「劇場げきじょう版ばんコード・ブルー -ドクターヘリ緊急きんきゅう救命きゅうめい-」など、良よく出来できた作品さくひんは、ジャンルは問とわず単純たんじゅんに手放てばなしで絶賛ぜっさんしますが、必かならずしも大衆たいしゅう的てきな作品さくひんばかりが好すきなわけではありません。

「これまでで一番いちばん好すきな作品さくひんは？」という問といをよく受うけますが、これは本当ほんとうに難題なんだいですね。

メジャーな作品さくひんも勿論もちろん好すきなのですが、一部いちぶの人ひとにしか見向みむきもされなかったような作品さくひんも同おなじくらいに好すきなのです。

今年ことしの「日本にっぽんの映画えいが界かいでの一番いちばん大おおきな出来事できごと」といっても過言かごんではない樹木きき希林きりんさんの死去しきょがありましたが、例たとえば、今いまから10年ねん前まえに是枝これえだ裕和ひろかず監督かんとく×樹木きき希林きりんが初はつのタッグを組くんだ「歩あるいても　歩あるいても」で、公開こうかい前まえに是枝これえだ監督かんとくと新聞しんぶんで対談たいだんをした際さいに私わたしはこの作品さくひんの評価ひょうかとして、「自分じぶんが死しぬ前まえに、最後さいごに見みた映画えいががこの作品さくひんだったら満足まんぞくできます」と素直すなおに語かたりました。樹木きき希林きりんとのコラボによって、明あきらかに是枝これえだ作品さくひんは、より深ふかく進化しんかしました。そして、最後さいごの「万引まんびき家族かぞく」では映像えいぞうとして樹木きき希林きりんの死去しきょのシーンを描えがきました。偶然ぐうぜんにしてもあまりに良よく出来できた映画えいがのような話はなしで、是枝これえだ作品さくひんの今後こんごが少すこし想像そうぞうできない感かんじです。樹木きき希林きりんという女優じょゆうはそのくらいの存在そんざい感かんだったのだと思おもっています。

さて、「好すきな作品さくひん」では同おなじ2008年ねんに公開こうかいされたジョン・キューザック扮ふんする父親ちちおやが、イラクで命いのちを落おとした従軍じゅうぐん兵士へいしだった母親ははおやの死しを幼おさない娘むすめたちに告つげることが出来できないまま一緒いっしょに旅たびをするロードムービー「さよなら。いつかわかること」という、恐おそらくほとんどの人ひとが知しらない作品さくひんもあります。この作品さくひんは、クリント・イーストウッドが惚ほれ込こんで、自身じしんの監督かんとく作品さくひん以外いがいで初はじめて楽曲がっきょくを提供ていきょうしたことでも有名ゆうめいで、私わたしの中なかでは「是枝これえだ作品さくひん×クリント・イーストウッド」のような雰囲気ふんいきの位置付いちづけになっています（勿論もちろん、是枝これえだ監督かんとくは一切いっさいこの映画えいがには関かかわっていませんが）。

ただ、これらの作品さくひんには「共通きょうつう点てん」もあって、「映画えいが祭さいでの受賞じゅしょう作さく」でもあるのです。映画えいがは興行こうぎょう的てきに成功せいこうしないと意味いみはないのかもしれませんが、やはり本当ほんとうの名作めいさくは時じを超こえて評価ひょうかされるべきだとも思おもっています。

その意味いみで、映画えいが祭さいでの評価ひょうかというのは、記録きろくとして存在そんざいし続つづけるので、何なにかしらのきっかけで経済けいざい的てきな意味いみをもたらす可能かのう性せいも低ひくくはないのです。

(C)2007 The Weinstein Company, LLC. All rights reserved.

私わたしは「映画えいが祭さい」で最もっとも関心かんしんを持もっているのは、やはり「アカデミー賞しょう」で、次つぎは、そのアカデミー賞しょうの前哨ぜんしょう戦せんの「ゴールデン・グローブ賞しょう」です。その次つぎは、というと、「サンダンス映画えいが祭さい」です。このサンダンス映画えいが祭さいには「観客かんきゃく賞しょう」というのがあって、この一般いっぱんの映画えいが好すきな人ひとたちが決きめる賞しょうには、意外いがいな掘ほり出だし物ものが多おおいのです。

「さよなら。いつかわかること」もサンダンス映画えいが祭さいで観客かんきゃく賞しょう（ドラマティック部門ぶもん）と脚本きゃくほん賞しょうを受賞じゅしょうし絶賛ぜっさんされ、アカデミー賞しょうでも話題わだいになった「セッション」も同おなじくサンダンス映画えいが祭さいで観客かんきゃく賞しょう（ドラマティック部門ぶもん）を受賞じゅしょうしていたりと、サンダンス映画えいが祭さいではアカデミー賞しょうに絡からむような良作りょうさくが話題わだいになることも多おおいのです。

まさに、今月こんげつの26日にちに公開こうかいされる「search サーチ」もその流ながれの作品さくひんで、今年ことしのサンダンス映画えいが祭さいで見事みごとに観客かんきゃく賞しょう（NEXT部門ぶもん）を受賞じゅしょうしました。

この「search サーチ」が面白おもしろいのは、なんといっても「パソコンの画面がめんの中なかで全すべてのストーリーが展開てんかいする」ということでしょう。ツイッターもフェイスブックもやらない私わたしとしては、映画えいがの表現ひょうげん手法しゅほうは然さることながら「え、SNSの世界せかいでは、パソコン1台だいでここまでのやり取とりができてしまうの？」という現実げんじつに驚おどろいてしまいました。

まぁ昨年さくねんのアカデミー賞しょうで話題わだいになった「LION ライオン 25年ねん目めのただいま」では、「1万まんキロの捜索そうさく」さえも、「Google Earth」を使つかいパソコン1台だいでできてしまう社会しゃかいになっていることを示しめしてくれたわけですから、自然しぜんな流ながれなのかもしれませんが。

主演しゅえんはJ・J・エイブラムス版はんの「スター・トレック」のクルーで有名ゆうめいになったジョン・チョウで、彼かれの演技えんぎが、一見いっけんすると単調たんちょうそうな特殊とくしゅな画面がめんで途切とぎれない緊迫きんぱく感かんを持もたせられたのかもしれません。監督かんとくはまだ20代だいの新鋭しんえいアニーシュ・チャガンティ。初はつ監督かんとくがこの作品さくひんというのは、映画えいがが新あらたな領域りょういきに入はいってきたのかもしれないです。この手法しゅほうが、他たの作品さくひんにも通用つうようするのかは未知数みちすうですが、少すくなくとも「この映画えいがは映像えいぞう手法しゅほうもストーリーも面白おもしろい！」ということは断言だんげんできます。

映画えいがが好すきな人ひとは、ぜひ一いち度どは見みて、この斬新ざんしんな作品さくひんを体験たいけんしてほしいと思おもいます。

とは言いえ、公開こうかい規模きぼが60館かんという小規模しょうきぼなので、どこまで広ひろがりを見みせるのか注目ちゅうもくです。