コラム：21世紀せいき的てき亜細亜あじあ電でん影かげ事情じじょう - 第だい17回かい

第だい17回かい：インドネシア映画えいがの今いま（1）色いろとりどりの人ひとと物語ものがたり

インドネシアの首都しゅとジャカルタ。高層こうそうビルが立たち並ならぶ大都市だいとしの片隅かたすみに、若者わかものたちが集あつまるカフェ「フィロソフィ・コピ（珈琲こーひー哲学てつがく）」がある。手作てづくり感かんあふれる店みせには、映画えいがのポスターやイラスト、小道具こどうぐが飾かざられている。そう、ここはかつて映画えいがのセットだった。この小ちいさなカフェを舞台ぶたいに撮影さつえいされたインドネシア映画えいが「珈琲こーひー哲學てつがく 恋こいと人生じんせいの味あじわい方かた（仮題かだい）」が今月こんげつ、日本にっぽんで初はつ上映じょうえいされる──。

(C)Visinema Pictures/COCOMARU

10月25日にちに開幕かいまくする第だい29回かい東京とうきょう国際こくさい映画えいが祭さいで、3回かい目めを迎むかえるアジア映画えいが特集とくしゅうシリーズ「国際こくさい交流こうりゅう基金ききんアジアセンター presents CROSSCUT ASIA」。今年ことしは「カラフル！インドネシア」と題だいして、インドネシアの新しん旧作きゅうさく11本ほんを上映じょうえいする。多種たしゅ多様たような作品さくひんから、豊ゆたかで複雑ふくざつなインドネシアの「今いま」が見みえてくる。今回こんかいは注目ちゅうもく作品さくひんをピックアップしてご紹介しょうかいしたい。

多た民族みんぞく、多た宗教しゅうきょう、多言たげん語ご国家こっかのインドネシア。市民しみん生活せいかつに伝統でんとう的てきな側面そくめんを色濃いろこく残のこしつつ、急速きゅうそくな経済けいざい成長せいちょうを遂とげる若わかい新興しんこう国こくでもある。特とくに中間ちゅうかん所得しょとく者しゃ層そうの拡大かくだいは著いちじるしく、大都市だいとしを中心ちゅうしんにカフェ文化ぶんかが花盛はなざかり。「珈琲こーひー哲學てつがく 恋こいと人生じんせいの味あじわい方かた」は、ジャカルタの繁華はんか街がいでカフェを営いとなむ青年せいねん二に人にんが主人公しゅじんこうだ。オーナーのジョディ（リオ・デワント）とバリスタのベン（チコ・ジェリコ）は幼おさななじみ。コーヒーにかける情熱じょうねつは人一倍ひといちばいだが、店みせの経営けいえいはなかなか軌道きどうに乗のらない。起死回生きしかいせいを図はかる二人ふたりは「究極きゅうきょくのコーヒー」を求もとめて旅たびに出でる。

インドネシアでこの作品さくひんが注目ちゅうもくを集あつめた理由りゆうの一ひとつに、撮影さつえいに使つかわれたセットがそのままカフェとしてオープンしたことがある。ジャカルタ中心ちゅうしん部ぶに今いまもあるカフェ「フィロソフィ・コピ（珈琲こーひー哲學てつがく）」は、昼夜ちゅうやを問とわず若者わかものたちでにぎわっている。イスラム教徒きょうとが多おおいインドネシアでは、コーヒー片手かたてのおしゃべりは重要じゅうようなコミュニケーションの手段しゅだん。カフェは主演しゅえんのリオ・デワント、チコ・ジェリコがそのままオーナーになり、時ときおり店みせを訪おとずれてファンとの交流こうりゅうを楽たのしんでいる。

また、意外いがいに知しられていないが、インドネシアはブラジル、ベトナム、コロンビアに次つぐ世界せかい4位いのコーヒー生産せいさん国こくでもある。ベンとジョディがコーヒー豆まめを求もとめる道程どうていは、インドネシアのコーヒー産地さんちをめぐる旅たびにもなっている。ちょっとした観光かんこうロードムービーの趣おもむきだ。