陰陽いんよう師し0

　何なにか色々いろいろとやるんだけど、麻薬まやくか幻覚げんかく剤ざい( うろ覚おぼえ　)を調合ちょうごうして式しき神しんの幻まぼろしを見みせたと説明せつめいするシーンがあるんだけど、そこはさぁ、紙かみを切きっただけの物ものが実際じっさいに動うごいていた事ことにして欲ほしかったなぁ？夢見ゆめみさせてよぉー？
　外そとに出でて何なにかデカい化ばけ物ものと戦たたかう( やっぱりうろ覚おぼえ　)シーンとか、廊下ろうかを駆かけ回まわる化ばけ物ものとかのVFXのシーンは心しん燃もえたから良よかったけど。式しき神しん使つかいは、トリックを使つかうのではなく超ちょう能力のうりょくを使つかって欲ほしかった。
　小学生しょうがくせいの頃ころから「 オカルト雑誌ざっし　ムー　」 を愛読あいどくしてた身みとしては式しき神しん使つかいの扱あつかいがちょっと愛あいが無ないと思おもいました。夢枕ゆめまくら獏ばくの原作げんさく小説しょうせつもこのような感かんじだったんでしょうか？陰陽いんよう師しは超ちょう能力のうりょく者しゃであって欲ほしかったなぁ...。以上いじょう、オカルトマニアの愚痴ぐちでした。

ストーリーは悪わるくないと思おもうし、セリフも良よいこと言いってる。作品さくひんが訴うったえたいことも理解りかいできるが、演技えんぎに迫力はくりょくない。演出えんしゅつかなぁ。とにかく全まったく引ひき込こまれなかった。
感動かんどうするような映像えいぞうの美うつくしさも感かんじられず（ただ美うつくしいだけで感動かんどうがない！）、訴うったえかけてくるような音楽おんがくでもなかった。全体ぜんたい的てきに悪わるくないし、がんばってるとは思おもうけど、まあまあまずまず、って感かんじ。なぜ評価ひょうか良よいのか正直しょうじき不思議ふしぎ。ファンが多おおいのかな。ベテラン勢ぜいの演技えんぎはさすがでした。

（完全かんぜんネタバレですので必かならず鑑賞かんしょう後ごにお読よみ下ください！）

主人公しゅじんこう・安倍晴明あべのせいめい（山崎やまざき賢人けんじんさん）と藤原ふじわら義よし輔（小林こばやし薫かおるさん）ら陰陽いんよう師したちのやり合あいの派手はでさは、規模きぼの大おおきいCG描写びょうしゃもあり、さすがにやり過すぎでは？‥とは思おもわれました。
陰陽いんよう師したちの地位ちいを得えたいという争あらそいの要因よういんも、ありがちと言いえばそうで、もう少すこし深ふかみある争あらそい背景はいけい描写びょうしゃも必要ひつようには感かんじました。

ただ、陰陽いんよう寮りょうの内部ないぶでのやり取とりや、陰陽いんよう師しに関かかわる設定せっていはしっかりしているように伝つたわり、説得せっとく力りょくは個々ここ場面ばめんで感かんじられました。
それがこの映画えいがを最後さいごまで心しんが離はなれずに観みられた一ひとつの要因よういんにも思おもわれました。

加くわえて、徽子女王じょおう（奈緒なおさん）の源みなもと博雅ひろまさ（染谷そめや将太しょうたさん）への想おもいの一貫いっかん性せいが、この映画えいがに大おおきな柱はしらを貫つらぬいて作つくり上あげているように感かんじました。
徽子女王じょおうの源みなもと博雅ひろまさへの想おもいは、演出えんしゅつも相あいまって華はなやかで美うつくしく、徽子女王じょおうを演えんじる奈緒なおさんの演技えんぎも深ふかさのリアリティがあって、映画えいがに説得せっとく力りょくをもたらしていたと思おもわれます。

主人公しゅじんこう・安倍晴明あべのせいめいの両親りょうしんの死しのエピソードがもっと深ふかく描えがかれていればさらに感動かんどう的てきな面白おもしろさは増ましたとは思おもわれながら、作品さくひんとしては十分じゅうぶん面白おもしろい作品さくひんだったと思おもわれました。