名めい探偵たんていコナン 100万まんドルの五稜ごりょう星ぼし（みちしるべ）

近年きんねんの劇場げきじょう版ばんシリーズと比較ひかくすると、推理すいりパートが多おおかった。そのため案外あんがいアクションの見みせ場ばが少すくないのだけど、毎年まいとし同おなじことをするわけにもいかないから、手てを変かえ品ひんを変かえ、コナンの魅力みりょくを多彩たさいに見みせていくことは必要ひつようだろう。
今いま作さくは、物語ものがたりの軸じくが3本ほんある。平次へいじと和かず葉ようのラブコメ、キッドの秘密ひみつ、土方ひじかた歳三としぞうの刀かたなに隠かくされた謎なぞ。軸じくが３みっつあるのは一本いっぽんの映画えいがとしては多おおいなと思おもうが、わかりやすくまとめる工夫くふうはされていたと思おもう。しかも、この３みっつ、主人公しゅじんこうのコナンがいなくても成立せいりつしそうなものばかりなので、３みっつを展開てんかいさせながら主人公しゅじんこうにも活躍かつやくの場ばを作つくってと、苦労くろうがかなり多おおそうなプロットである。しかし、きちんと破綻はたんなくまとめているのはさすが。
今後こんごにシリーズ展開てんかいを大おおきく拡ひろげそうな要素ようそが最後さいごに出でてきて驚おどろいた。これだけシリーズを重かさねても驚おどろかせる要素ようそをまだ持もっているということ自体じたいすごいことだし、まだまだ楽たのしませてくれそうで来年らいねん以降いこうも期待きたいしている。

本ほん作さくは、やや要素ようそを膨ふくらましすぎていて、そのぶん必かならずしも必要ひつようのない登場とうじょう人物じんぶつが多おおくなり分わかりにくい構成こうせいになっているように感かんじます。
さらに登場とうじょう人物じんぶつが多おおければ多おおいほど「偶然ぐうぜん」が多おおくなりすぎて、不自然ふしぜんさが目めにつき、「ご都合主義つごうしゅぎ」的てきな展開てんかいと言いわざるを得えないと思おもいます。
ただ、クオリティーの高たかかった前作ぜんさくとは脚本きゃくほん家かが異ことなるため、毎年まいとしの作品さくひんなのでこういう回かいが出でるのも仕方しかたない面めんもあります。
本ほん作さくでは「怪盗かいとうキッドの秘密ひみつ」が明あかされる重要じゅうような回かいになっています。
そもそもキッドとは因縁いんねんのある「西にしの高校生こうこうせい探偵たんてい」こと服部はっとり平次へいじは、瞬時しゅんじに様々さまざまな事ことを見抜みぬく設定せっていですが、（多おおくの観客かんきゃくが気付きづいているような点てんを）今回こんかいの格闘かくとうの際さいにようやく気付きづくのは遅おそすぎる気きがします、笑わらい。
もう少すこしセリフを変かえたり、何なにかしらの整合せいごう性せいは欲ほしいところです。
また、犯人はんにんを見みつける要因よういんがアレなのは、さすがに厳きびしい気きがします。
本ほん作さくは挙あげていくとキリがないくらい脚本きゃくほんには難点なんてんを感かんじます。
一方いっぽうで、これまでの劇場げきじょう版ばんよりギャグシーンを多用たようしたりラブコメ要素ようそをちりばめたりと、そこまで深ふかく考かんがえなければ、これも「名めい探偵たんていコナン」の作品さくひんとして十分じゅうぶんに成立せいりつしているとは思おもいます。