余命よめい一いち年ねんの僕ぼくが、余命よめい半年はんとしの君きみと出会であった話はなし。 : インタビュー

2024年ねん6月がつ29日にち更新こうしん

永瀬ながせ廉れん＆出口いでぐち夏希なつき、“誰だれかのために”が原動力げんどうりょく　語かたり合あった、かけがえのない20代だいの過すごし方かた

Netflix映画えいが「余命よめい一いち年ねんの僕ぼくが、余命よめい半年はんとしの君きみと出会であった話はなし。」で初はつ共演きょうえんを果はたした永瀬ながせ廉れん（「King ＆ Prince」）と出口いでぐち夏希なつき。命いのちに限かぎりあるふたりが、相手あいてを思おもいやりながら日々ひびを輝かがやかせていく姿すがたをみずみずしく演えんじ、観みる者ものの心しんを震ふるわせる。まぶしいほどの恋こい物語ものがたりに身みを投とうじ、「今いまを全力ぜんりょくで生いきたいと思おもった」と声こえを揃そろえた永瀬ながせと出口でぐち。撮影さつえいを振ふり返かえりながら、名めいシーンの裏側うらがわや自身じしんの原動力げんどうりょくまでを笑顔えがおいっぱいに語かたり合あった。（取材しゅざい・文ぶん／成田なりたおり枝えだ、写真しゃしん／間庭まにわ裕ひろし基もと）

●秋あき人じんのやさしさ、春奈はるなのひたむきさ……役柄やくがらに「ぴったりでした」と惚ほれ惚ぼれ

原作げんさくは、森田もりた碧あおい氏しによるベストセラー小説しょうせつ「余命よめい一いち年ねんと宣告せんこくされた僕ぼくが、余命よめい半年はんとしの君きみと出会であった話はなし」(ポプラ社ぽぷらしゃ刊かん）。Netflix作品さくひん初はつ参加さんかとなった永瀬ながせが、突然とつぜん余命よめいを宣告せんこくされ、いろいろなことを諦あきらめながら淡々たんたんと日々ひびを過すごす中なかで、運命うんめいの恋こいに出会であうことで再ふたたび人生じんせいに希望きぼうを見出みいだしていく主人公しゅじんこう・早坂はやさか秋あき人じん役やく。出口でぐちが、ヒロインの桜井さくらい春奈はるな役やくを演えんじた。永瀬ながせと出口でぐちが、キャラクターの健気けなげで一途いちずな生いき様ざまを体現たいげん。悲かなしいだけではなく、温あたたかな余韻よいんの残のこる映画えいがとして完成かんせいした。

――それぞれに余命よめいを宣告せんこくされていることがわかるタイトルも、目めを引ひきます。タイトルや脚本きゃくほんを読よんだ感想かんそうを教おしえてください。

永瀬ながせ：タイトルには余命よめいが書かかれているけれど、「どちらかに奇跡きせきが起おきるのかな」「どうやって生いきていくのかな」といろいろな想像そうぞうが膨ふくらんで、結末けつまつがすごく気きになる作品さくひんだなと思おもいました。脚本きゃくほんを読よませていただくと、悲かなしいだけではなく、秋あき人じんと春奈はるなの姿すがたから高校生こうこうせいならではのピュアさやまっすぐさが感かんじられて。文字もじからも美うつくしい映像えいぞうが浮うかんでくるようで、ものすごく惹ひかれるものがありました。ふたりがとにかく、まぶしかった……！　僕ぼくが秋あき人じんを演えんじることができるなら、ぜひやらせていただきたいなと思おもいました。

出口いでぐち：タイトルからも「どういうお話はなしなんだろう」と気きになって、原作げんさくをまず読よませていただきました。そうしたらものすごくステキなお話はなしで……。また私わたしは三木みき（孝浩たかひろ）監督かんとくの映画えいがが大好だいすきで、三木みき監督かんとくとご一緒いっしょできることもとてもうれしかったです。不安ふあんはひとつもなく、「早はやく撮影さつえいに参加さんかしたい！」とそわそわするほどでした。

――自みずからの病やまいを隠かくし続つづけ、春奈はるなのために生いきようとする秋あき人じんのやさしさ。余命よめいを宣告せんこくされながらも、秋あき人じんの前まえで天真爛漫てんしんらんまんな笑顔えがおを見みせる春奈はるな。永瀬ながせさんと出口いでぐちさん、ご自身じしんの持もつ魅力みりょくが注そそがれたからこそ、鮮あざやかなキャラクターが映うつし出だされたように感かんじます。お互たがいの目めからご覧らんになって「演えんじる役やくにぴったりだ」と思おもうことはありますか？

永瀬ながせ：“でぐ”（出口でぐち）は、三木みき監督かんとくから「『本当ほんとうにこの子こは死しんじゃうのだろうか』というくらいバイタリティのある子ことして演えんじてほしい」と言いわれていたそうなんですが、“でぐ”自身じしんもすごく活発かっぱつなタイプだなと思おもいます。写真しゃしんを撮とる時ときには、絶対ぜったいにギャルピースしますから！

出口いでぐち：してない、してない！　永瀬ながせさんのほうがギャルです（笑）！

永瀬ながせ：こうやってすぐに突つっ込こんでくれるんですよ（笑）。明あかるいところも、春奈はるなにぴったりですよね。それでいて春奈はるなのはかなさも見みえてくるので、僕ぼくは常つねに「春奈はるなだな」と思おもいながら“でぐ”を見みていました。彼女かのじょが演えんじる春奈はるなを受うけて、僕ぼくも秋あき人じんとして生いきることができたなと思おもっています。

出口いでぐち：永瀬ながせさんは、声こえがとてもステキですよね。

永瀬ながせ：ありがとうございます！

出口いでぐち：秋あき人じんくんって、やさしさの塊かたまりのような人ひとだと思おもうんですが、永瀬ながせさんの柔やわらかな声こえからも秋あき人じんくんのやさしさが伝つたわってきました。特とくに秋あき人じんくんと春奈はるなが電話でんわ越ごしに会話かいわをするシーンは、それをとても実感じっかんして。映画えいがを観みている方ほうも、「秋あき人じんくんはこういう声こえだ」とすごく納得なっとくされると思おもいます。あと永瀬ながせさんは、スタッフさん誰だれにでもやさしく接せっして、皆みなさんと仲良なかよく過すごしていたのが印象いんしょう的てきです。周まわりが見みえていて、「大人おとなの方ほうだな」と感かんじました。

永瀬ながせ：25歳さいだからね。もうギャルではいられないよ（笑）。

●ハンカチ必須ひっすの“おんぶシーン”、撮影さつえいの裏側うらがわとは？

――主演しゅえんとして作品さくひんに入はいる時ときには、座長ざちょうとして心こころがけていることがあるのでしょうか。

永瀬ながせ：それは意識いしきしないようにしています。「座長ざちょうだ」と意識いしきしてしまうと肩かたの荷にが重おもくなってしまうような気きもして。座長ざちょうとしてやるのは、差さし入いれをきちんとすることくらいです（笑）。僕ぼくは一緒いっしょにお仕事しごとをしてくれる方ほうと「いかに楽たのしむか」ということに重おもきを置おいて、そういった姿すがたでみんなを引ひっ張ぱっていけたらいいなと思おもっています。スタッフ、キャストのみんな、仲なかがいい方かたが絶対ぜったいにいい作品さくひんができるはず。いつもそんなふうに考かんがえています。

出口いでぐち：私わたしはクランクインした1日にち目めから、永瀬ながせさんは「頼たよりになる」と感かんじて「引ひっ張ぱっていってもらおう」という気持きもちでいました。自然しぜんと笑顔えがおになれるような、とても楽たのしい撮影さつえい現場げんばでした。

――お互たがいの温ぬくもりを感かんじて涙なみだするシーンも、印象いんしょうに残のこっています。おふたりが思おもい出でに残のこる涙なみだのシーンがありましたら、教おしえてください。

出口いでぐち：秋あき人じんくんと春奈はるなのシーンも大好だいすきですが、秋あき人じんくんが取とり持もってくれたことで、春奈はるなと友ともだちである綾香あやかが再会さいかいできたシーンには、ものすごくグッときました。あのシーンを演えんじたこともあって、綾あやちゃん役やくの横田よこた真しん悠ゆうちゃんとはとても仲なかよくなって。抱だきしめながら「愛あいおしい」という感情かんじょうが湧わいてきました。

永瀬ながせ：あのシーン、すごくいいよなぁ。映像えいぞうにこそ映うつっていませんが、ふたりが抱だき合あっている時ときに、僕ぼくは病室びょうしつのそばで「よっしゃあ！」とガッツポーズしていました。秋あき人じんの気持きもちになると、もう他人事たにんごとではない。「春奈はるなのために」と行動こうどうを起おこしていく秋あき人じんにとっても、とても大事だいじなシーンだったなと思おもいます。

――海うみで、秋あき人じんが春奈はるなを背負せおうシーンも感動かんどう的てきでした。

永瀬ながせ：あのシーンは、奇跡きせき的てきな瞬間しゅんかんだったなと思おもいます。あの瞬間しゅんかんだけ、夕焼ゆうやけと雲くも、太陽たいようのバランスが最高さいこうにきれいで。

出口いでぐち：夕焼ゆうやけも、すべて本物ほんものです。みんなで力ちからを合あわせて、時間じかんと戦たたかいながら撮とることができたシーンですね。

永瀬ながせ：そうだよね！　海沿うみぞいに辿たどり着つくまで、実じつは秋あき人じんが春奈はるなをおぶって砂浜すなはまを走はしるシーンを何なんカットか撮とっているんです。でもひとつも使つかわれていなかった（笑）！　車椅子くるまいすを降おりて少すこし歩あるき出だしたら、すぐに夕焼ゆうやけを見みる場所ばしょに着ついていたよね。

出口いでぐち：たしかに！

永瀬ながせ：でも、そういう積つみ重かさねも大事だいじだったなと思おもって。秋あき人じんはそうやって春奈はるなをおぶって、一緒いっしょにあそこまで辿たどり着ついたんだなと感かんじながら観みてもらえたら、すごくうれしいです。

出口いでぐち：あの場面ばめんで春奈はるなは「私わたしも恋こいしてみたかったな」と言いうんですが、本当ほんとうだったらこれから恋こいやオシャレを楽たのしんでいく年頃としごろですよね。そう考かんがえるととてもせつないけれど、観み終おわった後のちには「春奈はるなは幸しあわせだったんだろうな」と感かんじることができる映画えいがになったなと感かんじています。私わたし自身じしん、限かぎられた時間じかんを生いきている春奈はるなを演えんじたことによって、より周囲しゅういの人ひとや時間じかんを大事だいじにしたいなと思おもいました。

永瀬ながせ：本当ほんとうにそうだね。僕ぼくたちが過すごしている日常にちじょうって決けっして当あたり前まえのものではないし、いつ何なにが起おこるかは誰だれにもわからない。だからこそ日々ひびを大切たいせつに、自分じぶんのことを大切たいせつに思おもってくれる人ひとにきちんと感謝かんしゃを伝つたえながら生いきていきたいなと思おもいました。そうすることで、後悔こうかいしない人生じんせいを送おくれるような気きがしています。

●永瀬ながせ廉れん、ファンに感謝かんしゃ！　「明日あしたへと向むかうパワーをもらっています」

――秋あき人じんは、春奈はるなと出会であうことで生いきる希望きぼうを見出みいだしていきます。おふたりにとって「誰だれかのために」と思おもうことで、より力ちからを発揮はっきできた経験けいけんはありますか？

永瀬ながせ：小学校しょうがっこう5年生ねんせいの時ときに、マラソン大会たいかいがあって。男子だんしと女子じょしに分わかれて走はしったんですが、男子だんしが100人にんくらいいる中なかで、練習れんしゅうでは可かもなく、不可ふかもなく、真まん中なかくらいの順位じゅんいでした。でもいざ本番ほんばんの日ひになって男子だんしだけで走はしり出だした時とき、グラウンドで女子じょしたちがめっちゃ応援おうえんしてくれたんですね。「頑張がんばれー！」って。「みんなのためにも頑張がんばらないと」と思おもったら、3位いになりました！　女おんなの子この声援せいえんの力ちからで、3位いになったんです。これ、すごくない!?

――そう考かんがえると、今いまのお仕事しごとでもファンの方ほうの声こえは力ちからになりますか。

永瀬ながせ：まさにそうです！　ライブなどでファンの方ほうから歓声かんせいを浴あびることで、次つぎの仕事しごとや明日あしたへと向むかうパワーをもらっています。小学校しょうがっこう5年生ねんせいの頃ころから、アイドルみたいな感覚かんかくがあったのかな（笑）。

――出口いでぐちさんは、いかがでしょうか。

出口いでぐち：このお仕事しごとを始はじめて、そう感かんじることが増ふえています。ドラマや映画えいがなどの撮影さつえいをしていると、「うまくできないな」とくじけそうになることもあって。でも周まわりのスタッフさんやキャストさんがやさしくしてくれて、皆みなさんが作品さくひんに向むかっている姿すがたを見みると、「このままじゃダメだ。私わたしも頑張がんばろう」という思おもいが湧わいてきます。「作品さくひんを楽たのしみにしている」と応援おうえんしてくれる家族かぞくやファンの方ほうの存在そんざいも、とても大おおきいですね。自分じぶんだけだったら、私わたしはすぐに諦あきらめていたと思おもいます。秋あき人じんくんも同おなじで、自分じぶんひとりだったとしたら、後うしろ向むきになってしまっていましたよね。

永瀬ながせ：そうなんだよね。人ひとってやっぱり自分じぶんのことよりも「誰だれかのために」と思おもうと動うごくことができたり、一番いちばん力りょくを出だせたりするんだなと感かんじるね。

――ファンの方ほうの声こえを受うけ取とったり、作品さくひんの反響はんきょうを耳みみにしたりすることができるのも、おふたりのお仕事しごとの魅力みりょくだと言いえそうです。秋あき人じんと春奈はるなは17歳さいというかけがえのない瞬間しゅんかんを、一生懸命いっしょうけんめいに生いきようとします。おふたりは20代だいをどのように過すごしたいですか。

永瀬ながせ：1年ねんって、本当ほんとうにあっという間あいだだなと驚おどろきます。今年ことしを考かんがえてみても、もう半分はんぶん以上いじょうが過すぎていますから。だからこそ、ひとつひとつ全力ぜんりょくで、悔くいのない仕事しごとの向むき合あい方かたをしたいです。自分じぶんのやりたいことをしっかりと考かんがえて、仕事しごととプライベートのバランスを取とることも大事だいじだなと思おもっています。また僕ぼくの仕事しごとでいうと歌うたったり踊おどったりすることもあるので、こんなに身体しんたいが動うごくのは20代だいだけかなと感かんじることもあって。年齢ねんれいを重かさねるごとにきっと足腰あしこしにも影響えいきょうが出でてくるけれど、30代だいにはその年齢ねんれいだからこそできることもあるはず。今いましかできないことを積極せっきょく的てきに見みつけて、チャレンジしていきたいなと思おもっています。

出口いでぐち：私わたしは自分じぶんらしさを忘わすれずに、思おもうままに楽たのしく20代だいを過すごしていきたいです。いろいろなことに立たち向むかわなくてはいけないお仕事しごとで、「自分じぶんはこのままでいいんだろうか」と考かんがえることもありましたが、やっぱり自分じぶんらしくいるのが一番いちばんだなと感かんじています。

――たしかに作品さくひんや役柄やくがらを通とおして、いろいろな挑戦ちょうせんをすることになるお仕事しごとですね。「舞妓まいこさんちのまかないさん」のお芝居しばいもとてもステキでした。

出口いでぐち：ありがとうございます！あの役柄やくがらは、話はなし方かたも含ふくめて自分じぶんとは真ま逆ぎゃくのようで。自分じぶんとはまったく違ちがう人ひとになれるのも、とても面白おもしろいことだなと思おもっています。そういった意味いみでは、春奈はるなは自分じぶんに近ちかい存在そんざいかもしれません。無邪気むじゃきに「あはは！」と笑わらう表情ひょうじょうも、等身とうしん大だいの姿すがたを見みせることができたのかなと感かんじています。