かくしごとのレビュー・感想かんそう・評価ひょうか

本ほん作さくで描えがかれている「かくしごと」といえば…。
久枝ひさえだの飲酒いんしゅ運転うんてんのこと、
洋一よういちが親おやから受うけていた児童じどう虐待ぎゃくたいのこと、
千紗子ちさこが、海うみで亡なくなったわが子この代かわりにするため、洋一よういちの出自しゅつじを隠かくそうとしたこと…など、など。

世よにありがちな「かくしごと」がいっぱい出でては来くるのですけれども。
そのどれが、本ほん作さくのレイシオ・デシデンタイ（訴うったえかけとしていちばん重要じゅうようなもの）なのか、評論ひょうろん子こには判然はんぜんとせず、それ故ゆえに、映画えいが作品さくひんとしての訴求そきゅう力りょくにかけたように思おもわれて、なりません。

本ほん作さくの中なかで、やや大おおぶりの「かくしごと」は、久江くえの事故じこを内密ないみつにしたことくらいでしょうか。
（しかし、飲酒いんしゅ運転うんてん根絶こんぜつの啓発けいはつ映画えいがにしては、プロットを物語ものがたりの最初さいしょに持もってきすぎ。）

おそらくは、本ほん作さくとしては、千紗子ちさこが海うみの事故じこで亡なくした自分じぶんの子供こどもの代かわりに、友人ゆうじんが飲酒いんしゅ運転うんてんではねた子供こどもが、折おりよく記憶きおく喪失そうしつらしいこと（また、不本意ふほんいながら面倒めんどうを看みている実父じっぷの孝蔵こうぞうが認知にんち症しょうになっていること）を上手じょうずに利用りようして、自分じぶんの子供こどもとして丸まるめ込こんでしまおうということなのだとは思おもいますけれども。
しかし、それは、言いってしまえばあまりに「安直あんちょくに過すぎ」て、評論ひょうろん子こには、何なんとも評ひょうのしようがありません。

ミニシアターでの上映じょうえいなので「質しつは保証ほしょう済ずみ」のアテで鑑賞かんしょうした一本いっぽんでしたけれども。
あに図はからずや、評論ひょうろん子こには、少すこしく残念ざんねんな一本いっぽんになってしまいました。
良作りょうさくとしての評価ひょうかも難むずかしかったと思おもいます。評論ひょうろん子こ的てきには。

（追記ついき）
オリジナル脚本きゃくほんということではなく、原作げんさくがある作品さくひんなので、あまり大胆だいたんなデフォルメもできないのでしょうけれども。

それでも、どうせ「かくしごと」にするなら、最後さいごの最後さいごには、孝蔵こうぞうが認知にんち症しょうを患わずらってしまっていることを上手じょうずに利用りようして切きり抜ぬける―それが本ほん作さくの最大さいだいの「かくしごと」になるのかと期待きたいして展開てんかいを見守みまもりました。

計画けいかくどおりにコトが運はこべば、千紗子ちさこにとっては邪魔じゃま者しゃの洋よう一いちのまま父ちち（？）をうまいこと片付かたづけて、それでいて「実行じっこう犯はん」の父親ちちおや・孝蔵こうぞうは、認知にんち症しょうの故ゆえ、心神喪失しんしんそうしつで刑務所けいむしょ送おくりは免まぬかれる―。

しかし、結果けっかとしては、さにもあらず。
頼たのみの孝蔵こうぞうは、魔ま切ぎりを構かまえて勇猛ゆうもう果敢かかんに突進とっしんするも、DV男おとこに一蹴いっしゅうされて、「試合しあい終了しゅうりょう」。

実行じっこう犯はんだから仕方しかたがないとして、刑事けいじ責任せきにん能力のうりょくに何なにの問題もんだいもない千紗子ちさこと洋一よういちが罪つみを被こうむるのであれば、そこには何なんの「かくしごと」もないことになってしまいます（洋一よういちは、触法しょくほう少年しょうねんとして少年しょうねん法ほうの規定きていに基もとづいて少年院しょうねんいん送致そうち？）。

もう少すこし、脚本きゃくほんを工夫くふうするなどして、「親子おやこでないもの」が「かくしごと」を媒介ばいかいとして「親子おやこになってゆく」ということを描えがけなかったのでしょうか。
本当ほんとうに、惜おしまれます。

先月せんげつ「あんのこと」を見みに行いった際さいにこちらの作品さくひんのチケットを買かう方ほうがなかなか多おおく、予告編よこくへんも見みたらわりと自分じぶん好このみな作品さくひんだったため試ためしに見みてみました。
内容ないようとしては介護かいご、虐待ぎゃくたい、子こを亡なくした悲かなしみなどなかなかハードな内容ないようではありますが全体ぜんたいとしてとても見みやすく、特とくに良よかったのは終盤しゅうばんの展開てんかいにかけては本当ほんとうに無駄むだがなく一気いっきにラストまで駆かけ抜ぬける見事みごとな作つくりだったなと思おもいました。特とくにラストは自分じぶんはそこの視点してんで見みていなかったため、「そういうことか！」と見みながら心しんの中なかでブワーッて気持きもちが込こみ上あげてとても良よい終おわり方かただったなと思おもいます。今年ことし見みた邦画ほうが作品さくひんでは現時点げんじてんで自分じぶんの中なかではゴールドボーイに続つづく高こう評価ひょうかな作品さくひんとなりました。演技えんぎに関かんしても皆みなさんベテランの方々かたがたなので本当ほんとうに素晴すばらしく、なかでも奥田おくだ瑛二えいじさんの父親ちちおや役やくはすごかったです。特とくにごはんの食たべ方かた(笑)かっこわらいこの方かた、私わたしは世代せだい的てきにドラマのちょい役やくの嫌いやな刑事けいじとか上司じょうしとか、あとはプライベートでのスキャンダルとかそういうイメージしかなかったのですがすごい役者やくしゃさんなんだなと初はじめてその演技えんぎ力りょくの高たかさを知しりました。あとは昨今さっこん、再さいブレイク的てきにいろんな映画えいがやドラマに引ひっ張ぱりだこの安藤あんどう政信まさのぶがめちゃくちゃ怖こわいハマり役やくでした。でも、役柄やくがらがボロアパートに住すんでる感かんじならもうちょい清潔せいけつ感かんがない服装ふくそうや髪型かみがた、無精髭ぶしょうひげなどやった方ほうが良よかったかなと。そういう系けいは中村なかむら獅童しどうあたりがやると最高さいこうですよね。安藤あんどう政信まさのぶがやるとオシャレパーマだしかっこいいからタワマンでシャンパン片手かたてにDVって感かんじに見みえてしまいました。あとは同おなじく最近さいきんいろんな作品さくひんに引ひっ張ぱりだこの酒匂さこ芳かおるさんも出でており、この方ほうも直近ちょっきんでドラマ「アンメット」や「燕つばめは戻もどってこない」で異ことなる役柄やくがらの強烈きょうれつな悪役あくやくをそれぞれ演えんじていたのですが今いま作さくでは主人公しゅじんこう家族かぞくを支ささえ寄より添そう医師いし役やくでこれまた本当ほんとうに最近さいきん見みた作品さくひんとは別人べつじんのようでびっくり。声色こわいろや表情ひょうじょうなどを巧たくみに操あやつれるカメレオン俳優はいゆうだなーとその演技えんぎ力りょくのすごさにさらに惹ひかれました。内容ないようがこれだけ素晴すばらしいにも関かかわらず気きになったのは公開こうかいされてる劇場げきじょうの少すくなさ。私わたしの住すむ近辺きんぺんでは平日へいじつ日び中ちゅうに仕事しごとしてたら見みれないような昼間ひるまや夕方ゆうがたの時間じかん帯たいしかやらなかったり、極端きょくたんに公開こうかい期間きかんが短みじかかったりしました。なんとか夜よるやってる劇場げきじょうに時間じかんかけて行いきましたがそこでも極端きょくたんに公開こうかい期間きかんは短みじかかった。ぶっちゃけ同おなじ期間きかんに公開こうかいされてる某ぼう発明はつめい系けい家族かぞくモノ作品さくひんよりもこの作品さくひんの方ほうがもっともっと宣伝せんでんされるべきなのではないかと思おもいます。でもやっぱりその辺あたりはめちゃくちゃ売うれてる人ひとや大手おおて事務所じむしょが絡からんでるなどのスポンサーなどの関係かんけいがあるのでしょうね。そういった大人おとなの事情じじょうだけで大だい規模きぼ公開こうかいされるのではなくちゃんと映画えいがの中身なかみで評価ひょうかして大だい規模きぼ公開こうかいされるようになってほしいなと思おもいました。現時点げんじてんであまり注目ちゅうもくされずヒットもしてないぽいので後々あとあと、サブスク等とうで配信はいしんされてから評価ひょうかが高たかまる作品さくひんなのかなと思おもいます。ちょっと重じゅうめのテーマの邦画ほうがや日本にっぽんの最近さいきんのドラマなど好すきな方ほうにはハマる作品さくひんかと思おもうのでぜひチェックしてみてください。

不思議ふしぎな家族かぞくの関係かんけいから、本当ほんとうの家族かぞくとは？は問といかける良よい作品さくひんだった。展開てんかい的てきにあまり現実げんじつ的てきじゃ無ない設定せっていから入はいったため、気持きもちは少すこしさめつつ、オチもなんだか分わかってはいたが、終おわり方かたが非常ひじょうに良よくて、3.5となりました。
杏あんずさんはじめ、メイン3人にんの俳優はいゆうさんが良よくてエモかったです！

登場とうじょう人物じんぶつみんなちょっとずつ嘘うそをついているやつ。

主人公しゅじんこうの友人ゆうじんが事故じこっても飲酒いんしゅ運転うんてんし続つづけたり、拓つぶせ未ひつじに対たいして「罪つみを背負せおい続つづけることになる」とか他人事たにんごとのように言いったり、こいつの脳のうみそどうなってんの？と思おもったけど、そこ以外いがいは面白おもしろかったです。
途中とちゅうで終おわるのかなと思おもったポイントがいくつかあったけど、しっかり事件じけんの結末けつまつまで描えがいてくれていてよかった。

こういう状況じょうきょうになったら、もうしょうがないよなーと。
認知にんち症しょうの父親ちちおやがリアル。

予告よこくから想像そうぞうしていた内容ないようではなかったです。
というのも、千紗子ちさこ（杏あんず）と久江ひさえ（佐さ津川つがわ愛美まなみ）の倫理りんり観かんが常識じょうしきはずれというか
意表いひょうをつかれたんですよね。
なので、冒頭ぼうとうの話はなしの持もって行いき方ほうについては、ちょっと入はいり込こめないというか
リアリティは追求ついきゅうしちゃいけなさそうだ、と思おもって観みました。

千紗子ちさこは拓ひらけ未み（中須なかす翔しょう真しん）と出会であうことで、おそらくは自身じしんの過去かこのトラウマ、
つまり、若わかくして子こどもができて結婚けっこんし、海うみで子こどもを亡なくしてしまうという
この消けせない記憶きおくを塗ぬりかえる、あるいは記憶きおく領域りょういきから極小きょくしょう化かしていくために
拓つぶせ未ひつじを子こどもとして育そだてようと、一緒いっしょに生いきていこうと考かんがえたんじゃないかなと思おもいました。

千紗子ちさこがその思おもいを強つよくしていったのは、認知にんち症しょうの父親ちちおや孝蔵こうぞう（奥田おくだ瑛二えいじ）の存在そんざいであり、
孝蔵こうぞうの自分じぶんへの想おもいを思おもいがけず知しることから、家族かぞくへの思慕しぼは深ふかくなっていったものと思おもわれます。

後半こうはんの重要じゅうような場面ばめんである、拓ひらけ未み（本当ほんとうは洋一よういち）の父親ちちおや安雄やすおが会あいに来くるところでの
杏あんず、拓ひらけ未み、孝蔵こうぞうの想おもいが一緒いっしょになって、安雄やすお殺害さつがい（事故じこにも近ちかしいとは思おもいます）に至いたったのだろうと
捉とらえました。

私わたしはてっきり、ここで映画えいがが終おわるのかと思おもいきや、
裁判さいばんシーンがラストで展開てんかいされ、
そこでの拓つぶせ未ひつじ（洋一よういち）のセリフ「ぼくのお母かあさんはあの人ひとです」と千紗子ちさこを指ゆびさしたときの表情ひょうじょう、
それから千紗子ちさこの表情ひょうじょうが、この作品さくひんの伝つたえたかったこと全すべてだと理解りかいしました。
だから、最さい重要じゅうようなわけですね。この裁判さいばんシーンが。

実じつにヘビーな作品さくひんではありますが、
鑑賞かんしょう後ご感かんは悪わるくない、観みて良よかったと心しんから思おもえた作品さくひんです。
※個人こじん的てきな意見いけんとして、佐さ津川つがわ愛美まなみの演技えんぎはちょっと鼻はなにつきました・・・

集客しゅうきゃくはよろしくなさそうですが、こういう映画えいがが多おおくの方ほうみ観みられるようになってほしいです。

原作げんさく小説しょうせつを映画えいが化かしたヒューマンミステリー。認知にんち症しょうの父ちちを介護かいごするために故郷こきょうへ帰省きせいした主人公しゅじんこうが交通こうつう事故じこをきっかけに犯罪はんざいに巻まき込こまれていく姿すがたを描えがいたヒューマンミステリー。
認知にんち症しょうの介護かいご問題もんだいや児童じどう虐待ぎゃくたい問題もんだいを絶妙ぜつみょうに交錯こうさくさせているストーリーが面白おもしろい。結果けっか的てきには最初さいしょからすべてを知しっていた少年しょうねんに軍配ぐんばい。

2024-110

今年ことし140本ほん目め。

嫌いやな事ことは全部ぜんぶ忘わすれるんですよ。
認知にんち症しょう万まん歳さい。
外そと出でれば気持きもちも変かわる。
亀田かめだ先生せんせいの言葉ことば本当ほんとうにいい。

力ちからを抜ぬけ。もっと。
好すきな漫画まんがのセリフで「力ちから抜ぬいとけよ、疲つかれちまうからな」。
奥田おくだ瑛二えいじさんが撮影さつえいの何なんか月げつも前まえから認知にんち症しょうを演えんじる準備じゅんび。食事しょくじ制限せいげんだったり姿勢しせいを合あわせる。命懸いのちがけて演えんじるから見みる者ものの心しんを打うつ。

あまり事前じぜん情報じょうほうは入いれず、予告編よこくへんが面白おもしろそうだったので観みてみることに。

誘拐ゆうかいした子こどもを、実みの親おやにバレないように匿かくまう映画えいがかなと思おもっていたが、いい意味いみで裏切うらぎられた。

どちらかというと、父ちちと娘むすめの親子おやこドラマではないか。一いち度どは縁えんを切きった親子おやこの絆きずなを取とり戻もどさせるための物語ものがたり。そして、母ははと息子むすこの物語ものがたり。

その橋渡はしわたしとして、拓つぶせ未ひつじという彼女かのじょの「息子むすこ」が登場とうじょうするが、彼かれがいい味あじを出だしている。

認知にんち症しょうで日ひに日ひにおかしくなっていくおじいちゃんに対たいして咄嗟とっさに、僕ぼくにも粘土ねんど教おしえて、なんて誰だれが言いえるだろうか。出来でき過すぎです。

自分じぶん自身じしん、認知にんち症しょうの祖父母そふぼの介護かいごをした経験けいけんがあったので、グサリと来くるものがあった。当時とうじは私わたしと母ははで協力きょうりょくして2人ふたりの介護かいごをしていたが、杏あんずさん（娘むすめ）も、拓つぶせ未ひつじという息子むすこの存在そんざいがあってはじめて、父親ちちおやともう一度いちど向むき合あおうという気きになっていたし、家族かぞくを救すくうのは、やはり同おなじ家族かぞくなんだなと考かんがえさせられた。

映画えいがの半分はんぶんくらいは終始しゅうし泣なきっぱなしだった。それくらい泣なけるし共感きょうかん出来できる映画えいがだったと思おもう。

都合つごうの良よすぎる展開てんかいが少すこし興醒きょうざめする事ことが多おおかった。
奥田おくだ瑛二えいじの芝居しばいはとても良よかった。ボケちゃう事こと忘わすれられちゃう事ことへの考かんがえ方かたはさとされてるようでセリフ周まわりは良よかったが本当ほんとうに都合つごうの良よい展開てんかいだけが非常ひじょうに残念ざんねん。技術ぎじゅつ的てきには可かもなく不可ふかもなく。みんなで魚釣さかなつりシーンの衣装いしょう(ブルー系けい)と背景はいけい(緑みどりの木々きぎ.白しろい空そら)の色味いろみは綺麗きれいだった。あと海うみの中なかの杏あんずのcutも距離きょり感かんが良よかった。

かくしごと
決けっして美談びだんとして描えがかれているわけではない。
疎遠そえんになっていた父親ちちおやが認知にんち症しょうになり、介護かいごのため他たは誰だれもいない実家じっかへ帰かえる。劇げき伴ともも無なく過すぎていく作業さぎょう。期間きかん限定げんていだとい聞いきかせ、気き怠だるさや、そのような関係かんけい性せいに至いたった現実げんじつの無情むじょうさを感かんじさせる。
最初さいしょの出会であいは、友人ゆうじんの飲酒いんしゅ事故じこの隠蔽いんぺいのため。そのことは鑑賞かんしょうをする上じょうでの棘とげになり、感情かんじょう移入いにゅうするには妨さまたげになる。擁護ようごは当然とうぜんできない。
しかし後ごの展開てんかいから振ふり返かえってみると、通報つうほうしていた場合ばあいには、おそらく全すべてが終おわっていたという事実じじつにぶつかる。
どんなときでも法律ほうりつが、命いのちを守まもっているとは限かぎらない。何なにが正義せいぎなのかを考かんがえる時ときに、おそらく傍観ぼうかん者しゃが思おもい当あたらなくてはならないことは、本人ほんにんの本当ほんとうの気持きもちを、蔑ないがしろにしてはいないかということだ。
記憶きおくがなくても、それはかつてあったものを失うしなうか、本当ほんとうは無なかったものをあるかのように振ふる舞まうか、いずれにしても、結果けっかは同おなじ。戻もどらない瞬間しゅんかんに、相手あいてのことを心しんから思おもい遣やれるかどうかだろう。

をまた考かんがえさせられる脚本きゃくほん

噛かみ合あわない家族かぞくはここ最近さいきん分析ぶんせき化かされ、増ふえたように思おもうが、昔むかしからあったのだと痛感つうかん

厳きびしく育そだてられ、行くだり息詰いきづまって親元おやもとを離はなれる子供こども
虐待ぎゃくたいされていても、幼おさなすぎて親元おやもとから離はなれられない子供こども
子供こどもを育そだてたくても育そだてられない親おや
子供こどもへの接せっし方かたがわからない親おや
子供こどもからの介護かいごは情なさけないと感かんじてしまう親おや
いつまでたっても、親おやに面倒めんどうを見みてもらう子供こどもなど

ちぐはぐな親子おやこ関係かんけいは昔むかしからあるようで、近年きんねんになっても、解決かいけつ策さくは何なにもないように感かんじます
絶望ぜつぼうしか残のこらない感かんじですが
映画えいがではあえて希望きぼうの光ひかりを見みせてくれたようです

現場げんばはそんな生易なまやさしいものではないぞ！と言いう言葉ことばも飛とび交かいそうですが、酒向さこうさん演えんじる先生せんせいの言葉ことばには温あたたかみがあり、今後こんごの人生じんせいに役立やくだっていけそうと感かんじました

前半ぜんはんはそれダメ、それダメ、それダメともやもやしながら鑑賞かんしょう。行方ゆくえ不明ふめいの子供こどもの所在しょざいを知しってるのに知しらせなかったら、必死ひっしに捜索そうさくしてる人達ひとたちの労力ろうりょくや心情しんじょうはどうなるのか…。もし仮かりに子供こどもが虐待ぎゃくたいを受うけている可能かのう性せいがあるのなら、警察けいさつに虐待ぎゃくたいの可能かのう性せいを訴うったえたうえで知しらせればいいのではと…。
後半こうはんは、認知にんち症しょうの父ちちと偽にせの息子むすことの生活せいかつがいい感かんじでまわり始はじめるも、この生活せいかつがいつ破綻はたんするのかとドキドキしながら鑑賞かんしょう。
ラストの裁判さいばんのシーンはえっ?えっ?えっー!?とまさかの展開てんかいに涙なみだ。

小説しょうせつが良よかったので、映画えいがも鑑賞かんしょう。杏あんずさんの一般人いっぱんじん離ばなれしたスタイルを除のぞけば、とてもいい映画えいが、奥田おくだ瑛二えいじさんが素晴すばらしい。頑固がんこ親父おやじ感かんから、不安ふあんで情なさけないおじぃちゃん感かんまで凄すごいリアルでした。認知にんち症しょうに、虐待ぎゃくたいと切せつな過すぎる題材だいざいですが、絶望ぜつぼう的てきな状況じょうきょうに差さす光ひかり的てきな映画えいがでした。

この映画えいがを観みたかったのは杏あんずさんと奥田おくだ瑛二えいじさんの番ばん宣せんから。二人ふたりとも演技えんぎ力りょく抜群ばつぐんできっと引ひき込こまれる映画えいがだろうなあと。
突然とつぜんの地方ちほう映画えいが館かん特別とくべつ上映じょうえいだったからか観客かんきゃくは数すう人にん、映画えいが離ばなれでしょうか？でもこの映画えいがは子こを持もつ親おや世代せだいにぜひ観みてほしいと思おもう。
前半ぜんはんのふとした過あやまちからの展開てんかい、それを引ひきずって幸しあわせと不安ふあん、特とくに母ははとしての感情かんじょうを表現ひょうげんしたシーンは涙なみだ。ラストの大変たいへんなかくしごとが胸むねに突つき刺ささる！

人格じんかくって、個人こじんが形作かたちづくるものばかりではなくて、まわりとの関係かんけい性せいが浮うかび上あがらせるものなんだな、と思おもう。
自分じぶんが何者なにもので、相手あいてが誰だれで、どんな関係かんけいで、過去かこに何なにがあって、何なにを覚おぼえてて何なにを忘わすれて…。
ちさ子こは認知にんち症しょうの父ちちが「（都合つごうの？）悪わるいことは忘わすれて」となじる。でも、拓つぶせ未ひつじには「悪わるいことは思おもい出ださなくていい」と言いう。

かくしごとを土台どだいにした家族かぞくが、悲喜ひきこもごもありながら日々ひびを過すごしている間あいだ、拓つぶせ未ひつじのことがどう露呈ろていするのだろうと心配しんぱいしながら見みていた。急きゅう展開てんかいに驚おどろきながらも、すごく説得せっとく力りょくのあるラストだったと思おもう。
それだけに、細こまかい設定せっていに無理むりがある気きがして、とても残念ざんねん…。

奥田おくだ瑛二えいじと酒向さこう芳かおるの演技えんぎが素晴すばらしかったです。

ラスト1分ふん。

某ぼう職員しょくいんとしては、何なにかあった時ときには公的こうてき機関きかんに相談そうだんすべきと言いいたい。自分じぶん達たちだけで抱かかえ込こむより、絶対ぜったいに望のぞみはあるから。

全体ぜんたい的てきにはカメラが定点ていてんで動うごきが少すくない印象いんしょうは受うけたが、1カット目めから良作りょうさくの予よ感かんが滲にじみ出でたエモーショナルな画が。関根せきね監督かんとくは過去かこ作さくの『生いきてるだけで、愛あい。』といい、今いま作さくの主題歌しゅだいかに羊ひつじ文学ぶんがくを選えらぶところといい、エモに振ふり切きったら秀ひいでそう。

2024年ねん映画えいが館かん鑑賞かんしょう53作品さくひん目め
6月22日にち(土)どイオンシネマ新しん利府りふ
ハッピーナイト1300円えん
21時じ30分ぶんの回かい

原作げんさく未読みどく
原作げんさくのタイトルは『嘘うそ』
監督かんとくと脚本きゃくほんは『生いきてるだけで、愛あい。』の関根せきね光ひかり才ざい

是枝これえだ系けい社会しゃかい派はヒューマンミステリー

杏あんずにとっては『オケ老人ろうじん』以来いらい久々ひさびさの主演しゅえん映画えいが

粗筋あらすじ
東京とうきょうの大学だいがくに在学ざいがく中ちゅうに妊娠にんしんし出産しゅっさんした息子むすこをのちに海難かいなん事故じこで失うしなった過去かこを持もつ絵本えほん作家さっかの里谷さとや千紗子ちさこ
離はなれて暮くらす父ちちが認知にんち症しょうを発症はっしょうした
7年ねんぶりに帰郷ききょうし再会さいかいした千紗子ちさこだったが父ちちは娘むすめを忘わすれていた
すぐにでも介護かいご施設しせつに預あづけて東京とうきょうに戻もどりたい千紗子ちさこだったが空あきのベッドがなかなか見みつからず難航なんこうした
古ふるくからの地元じもとの友人ゆうじんの久江くえと居酒屋いざかやで飲のんだ帰かえり道みちに偶然ぐうぜん遭遇そうぐうした虐待ぎゃくたい児じ犬いぬ養やしなえ洋一よういちを実家じっかに引ひき取とり実みの息子むすこのように育そだて始はじめた千紗子ちさこ
久江くえから誘拐ゆうかいになると注意ちゅういを受うけるも虐待ぎゃくたいを繰くり返かえす親元おやもとに帰きすことになることなるため警察けいさつに引ひき渡わたすわけにはいかなかった
犬いぬ養やしなえ洋一よういちは記憶きおく喪失そうしつの様子ようすで自分じぶんの名前なまえさえ覚おぼえていなかった？
そこで千紗子ちさこは洋よう一いちに自作じさくの絵本えほんに登場とうじょうする「拓つぶせ未ひつじ」と名付なづけ自分じぶんの息子むすことして自分じぶんの姓せいの里谷さとやをつけた
認知にんち症しょうの祖父そふと他人たにんの息子むすことの共同きょうどう生活せいかつが始はじまった

杏あんずの代表だいひょう作さくと言いっても過言かごんではない
ブラーヴァ！
今更いまさらながら背せが高たかいことが若干じゃっかん気きになるがガンダムやイデオンやエヴァンゲリオン同様どうよう徐々じょじょにそれも慣なれてくる

さすが安藤あんどうサクラの父親ちちおや
はじめは奥田おくだ瑛二えいじとわからなかった
貫禄かんろくの名演技めいえんぎに賞賛しょうさんの拍手はくしゅを送おくりたい

中須なかす翔しょう真しん演えんじる里谷さとや拓たく未ひつじの笑顔えがおがかわいい
子役こやくの熱演ねつえんも高たかく評価ひょうかしたい

生真面目きまじめな千紗子ちさこに対たいして少々しょうしょうアレな友人ゆうじんの久江くえがちょうど良よい緩衝かんしょう役やくになっている感かんじ
彼女かのじょの存在そんざいもまたこの作品さくひんでは重要じゅうようでいるといないとでは大だい違ちがい
ヤフコメ民みんやX民みんはなにかとけしからんと感かんじるキャラだろうが自分じぶんは子供こどもの頃ころから模範もはん的てきな人間にんげんではないのでわりと受うけ入いれることができる
流石さすがに居酒屋いざかやでビール2杯はい（おそらくジョッキ2杯はい）を飲のんで車くるまを運転うんてんすることに対たいしては「えー」とドン引びきしたけど
おそらく2次じ会かい費用ひようより安やすく済すむから代行だいこう運転うんてんで帰かえりなさい

何なにかと相談役そうだんやくとして登場とうじょうする子供こどもの頃ころから千紗子ちさこの父ちちと親したしい地元じもとの医者いしゃ役やくの酒向さこう芳かおるも良よい
釣つり好すきで千せん沙子いさごらを地元じもとの川かわ釣づりに誘さそう

徐々じょじょに父ちちと和解わかいしていく千紗子ちさこの姿すがたも良よい

重おもいテーマのオンパレードだがさほど重おもくもなく自分じぶんにはちょうど良よかった
映画えいがのタイトルは書かく仕事しごとと隠かくし事ごとをかけているのだが久米田くめた康治こうじの漫画まんがとは直接ちょくせつ関係かんけいはないようだ
じつのところ隠かくしていたのは千紗子ちさこだけでなく「拓つぶせ未ひつじ」もだったってのがこの作品さくひんのオチ

なぜあのタイミングで犬いぬ養やしなえ洋一よういちはカミングアウトしたのか
なぜもっと早はやくに公表こうひょうしなかったのか
そして日本にっぽんの検察けんさつは日本一にっぽんいちのエリート集団しゅうだんといっても過言かごんではなく絶対ぜったいに勝かてると判断はんだんした案件あんけんだけを法廷ほうていに持もち込こむわけでそれにもかかわらずあんなに無能むのうなわけがない
その点てんでは疑問ぎもん点てん不満ふまん点てんはあるもののそこはやはり映画えいがだから娯楽ごらくだから大目おおめにみたい
星ほし5の評価ひょうかは揺ゆるぎない
あそこで終おわるのも素晴すばらしい

ちなみに犬いぬ養やしなえは奥田おくだ瑛二えいじの妻つまの旧姓きゅうせい
偶然ぐうぜんだろうか
安藤あんどうサクラは犬いぬ養やしなえ毅あつしの曾孫そうそんにあたるのはあまりにも有名ゆうめいな話はなしだと思おもうが知しらない人ひとはいるのかな
ちなみに里谷さとや拓たく未ひつじの下したの本名ほんみょうは追手おって内ない洋一よういちと同おなじ
これは偶然ぐうぜんだろう

配役はいやく
不仲ふなかで疎遠そえんになっていた父ちちが認知にんち症しょうを発症はっしょうし裸はだか同然どうぜんで地元じもとを出歩であるいたため久々ひさびさに帰省きせいしてきた絵本えほん作家さっかの里谷さとや千紗子ちさこに杏あんず
酒気しゅき帯おび運転うんてんの久江くえの車くるまで千紗子ちさこが夜間やかんの帰かえり道みちに偶然ぐうぜん保護ほごされ「里谷さとや拓たく未ひつじ」と名付なづけられ息子むすこのように一緒いっしょに暮くらし始はじめた虐待ぎゃくたい児じの犬いぬ養やしなえ洋一よういちに中須なかす翔しょう真しん
厳格げんかくな元もと教師きょうしで妻つまに先立さきだたれ山やまの上うえのポツンと一軒家いっけんやに一人ひとり引ひっ越こし魔まを切きるため日々ひび仏像ぶつぞうを彫ほり最近さいきんでは認知にんち症しょうを患わずらっている千紗子ちさこの父ちちの里谷さとや孝蔵こうぞうに奥田おくだ瑛二えいじ
地元じもとの役所やくしょで働はたらく福祉ふくし課か職員しょくいんで千紗子ちさこの親友しんゆうの野々村ののむら久江ひさえに佐さ津川つがわ愛美まなみ
シングルマザーの久江くえの息子むすこの野々村ののむら学まなぶに番つがえ家か天てん嵩かさ
地元じもとの医師いしで孝蔵こうぞうの幼馴染おさななじみの亀田かめだ義和よしかずに酒向さこう芳かおる
幼おさない娘むすめを連つれてマキと再婚さいこんした洋一よういちの義父ぎふで日々ひび虐待ぎゃくたいを繰くり返かえした犬いぬ養安ようあん雄ゆうに安藤あんどう政信まさのぶ
再婚さいこんした安雄やすおの暴力ぼうりょくに支配しはいされている洋一よういちの実母じつぼの犬いぬ養やしなえマキに木き竜りゅう麻生あさみ
千紗子ちさこを弁護べんごする敏腕びんわん弁護士べんごしに和田わだ聰さとし宏ひろし
洗脳せんのうだと思おもい込こみ千紗子ちさこに刑けいを求もとめる無能むのうな検察官けんさつかんに丸山まるやま智さとし己おのれ
千紗子ちさこの付つき添そいで拓ひらけ未ひつじが診みてもらった個人こじん病院びょういんの受付うけつけの看護かんご師しに河井かわい青葉あおば
千紗子ちさこと久江ひさえが飲のみに行いった居酒屋いざかやの女将おかみに池谷いけがやのぶえ

これは母性ぼせいの映画えいが‼️母性ぼせいの暴走ぼうそうの映画えいが‼️親友しんゆうの飲酒いんしゅ運転うんてんによる人身じんしん事故じこをきっかけに、家庭かてい内ない暴力ぼうりょくを受うけている男おとこの子こを無断むだんで引ひき取とり、記憶きおく喪失そうしつを良よいことに自分じぶんの息子むすことして育そだてるヒロイン・・・‼️その背景はいけいには、過去かこに海うみでの事故じこで実みの息子むすこを亡なくした事ことがある‼️男おとこの子こに息子むすこを重かさね合あわせたのでしょう‼️母性ぼせいですね‼️世話せわになってる医者いしゃに息子むすこの事故死じこしを涙なみだながらに話はなすシーンの杏あんずちゃんの素晴すばらしい演技えんぎ‼️杏あんずちゃんも母親ははおやなので、内うちなる母性ぼせいから来くる演技えんぎなのでしょう‼️そしてクライマックスでは、男おとこの子こを迎むかえに来きたDV義父ぎふと争あらそいになり、男おとこの子こが義父ぎふを刺さし殺ころしてしまう‼️男おとこの子こをかばって逮捕たいほされる杏あんずちゃん‼️男おとこの子こは自みずから殺害さつがいしたことを法廷ほうていで証言しょうげん‼️そして杏あんずちゃんへの言葉ことば‼️「僕ぼくのお母かあさんはあの人ひとです」‼️涙なみだを流ながす杏あんずちゃん‼️観みる者ものも救すくわれる素晴すばらしいラストシーンでした‼️

展開てんかいで、そこまでの展開てんかいや考かんがえを見直みなおしたくなる感かんじですね。これにより今後こんごの展開てんかいも方向ほうこう性せいが変かわりますしね。介護かいごも含ふくめて考かんがえさせられる作品さくひんでした。