ザ・プレイヤー
劇場公開日:1993年1月15日
解説
映画会社の重役グリフィンは脅迫状まがいの葉書を送りつけてきた脚本家デビッドを勢いあまって殺してしまう。その後、グリフィンは殺人の事実を伏せたまま、デビッドの恋人ジューンと親しくなっていく。一方、警察の捜査も進んでいたが……。ハリウッドから離れて映画製作を行なっていたロバート・アルトマン監督が見事復活を果たしたブラック・コメディ。ハリウッド業界を皮肉った作品ながら、ハリウッドの人気映画人たちが大挙してカメオ出演している。
1992年製作/124分/G/アメリカ
原題:The Player
配給:大映
劇場公開日:1993年1月15日
スタッフ・キャスト
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受賞歴
受賞
最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル) | |
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) | ティム・ロビンス |
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2024年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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〇作品全体
物語の展開が、そのまま映画プロデューサーの役割を表現するような作品だった。
映画プロデューサーの役割が「シナリオライターの憎まれ役」という特殊なポジションであることが主人公・グリフィンを通して分かる。プロデューサー側からすれば毎月100件以上のライターの売り込みをさばかなければいけない事情があるが、ライター側からすれば自分の熱意を25語だけで語らなければならず、それが伝わらなければ切って捨てられてしまう。熱意をぶつける機会すらくれず、連絡もよこさないプロデューサーだと一方的に切り捨てられたような恰好だ。そんな力関係が、まずケヘインの殺害シーンで表現される。一方的にグリフィンに感情をぶつけ、そしてグリフィンの反撃によって息絶えるケヘインは、前述したプロデューサーとライターの関係性そのままだ。どれだけ熱量を伝えても返ってくる反応は少なく、ビジネスの上で推し量られてしまう。そしてその熱量が目障りであればドブ水に頭を叩きつけられるように切って捨てられる。物語のカギを握るショッキングなシーンだが、力関係から見れば当然の結末のように見えてしまう。「プロデューサーがライターを殺す」が比喩表現としても、実際の物語上での出来事としても存在しているわけだ。
ラストのハッピーエンドも、映画プロデューサーという役割が悪い意味で影響力のあることを表現する。グリフィンが作中でハッピーエンドを望むことを何度も口にするが、これは単なる好みではなくて「ハッピーエンドに捻じ曲げる力を持っている」ということの誇示だ。本作ラストのハッピーエンドはグリフィンにとって物凄く都合が良い。気に食わないライターを殺し、警察からは金の力でかいくぐって運良く逮捕されずに済み、ライターの女と幸せに暮らす。さらに自分の地位は守られ、もはや不審な手紙を送ってくるライターには余裕をもった返しをする。その「できすぎた気持ち悪いハッピーエンド」は、作中で制作が進む「強引にハッピーエンドに捻じ曲げられた作品」と重なって映る。どちらもプロデューサーの力を駆使して出来上がったハッピーエンドであり、そこには殺されたライターの真実も、物語を書いたライターの真意も存在しない。あるのは自己の利益を追求する欲望だけで、そのずるがしこさが鼻につく。
しかし、本作を見た後味はすごくすっきりとしたものだった。それは多分、グリフィンという登場人物の「プロデューサーとしてのブレなさ」が作品の中心を貫いているからだと思う。映画業界の中心に立つプロデューサーの存在を堂々と醜く描いた本作には、醜さだけでなく映像作品としての面白さも詰まっていた。
〇カメラワークとか
・8分ほどあった冒頭の長回し。映画関係者が忙しそうにせわしなく動き回る姿が印象的だが、グリフィンは優雅に車から降りて、そのあとは部屋からほとんど動かない。この誰が世界の中心として存在しているのかを知らしめるようなオープンニングだった。
〇その他
・アルトマン作品の主人公は傲慢なんだけれど、その傲慢さを派手に見せないところが好きだ。『MASH』のホークアイも終始好き勝手やってるけど、感情を派手に表に出さないからクールに見える。『ロンググッドバイ』は傲慢とは少し違うけど、自分の進みたい方向性を一貫して持っていて、それでいて強く主張しないのがかっこいい。本作のグリフィンも相当好き勝手やってるけど、「映画プロデューサーで居続けること」という軸をブレない範囲で維持し続けているのがかっこいい。やっていることは最低なんだけど。
2024年4月4日
PCから投稿
2つの会話をダブらせるという独特の演出。 そこから不思議な雰囲気が醸し出されている。映画監督の醍醐味は自分の雰囲気を醸し出すことにあるので これは素晴らしいことだ 。ただ、ストーリーはかなり 実験的で2時間は長いと感じた 。何で実験的映画でこんな長いものを作ってしまうのだろう? 1時間40分ぐらいだったらとっても面白かったのに。
2023年9月24日
iPhoneアプリから投稿
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長回しで始まり。『黒い罠』は未鑑賞。『ロープ』は見た。
そのほか様々な作品がセリフや壁のポスターに出てくるが、残念ながら見てないものの方が多く、きっとこれらの作品からの影響があるんだろうなあとは思いながら、やっぱりそこは分からず。これから見ていこうとモチベにするしかないですよねー。
『フリークス』は見たい。
ハリウッド的ヒット作の条件が途中で語られる。
サスペンス、スター、暴力、平和、愛情、ハッピーエンド、セックス、裸。たしかこんな感じ。
これらがことごとくこの映画にも散りばめられているのがうまい部分で、それでいてそれらの軽薄さを皮肉っている。
スターは馬鹿みたいにカメオ出演させまくり。取ってつけたようなセックス。彼女を乗り換え、罪も償わずに、なんちゃってハッピーエンド。
劇中劇も、結局は観客の反応に媚びに媚びて、ジュリアロバーツとブルースウィリスでハッピーエンドにしているのがクスッとさせる。ライターまでその気になってしまっている。
ロバートアルトマンはまだmashしか見ていないが、他の作品も見てみたくなった。じゃあ監督はどんな映画を作ってきたんですか、と確認したくなる。
2023年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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犯してしまった罪さえもエンタメに使えるとなれば、
金と引替えに利用する。
良心の呵責が生まれる時もあるものの、
1度難を逃れてしまうとあとは
喉元過ぎればなんとやら。
まさに生き馬の目を抜くような
恐ろしい世界だハリウッド。
もちろんフィクションだが
こういうこともありかねないと思わせる。
という流れをさらに最後になって、
観客へむかって舌を出してる作り手の顔が見えるかのようだ。
いっぱい食わされる・・・まあ
タイトルがタイトルなだけに
途中からうすうす予測はついてくるんだけど。
昨今男女差別や人種差別などを
是正しようとする動きの活発な
状況をみると時代を感じるものだ。
あくどい事をしてたものは
昔は良かったとうそぶくのだろう。