ピンク・フロイド　ザ・ウォール

　自分じぶんの中なかでは、「ザ・ウォール」の前まえにピンク・フロイドは終おわっていた。逸話いつわとして、コンサートが始はじまり、背景はいけいの壁かべが倒たおれると裏うらでメンバーがポーカーをやっていたということで、ミュージシャンというよりパフォーマーといった位置付いちづけにしてしまっていた。だから、音楽おんがく的てきには感動かんどうもなく、不可思議ふかしぎな映像えいぞうのほうが楽たのしめる。

　アニメをふんだんに取とり入いれ、壁かべを壊こわすナチスみたいな指導しどう者しゃが登場とうじょうしたり、面白おもしろい映像えいぞうの合間あいまにセックスシーンがフラッシュのごとく散ちりばめられ、うまく妄想もうそうの世界せかいを作つくり上あげている。でも、序盤じょばんのピンクの父親ちちおやが戦死せんしするシーンと子供こども時代じだいの妄想もうそうが一番いちばん良よかった。人間にんげんは壁かべの中なかのレンガだなんてメッセージがいい。徐々じょじょにプロモーションビデオのようなこじんまりしたイメージになってしまったところが残念ざんねん。