風ふう櫃ひつ（フンクイ）の少年しょうねん

日本にっぽん映画えいがよりも台湾たいわん映画えいがの方ほうが優すぐれてる　名作めいさく「青春せいしゅん神話しんわ」などもこの映画えいがを下地したじとして制作せいさくされたような気きがするぐらいの教科書きょうかしょ
主義しゅぎ主張しゅちょうに偏かたよらずリアルまるでドキュメンタリーのようだった　山田やまだ洋次ようじ＋小津おつのような　上品じょうひんでしかも知的ちてき　だからこそなのか寝ねてしまうでもストーリーは優すぐれている
基もと隆たかし、高雄たかお、澎湖諸島しょとう(ポンフー)　1981年ねんごろ？1964年ねん生うまれの女性じょせい　ジャッキーチェンの酔よい拳けん(香港ほんこん映画えいが)
最後さいご彼女かのじょが台北たいぺいに行いって彼かれが結果けっか失恋しつれんするところがいい

侯孝賢ほうしゃおしえんは等身とうしん大だいの人間像にんげんぞうを描えがくのがうまい。登場とうじょう人物じんぶつたちがいきいきしている。
ゲリラ撮影さつえいを多様たようしているのでまわりに映うつる人々ひとびとが非常ひじょうにリアルでいい（あたりまえだが）。

　アーチンの父親ちちおやは野球やきゅうが好すきで、額がくにボールが当あたった後遺症こういしょうのため障害しょうがい者しゃとなっていた。悪あくガキたちはケンカとビリヤードに明あけ暮くれていたが、やがて親おやに内緒ないしょで都会とかいの高雄たかおに向むかう。なんとか工場こうじょうに勤つとめ、アパートの向むかいの同棲どうせいカップルを羨うらやましく眺ながめる・・・　その同棲どうせいカップルも男おとこが盗ぬすみを働はたらき、残のこされた女性じょせいシャオシンとも仲なか好よくする。

　工場こうじょうで働はたらきながらもダラダラした生活せいかつにイライラさせられながら、シャオシンへの憧あこがれのまなざしに青春せいしゅん映画えいがらしさを感かんじる。映画えいが館かんのシーンもあるけど、シャオシンと一緒いっしょに観みてたのは『酔よい拳けん』だったのかな？

　「G線上せんじょうのアリア」を最後さいごに流ながし、こだわりがなくなったような雰囲気ふんいきで終おわったけど、友人ゆうじんの兵役へいえきをどう思おもってたのかなぁ・・・

　侯孝賢ほうしゃおしえん監督かんとく作品さくひんはもともと好すきじゃなかったけど、この頃ころの監督かんとくはまだ若わかくて伝つたえたいものがストレートに伝つたわってくる感かんじで好感こうかんがもてますなぁ。

　1983年ねんの侯孝賢ほうしゃおしえん監督かんとく作品さくひんだ。30年ねん以上いじょう経たった今いま見みても、全然ぜんぜん色いろあせていない。
　台湾たいわんの離島りとう、澎湖島とう。その島しまの中なかでも中心ちゅうしん地ちの馬うま公こうからずいぶんと離はなれたところにある風ふう櫃ひつに住すむ少年しょうねんたち。彼かれらは毎日まいにち喧嘩けんかや博奕ばくえきや玉突たまつきなどで時間じかんを持もて余あましている。彼かれらの自堕落じだらくな生活せいかつには僻地へきちに暮くらす青年せいねんたちの希望きぼうのない閉塞へいそく感かんが表あらわれている。どうやら高校こうこうを中退ちゅうたいしてぶらぶらしているようだ。主人公しゅじんこうのアチン（鈕ぼたん承うけたまわ澤さわ）の父親ちちおやは、幼おさない彼かれにはヒーローだった。ところが、その父親ちちおやは野球やきゅうの死球しきゅうを受うけ、頭蓋骨ずがいこつがへこんでしまい廃人はいじん同様どうようだ。兄あには島しまで教師きょうしをしているが、教おしえ子ごの不良ふりょう少年しょうねんたちから暴行ぼうこうを受うける。真面目まじめに勉強べんきょうした大人おとなたちから希望きぼうを見みつけ出だすことすら困難こんなんだ。
　やがて、彼かれらは故郷こきょうにいられなくなり、高雄たかおに出でていくのだが、そこでも真面目まじめに地道じみちな生活せいかつを続つづけることはむつかしい。先さきに島しまを出でた姉あねや先輩せんぱいも地道じみちな生活せいかつをしているとは言いいがたい。そんな中なか、先輩せんぱいの彼女かのじょに恋心こいごころを抱だいたアチンだけは努力どりょくをして這ばい上あがろうとするのだったが、そんな恋こいが成就じょうじゅするはずもない。
　そんな彼かれらの前まえにもっと大おおきな試練しれんが待まち受うけている。兵役へいえきだ。そんな不安ふあんを振ふり払はらうように「兵役へいえき閉店へいてん前まえの在庫ざいこ一掃いっそうセール」と大声おおごえを張はり上あげるのだった。
　田舎いなかの不良ふりょう少年しょうねんたちの不満ふまんは、まだ戒厳かいげん令れいのしかれていた台湾たいわんの若者わかものたちの閉塞へいそく感かんを代弁だいべんしている。そして、台湾たいわんという国くに自体じたいの見みえない将来しょうらいへの不安ふあんを表あらわしているのだ。切せつない青春せいしゅん物語ものがたりだ。
　なお、この映画えいがで主人公しゅじんこうのアチンを演えんじた少年しょうねんは、後のちに「モンガに散ちる」などの名作めいさくを監督かんとくした鈕ぼたん承うけたまわ澤さわだ。