「歩あるく後うしろ姿すがただけで惚ほれてしまう」用心棒ようじんぼう　komasaさんの映画えいがレビュー（感想かんそう・評価ひょうか）

これが黒澤くろさわ明あきら作品さくひんの初はつ鑑賞かんしょう。重々おもおもしい作品さくひんかと思おもっていたが、全まったくそんなことはなかった。ストーリーに強引ごういんな部分ぶぶんはあるけれど、余計よけいな力ちからが抜ぬけつつも見応みごたえのある素晴すばらしい娯楽ごらく映画えいがだった。

先まず、何なにと言いっても三船みふね敏郎としおが格好かっこう良よい。オープニング、彼かれの歩あるく姿すがたに惚ほれ惚ぼれし、棒ぼう切きりを投なげ上あげまた歩あるき出だすところですっかり魅了みりょうされてしまった。

彼かれ以外いがいの他ほかの登場とうじょう人物じんぶつ達たちもみんな面構つらがまえからして様ようになっている。東野とうの英治郎えいじろうと西村にしむら晃あきらを黄門こうもん様さまと刷すり込こまれている自分じぶんとしては、飯めし屋やのおやじと小しょう悪党あくとうを上手うまく演えんじる二人ふたりを見みると何なんとも不思議ふしぎな気分きぶんになる。

そして何なにと言いっても最後さいごの決闘けっとうシーンが良よい。遠とおく宿場しゅくばの端はしに姿すがたを表あらわす三船みふね敏郎としお。歩あゆみに合あわせるように音おとが乗のり、両者りょうしゃの距離きょりが近ちかづくとともに緊張きんちょう感かんが高たかまる。その頂点ちょうてんで仲代なかだい達矢たつやが一言ひとこと発はっした途端とたん、あっと言いう間まに皆みなを斬きり伏ふせる。そして締しめの「あばよ」、これはしびれる。

普段ふだんは映画えいがを見直みなおすことをしないのだが、今回こんかいは珍めずらしく当日とうじつ翌日よくじつと2回かい見直みなおしてしまった。
（録画ろくがにて鑑賞かんしょう）

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この作品さくひんが荒野あらのの用心棒ようじんぼうの元もとになった事ことは聞きいていたが、この作品さくひん自体じたいにも色々いろいろな作品さくひんの気配けはいを感かんじた。舞台ぶたいとなる宿場しゅくば町まちは西部せいぶ劇げきに出でてきそうだし、名主なぬしの家いえを覗のぞくシーンは裏窓うらまどを思おもわせる。更さらに、若わかい家族かぞくを助たすける主人公しゅじんこうからはカサブランカ的てきなハードボイルドが漂ただよう。

様々さまざまな映画えいが作品さくひんが影響えいきょうし合あって時代じだいを作つくっていたんだなと感かんじるとともに、制作せいさく者しゃの貪欲どんよくさが垣間見かいまみることができた気きがして面白おもしろかった。