お葬式そうしき

お亡なくなりになった千鶴子ちづこのお父とうさん、真吉しんきちの出番でばんは、冒頭ぼうとうの数すう分ふんだった。それでもお葬式そうしきを通とおして彼かれの人柄ひとがらが語かたられることによって、故人こじんの人ひととなりを知しることができる。それがお葬式そうしきなんだ、と映画えいがを通とおして教おしえてくれた。

エンタメ要素ようそは含ふくまれているが、基本きほん的てきにお葬式そうしきの段取だんどりを淡々たんたんと伝つたえている。誰だれもが一いち度どや二に度どは経験けいけんするお葬式そうしき。慌あわてふためき、焦燥しょうそうして、途方とほうに暮くれながらも取とり仕切しきらなければならない一連いちれんのセレモニーがユーモアを含ふくめながら描えがかれている。

大滝おおたき秀治しゅうじや菅井すがいきんの挨拶あいさつは決けっして面白おもしろいものではないが、訥々とつとつと語かたる姿すがたになぜか惹ひきつけられる。何なにも変かわったことなど言いっていないし、感動かんどう的てきなセリフでもない。でも何故なぜか涙なみだが出しゅっそうになった。

誰だれも笑わらわそうとはしていないのに、何故なぜかクスリとしてしまう数々かずかずのシーン。ああこんな人じんいるよね、ああこんな光景こうけいあるよね、と思おもわず頬ほおが動うごく。

「人間にんげんは二に度ど死しぬ。 一いち度目どめは肉体にくたいが滅ほろんだ時とき。二に度目どめは人々ひとびとの記憶きおくから消きえ去さった時とき」という言葉ことばがあるが、雨宮あまみや真吉しんきちは、この葬儀そうぎの後のちもずっと語かたられていくのだろう。死後しごも故人こじんの物語ものがたりは続つづいていく。

...............................................................................................................................................
宮本みやもとの親父おやじが死亡しぼうし、葬式そうしきをする。
...............................................................................................................................................

葬式そうしきをするんやが、宮本みやもとのダンナが浮気うわきをしててその愛人あいじんが来きたり、
外そとでダンナとセックスしたり、もう目茶目茶めちゃめちゃ。

伊丹いたみ映画えいがの痛快つうかいさが好すきなんやが、
この作品さくひんはコメディタッチながらそれがなくて今いまひとつやったな。

まあ喪主もしゅをした経験けいけんがく興味きょうみがなかったってのもあるねんけど。
何なにか葬式そうしきを通つうじて夫婦ふうふの絆きずなが深ふかまりました的てきな感かんじで終おわったが、
果はたしてそれが言いいたかった事こと？よくわからなかった。

親戚しんせき縁者えんじゃも居いない簡素かんそなものでしたが、ケアマネさんや友人ゆうじんが来きてくれて一いち通とおりの手順てじゅんを踏ふまえた事ことがシーンを観みるたびによぎりました。

葬式そうしきは一大いちだいイベント。
非ひ日常にちじょうの３日間にちかんを過すごすわけですが、その折々おりおりに日常にちじょうが入はいってくると自然しぜんな笑わらいになる。

もちろん、当事とうじ者しゃたちは儀式ぎしきを完遂かんすいさせるために真面目まじめにやっているのだけれども、その世界せかいでは普段ふだんの日常にちじょうはおかしなものに映うつるのですね。

そこを捉とらえた伊丹いたみ監督かんとくのセンスは素晴すばらしいと思おもう。

あと、本物ほんものの猫ねこのタイミングが絶妙ぜつみょうでビックリしたかな。

子供こどもの頃ころには分わからなかったけどお葬式そうしきって、故人こじんとの別わかれを自分じぶんの心しんに一いち区く切きり付つけさせるために必要ひつような儀式ぎしきなのだと今いまは思おもいます。
その様子ようすが上手うまく描えがかれてる映画えいがだなぁと、今回こんかい心しんから思おもいました。