現代げんだい人じん

解説かいせつ

製作せいさくは「お茶ちゃ漬づけの味あじ」の山本やまもと武たけしが担当たんとう、「慟哭どうこく」の猪俣いのまた勝人まさとが脚本きゃくほんを書かき、「本日ほんじつ休診きゅうしん」の斎藤さいとう良輔りょうすけが潤色じゅんしょくしている。監督かんとくは渋谷しぶや実みのるの「本日ほんじつ休診きゅうしん」に次つぐもの。撮影さつえいは「二ふたつの花はな」の長岡ながおか博之ひろゆき。出演しゅつえん者しゃの主おもなものは、松竹しょうちく映画えいがに久々ひさびさに出演しゅつえんする「若わかい人ひと(1952)」の池部いけべ良りょう、「華はなやかな夜景やけい」の小林こばやしトシ子としこ、「女おんなのいのち」の山村やまむら聡さとし、「いとし子こと耐たえてゆかん」の山田やまだ五十鈴いすずの他ほか、高野たかの由美ゆみ、多々良たたら純じゅん、伊達だて信しんなどである。

1952年ねん製作せいさく／112分ふん／日本にっぽん
原題げんだいまたは英えい題だい：Contemporary Japanese
配給はいきゅう：松竹しょうちく
劇場げきじょう公開こうかい日び：1952年ねん9月がつ3日にち

ストーリー

建設けんせつ局きょく管理かんり課かの荻野おぎの課長かちょうは、主任しゅにんの三好みよしとともに岩いわ光こう土木どぼく工業こうぎょうと結託けったくして汚職おしょくを重かさねていた。荻野おぎのの妻つまは胸むねを患わずらって富士見ふじみ高原こうげんで療養りょうようしていたので、そのためにも金かねが入用にゅうようであった。しかし三好みよしが地方ちほうへ左遷させんされたのを機会きかいに、彼かれは足あしを洗あらおうと決心けっしんした。三好みよしの後のちがまで主任しゅにんになった小田切おだぎり徹とおるは若わかく真面目まじめな青年せいねんなので、自分じぶんの娘むすめ泉いずみと結婚けっこんさせたいとも考かんがえ、小田切おだぎりには三好みよしの二にの舞まいはさせまいと考かんがえたのだった。ところが岩いわ光こうは、色々いろいろと手てを変かえ品ひんを変かえ、自分じぶんが萩野はぎのに取とり持もったバーのマダム品子しなこまで動員どういんして萩野はぎのの決意けついを鈍なまらせ、その上小田切かみおたぎりまでもまんまと引ひきずり込こんでしまった。小田切おだぎりは純情じゅんじょうな青年せいねんであったが一種いっしゅアプレ的てき神経しんけいの持もち主ぬしで、岩いわ光こうとの取引とりひきも事務じむ的てきに巧たくみに処理しょりしてボロを出ださないばかりか、萩野はぎのの娘むすめ泉いずみが好すきになると彼女かのじょの幸福こうふくを考かんがえて、萩野はぎのを岩いわ光こうとの取引とりひきから手てを引ひかせ萩野はぎのと品子しなこの手てを切きらせるために、彼かれ自みずからがマダムに体当たいあたりすることも辞じさなかった。そんな彼かれの実行じっこう力りょくは、マダムにまだ未練みれんを持もつ荻野おぎのや純潔じゅんけつな処女しょじょの泉いずみには理解りかいのできないことでもあった。父母ちちははと三さん人にんで世界一せかいいち幸福こうふくな家庭かていを持もつという泉いずみの夢ゆめも満みたされないうちに、泉いずみの母ははは高原こうげんの療養りょうよう所しょで死しんでいった。荻野おぎのと泉いずみが富士見ふじみへ駆かけつけた留守るすに、小田切おだぎりは岩いわ光こうを酔よったあげくに殴なぐり殺ころしてしまった。彼かれはこの事件じけんから岩いわ光こうと荻野おぎのとのことが表面ひょうめん化かしてくることを恐おそれ、役所やくしょの荻野おぎのの事務じむ室しつへ放火ほうかして証拠しょうこ隠滅いんめつを図はかった。そして全すべての罪つみを自分じぶんがひっかぶった。こうして恐おそれるべきアプレ青年せいねんの悔くいを知しらない犯罪はんざいと、彼かれの行為こういは世よの人々ひとびとに批判ひはんされた。荻野おぎのは妻つまの弔ちょういを済すませてから自首じしゅしようとしたが、小田切おだぎりは泉いずみのためにそれだけは思おもいとどまってくれ、と言いって遂ついに一人ひとりで罪つみに服ふくしてしまったのだった。

受賞じゅしょう歴れき