静しずかな生活せいかつ

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知的ちてき障害しょうがい者しゃの兄あにの面倒めんどうをよく見みる主人公しゅじんこうの女おんなの子こがいた。
ある日ひ、兄あにに水泳すいえいを習ならわせる事ことになり、尽力じんりょくしてくれるコーチを見みつけた。

しかしそいつは最低さいていな奴やつだった。
かつて男おとこ2人にん女おんな1人ひとりでクルージングに行いき、女おんなに告白こくはくするも抵抗ていこうされ殺ころす。
もう一人ひとりの男おとこがそれを死し姦かんしようとしたが、詳細しょうさいは不明ふめいやながら死亡しぼうした。
警察けいさつに捜査そうさされたが、証拠しょうこ不十分ふじゅうぶんでコーチは無罪むざいとなった。

主人公しゅじんこうの父ちちはそれを知しっていたので、人ひとのいない所ところで会あわないよう指示しじ。
が、強引ごういんにマンションに招待しょうたいされて兄あにと共ともに行いったところで予想よそう通どおり豹変ひょうへん。
兄あにが助たすけてくれて事こと無なきを得えたのでした。
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障害しょうがい者しゃの役やくを渡部わたなべがうまく演えんじており、
心しんの綺麗きれいな愛あいすべき人物じんぶつとして描えがかれていたと思おもう。
主人公しゅじんこう役やくの女おんなの子こもとても清潔せいけつ感かんがあって良よかった。

しかしコーチの最低さいていさがすごかった。
ってか、コイツはろくな奴やつちゃうなとは思おもってたけどね。
まあ演えんじてる俳優はいゆうがそういう人ひとだからだろう、多分たぶん(場ば)

でも何なにを訴うったえたかったのかはわからなかった。
主人公しゅじんこうとコーチが兄あにを通つうじて出会であったって事こと以外いがい、
障害しょうがい者しゃの存在そんざいはあらすじにそれほど関係かんけいしないしね。

・主演しゅえんの佐伯さえき日菜子ひなこがとても可愛かわいかった。
・家いえがとても大おおきくて羨うらやましい生活せいかつに見みえた。
・大江おおえ健三郎けんざぶろう役やくの山崎やまざき努つとむが小説しょうせつ？行いき詰づまっている最中さいちゅう、庭にわの排水はいすい？のつまりを直なおせなかったことに対たいしての落おち込こみようが凄すごくて、とても笑わらえた。しかし、それが原因げんいんで首吊くびつりをしようと思おもい悩なやみ、そして渡航とこうすることになったので、人ひとそれぞれの傷きずつく事ことは違ちがうというのを改あらためて感かんじた。首吊くびつりの試ためしに鞄かばんに本ほんを詰つめて、ロープでつるしてくるくる回まわしているのを見みて、少すこし余裕よゆうがあるように見みえて何なんだか笑わらえた。
・自宅じたくに水みず？の入はいった瓶びんを門柱もんちゅうに置おいていってるおっさんが割わりとえぐい少女しょうじょへの性せい犯罪はんざいをしていて引ひいた。身近みぢかにあんな人じんいたらたまらない。逮捕たいほされて良よかった。
・水泳すいえいの講師こうしとして現あらわれた今井いまい雅之まさゆきが思おもった以上いじょうに悪わるい人ひとでびっくりした。その人ひとを題材だいざいにした小説しょうせつの映像えいぞうの部分ぶぶんが面白おもしろかった。割わりとそっちもえぐい話はなしだったので、読よみたくなった。

それまでの伊丹いたみ映画えいがは個性こせい的てきな面々めんめんが所ところ狭せましと暴あばれ回まわる映画えいがって言いう印象いんしょうだったが、この作品さくひんに関かんしては身近みぢかな人ひと(伊丹いたみ監督かんとくの妹いもうとが大江おおえ健三郎けんざぶろうの奥様おくさま)の原作げんさくであったこともあってか、家族かぞくの優やさしさと穏おだやかさ、暖あたたかさに包つつまれた素敵すてきな映画えいがでした。
ただ後半こうはんに行いくにつけて、不穏ふおんな展開てんかいになっていく。しかしそれは今いままでの伊丹いたみ映画えいがのようなハンマーで叩はたき割わる展開てんかいではなく、カミソリで知しらない内うちに切きれてしまってるようなさりげなくも現実げんじつ的てきな問題もんだいとして家族かぞくの前まえに現あらわれてしまう。パパの鬱うつ、イーヨへの差別さべつ、マーちゃんの世間せけん知しらずさが起おこしてしまうトラブルなど。
それでもそれをしっかり乗のり越こえる明あかるい家族かぞくは穏おだやかな日本人にっぽんじんの普通ふつうの家族かぞくを思おもい起おこさせる。
あとはイーヨのモデルになった大江おおえ光ひかりさんの音楽おんがくは素敵すてきの一言ひとこと。間違まちがいなく映画えいがの格調かくちょうを高たかめてました。

ホームドラマ的てきお洒落しゃれに始はじまって、のほほんと観みていたら、
大変たいへんな火傷かしょうをしちゃったみたいな映画えいがでした。
おまけに大江おおえ健三郎けんざぶろうの家族かぞく（一家いっか)をかなり連想れんそうさせる私小説ししょうせつ的てき映画えいが。
有名ゆうめい作家さっかのパパ。
専業せんぎょう主婦しゅふのママ。
長女ちょうじょで大学生だいがくせいのマーちゃん。
長男ちょうなんでちょっとだけ障さわがいのあるイーヨ。
浪人ろうにん生せいの次男じなんのオーちゃん。

そこに虚構きょこうの小説しょうせつが映像えいぞうとして挿入そうにゅうされています。
この作中さくちゅう小説しょうせつのシーン。
後半こうはんに持もってくるのですが、強烈きょうれつすぎて、違和感いわかんあり。
無ない方ほうが良よかったと思おもいます。

長男ちょうなんのイーヨ（渡辺わたなべ篤郎とくろう)と、
長女ちょうじょでイーヨの姉あねのマーちゃん(佐伯さえき日奈子ひなこ)が主役しゅやく。

作家さっかのパパとママが8ヶ月かげつの予定よていでオーストラリアに研修けんしゅうや講義こうぎなどする
仕事しごとと静養せいようを兼かねて家いえを留守るすにします。
その留守るす中ちゅうの「静しずかな・・・」とは言いい難がたいマーちゃんにとっては
過酷かこくな日常にちじょうを、一見いっけん暖あたたかい筆致ひっちで描えがくと見みせかけて、
マーちゃんはとんでもない経験けいけんをすることになります。
イーヨのなんとも不器用ぶきようでほのぼのした姿すがたに、助たすけられてこの風変ふうがわりな映画えいが
は独特どくとくの風味ふうみを醸かもし出だす。
一見いっけんハートウォーミングみたいだけど、とんでもない毒味どくみのてんこ盛もりで
ございます。

不穏ふおん分子ぶんしの新井あらいくん（今井いまい雅之まさゆき)
彼かれはイーヨの水泳すいえいコーチとして力ちからを発揮はっき。
イーヨは20メートル泳およぎ切きるほどの上達じょうたつをみせる。
マーちゃんも感激かんげきして新井あらいくんを信頼しんらいする。
ところが彼かれはとんでもない前歴ぜんれきの持もち主ぬしで、
なんと保険ほけん金きん殺人さつじん事件じけんで無罪むざい放免ほうめんされた曰いわく付つきの人物じんぶつだった。
そしてマーちゃんを毒牙どくがにかけようとする。
ここで新井あらいくんがパパの小説しょうせつのモデルだったことも判明はんめいする。

このモデルとなった小説しょうせつが、
実録じつろく映画えいがのように挿入そうにゅうされている。
原作げんさくではどういう構成こうせいなのか不明ふめいなので、困こまるのですが、

新井あらいくんは高校生こうこうせいです。(別べつの俳優はいゆうが演えんじている)
高校生こうこうせいの新井あらいくんは好すきな女子じょし生徒せいとがいて、通学つうがく路ろで待まち伏ぶせして、
花はなを渡わたす。そしたら女子じょし生徒せいとは怯おびえて逃にげる→追おう→逃にげる→
なんと新井あらいくんは女子じょし生徒せいとを押おし倒たおして殺ころしてしまいます。
このシーンがエグい。
AV女優じょゆうが演えんじていて、更さらに闖入ちんにゅう者しゃが現あらわれて、
エグさはエスカレートする。
ここが毒どくテンコ盛ざかりのシーン。

そして現実げんじつに戻もどりマーちゃんはイーヨと新井あらいくんのマンションに
半なかば強制きょうせい的てきに誘さそわれて暴行ぼうこうされそうになる。
イーヨはなんと新井あらいくんに反撃はんげきを仕掛しかけるのです。

マーちゃんの献身けんしん的てきな弟おとうと思おもい。
時々ときどきてんかんの発作ほっさまで起おこすイーヨ。
マーちゃんは実じつに健気けなげにイーヨをサポートします。
佐伯さえき日奈子ひなこも渡辺わたなべ篤郎とくろうも凄すごい演技えんぎ。
佐伯さえき日奈子ひなこは個性こせい的てきでコケティッシュで魅力みりょく的てきです。
独特どくとくの個性こせいと美うつくしさ。
渡辺わたなべ篤郎とくろうの障さわがい者しゃ演技えんぎも、研究けんきゅうし尽つくした精巧せいこうなもの。

犯罪はんざい者しゃ？
今井いまい雅之まさゆきは一見いっけんして普通ふつうなのにその不穏ふおんさはリアルで、
こういうストーカーに狙ねらわれたら逃にげ道みちはない。
リアル怖こわい。

斯かくしてホームドラマは、異様いような盛もり上あがりを見みせるのでした。
伊丹いたみ十三じゅうざ。
流石さすがというべきか？
毒どく盛もり過すぎというべきか！
だからあなたは鬼才きさい！！
原作げんさくもかなりシュールなものらしい。

ノーベル賞しょう作家さっか。
俗人ぞくじんには計はかり知しれない。