動乱どうらん

80年ねんになっても相変あいかわらず小百合さゆり様さまはお綺麗きれい。そして健けんさんは寡黙かもく。寡黙かもくすぎて60年代ねんだい日活にっかつ映画えいがの半分はんぶんも台詞せりふの量りょうが無ないので小百合さゆり様さまは戸惑とまどったのでは。
寡黙かもく・実直じっちょくが健けんさんの矜持きょうじなのであろうが、この映画えいがではただ直情径行ちょくじょうけいこうでコミュ障さわな人間にんげんにしか見みえない。人ひとの運命うんめいを散々さんざん翻弄ほんろうしておいて「不器用ぶきようですから」では済すまされんだろう。
ストーリーの方ほうももうちょっと脚本きゃくほんとか練ねってもいいんじゃない？226の歴史れきし語かたりとしては中身なかみが浅あさいし、二に大だいスターの恋愛れんあい叙事詩じょじしとしてもあまりメリハリが無ない。当時とうじの軍人ぐんじんの価値かち観かんはそんな単純たんじゅんなものじゃなかったと思おもうが。しかしこの頃ころの戦争せんそう映画えいがはこんな感かんじのが多おおいな。東映とうえいなのでヤクザ映画えいがと同おなじ展開てんかいになっちゃうのかな？80年代ねんだい頃ごろの歴史れきし観かん、戦争せんそう観かんがもっとも稚拙ちせつだったのかもしれない。

高倉たかくら健けんと吉永よしなが小百合さゆりと5.15事件じけんと2.26事件じけん。
日本にっぽん軍ぐんの無謀むぼうや腐敗ふはい、戦争せんそうへ突つき進すすむ時代じだいに起おきた事件じけんを描えがく映画えいがである。

主人公しゅじんこう（高倉たかくら健けん）は正義せいぎ感かんあふれ、言葉ことばも少すくなく清きよく正ただしく頑固がんこ。吉永よしなが小百合さゆりも感情かんじょうを抑おさえ続つづけている。青年せいねん将校しょうこうによるクーデーター事件じけんとなるともう少すこしリアルなぶつかり合あいのシーンやハラハラ・ドキドキがあっても良よさそうだが、任侠にんきょう映画えいがスターの高倉たかくら健けんの役やくどころがそうさせているのだろうか。ちょっときれいに作つくりすぎて物足ものたりなさを感かんじた。は

とはいうものの、歴史れきしの事実じじつとしての2.26事件じけんに向むかう皇すめらぎ道どう派はと青年せいねん将校しょうこうたちの思おもいと軍部ぐんぶの幹部かんぶ。淡々たんたんと進すすんでいるようで実じつは軍部ぐんぶの暴走ぼうそうが更さらに進すすみ、その悲惨ひさんさはその後ごの歴史れきしが証明しょうめいする。どこかにターニングポイントがあったのかもしれない。一般いっぱん市民しみんにひしひしと忍しのび寄よる巨大きょだいな圧力あつりょくと恐怖きょうふ、そして指導しどう部ぶの面子めんつが歴史れきしを動うごかす。

NHKBS

２２６事件じけん以降いこうに陸軍りくぐん内ないのパワーバランスが崩くずれて、中華ちゅうか事変じへん、太平洋戦争たいへいようせんそうに流ながれて行いったという。
この時代じだいをわかりやすく知しるためには、こういう映画えいがが果はたす役割やくわりは大おおきいのかも。

薫かおる役やくの吉永よしなが小百合さゆりの凄すごさから女性じょせいの哀かなしくかつ強つよく生いき抜ぬく昭和しょうわ初期しょきの女おんなのほうが印象深いんしょうぶかかった。