ストーリー
神戸は六甲山の中腹にある聖サフラン教会では、天竜組組長・故天竜源一郎の告別式が行なわれていた。オルガンで讃美歌の伴奏をしているのはシスター今日子。その瞳は神のみを見つめ、端正な横顔はこの世のものとは思えないほど美しく、やさしい。この今日子に惚れているのが、天竜晴彦。本来ならば天竜組の二代目を継ぐべきところなのだが、恋は盲目、晴彦にとっては天竜組の代紋より今日子の存在の方が大きいのだ。彼女の気をひくために、毎日、教会のブタ小屋の掃除に余念がない。それどころか、子分の意見を無視して、全員、洗礼を受けさせてしまった。腹巻きの中にはドス、首には十字架というナサケない姿で、ヤクザ仲間からはバカにされる始末。一方、今日子に想いを寄せている男がもう一人。晴彦の幼馴染みで、神戸署の刑事・神代だが、神代の実家が天台宗の寺だけに、二人の間には宗教の厚い壁が立ちはだかっている。しかし、肝心の今日子は、数年前、ある嵐の夜に宿命的な出会いをした英二という男に、秘かな恋心を抱き続けていたのだ。天竜会と対立する黒岩会会長の黒岩は、自分の情婦・百合をつかって晴彦を罠にかけようとしていた。そして二人が抱き合っている現場をおさえた黒岩は、晴彦を袋叩きにしてしまう。晴彦を救出に行った今日子は、黒岩のところに身を寄せている英二と再会。だが、英二に寄りそう女の姿を見て、その場に立ちつくすのだった。今日子は、ついに晴彦と結婚することにした。式の後で晴彦の二代目襲名披露も行なわれることになった。結婚式当日、今では晴彦に想いを寄せるようになっていた百合が、嫉妬に狂ってナイフで今日子に襲いかかり、彼女をかばった晴彦が刺され死んだ。今日子は、涙の渇く間もなく、神代に連れられて二代目襲名披露会場へ。居並ぶ親分衆の前で亡き晴彦に替って二代目を襲名するのだった。一方、黒岩会は一気に天竜組を潰すべく無差別攻撃に出た。次々と倒れていく子分たち。しかも今日子が世話する子供たちまでも標的にされた。爆破され破壊された教会で呆然と立ちつくす今日子。その時、崩れ落ちたキリスト像の後ろから、油紙で包まれた今日子の亡き父、“狂犬病鬼頭”と呼ばれた父の長ドスが現われた。そのドスを手に、黒岩会に殴り込みに行く今日子。途中、あの英二が行く手をさえぎった。だが英二は、今日子に人の斬り方を教えると、自分から彼女の手にかかって死んだ。神代と子分の次郎を従えた今日子は、黒岩会の事務所へ殴り込み、凄絶な死闘の末に、黒岩をはじめ、子分たちを倒すのだった。
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