無頼ぶらい平野へいや

解説かいせつ

孤高ここうの漫画まんが家か・つげ忠男ただおの殺気さっき溢あふれる作品さくひん群ぐんを原作げんさくに、独特どくとくの官能かんのう的てき表現ひょうげんで描えがく一風いっぷう変かわったラヴ・ストーリー。監督かんとく・脚色きゃくしょくは「ゲンセンカン主人しゅじん」の石井いしい輝男てるお。主演しゅえんは「釣つりバカ日誌にっしＳ」の加勢かせ大周たいしゅう。共演きょうえんは岡田おかだ奈々なな、佐野さの史郎しろう、金山かなやま一彦かずひこほか。「網走あばしり番外地ばんがいち　決闘けっとう零下れいか30度ど」などの“網走あばしり番外地ばんがいち”シリーズで知しられる吉田よしだ輝雄てるおが20年ねんぶりにスクリーンに復帰ふっきしたのも話題わだいとなった。ビデオは『昭和しょうわ侠客きょうかく外伝がいでん・無頼ぶらい平野へいや』のタイトルで発売はつばいされている。

1995年ねん製作せいさく／日本にっぽん
配給はいきゅう：ビターズ・エンド
劇場げきじょう公開こうかい日び：1995年ねん5月がつ29日にち

ストーリー

忠男ただおと尾瀬おぜは血液けつえき銀行ぎんこうとは名なばかりの、胎盤たいばんから血ちを絞しぼり出だすという人々ひとびとの一番いちばん嫌いやがる仕事しごとをしていた。忠男ただおは“カジノ座ざ”の踊おどり子こ・ナミに憧あこがれていたが所詮しょせんは高根たかねの花はなで、見知みしらぬ人ひとに葉書はがきを出だすという孤独こどくな遊あそびにふける日々ひびを送おくっていた。一方いっぽう、ヤクザ組織そしき・黒くろ竜りゅう会かいのボス梶山かじやまもナミを狙ねらっていて、ナミに色々いろいろと嫌いやがらせをしている。その黒くろ竜りゅう会かいに立たち向むかってナミを助たすけたのが無頼漢ぶらいかんのサブだった。しかし、サブが無頼漢ぶらいかんであるがゆえに、ナミはその好意こういを避さけるのだった。サブと尾瀬おぜは幼ような友達ともだちで、お互たがい貧まずしい少年しょうねん時代じだいを送おくった。少年しょうねん時代じだいのサブは祖父そふの陰湿いんしつなイジメに耐たえ兼かねて家出いえでし、その時ときに、梶山かじやま一味いちみと対決たいけつする無頼漢ぶらいかんリュウと遭遇そうぐうした。その出会であいは強烈きょうれつな記憶きおくとしてサブの脳裏のうりに深ふかく刻きざみ込こまれている。ある夜よる、黒くろ竜りゅう会かいのチンピラとのケンカで腹はらを刺さされた尾瀬おぜが、そのまま死しんでしまった。忠男ただおと二人ふたりで尾瀬おぜの骨ほねを拾ひろった夜よるに、サブはリュウと偶然ぐうぜん再会さいかいする。リュウは娘むすめ・ナミを一目いちもく見みようとこの街まちに戻もどってきていたのだった。ナミの“カジノ座ざ”での晴はれ舞台ぶたいの日ひ、梶山かじやまはナミをさらい無理むりに犯おかそうとするが、サブは梶山かじやまの娘むすめ・貴美子きみこをタテにナミを助たすける。黒くろ竜りゅう会かいとサブとの対決たいけつは避さけられず、サブは黒くろ竜りゅう会かいによって連つれ出だされ、たった一人ひとりで大勢おおぜいを相手あいてに戦たたかうが、そこにサブを助すけようとするリュウが現あらわれた。サブとリュウは黒くろ竜りゅう会かいの手下てしたたちを次々つぎつぎと片付かたづけ、いよいよ梶山かじやまとリュウが一対一いちたいいちで対峙たいじする。リュウの刀かたなが梶山かじやまにとどめをさして戦たたかいは幕まくを閉とじたが、自みずからも傷きずついたリュウはサブの腕うでの中なかで絶命ぜつめいした。リュウを看取みとってナミの元もとへ向むかおうとしたサブもまた、傷きずついた体からだを支ささえきれずに雨あめの中なかで息いきを引ひき取とるのだった。