ストーリー
29才のフリーター青年・里中高志(宮藤官九郎)は、前に入院した先の看護士だった信長珪(高野志穂)に一目惚れ。彼女を半分ストーカー状態で追いかけ、浅草にある高齢者向けマンション「東京パティオ」内にあるレストランで働くことになる。バイト初日、高志は入口で奇妙なジイさん(田中邦衛)に話しかけられる。だが、その老人・藤原富士郎は既に亡くなっているという。不審に思った彼が鏡を覗くと、自分の姿の代わりに、富士郎が現れた! 富士郎は、生前好きだった神崎千鳥(司葉子)への想いをあきらめることができず、高志にとり憑き、彼の体を使って想いを遂げようというのだ。独身を通してきた元女優の千鳥は、東京パティオのマドンナ的存在。彼女を狙う元活動弁士の緑川(坂上二郎)や、元うなぎ屋の小林(谷啓)のことが心配で、富士郎は死んでも死にきれないというのだ。他にも小林の妻・敦子(弓恵子)、元高級官僚で今はオカマとなって洒落たバーのマスターをしている井上五郎(宝田明)、五郎の追っかけ良子(横山通乃)、海軍出身で軍服マニアの藤掛(多々良純)、ここの長老でまったく喋ろうとしない99才の茜(千石規子)など、パティオの住民は個性的な高齢者たちばかり。富士郎にとり憑かれた高志は、なんとか霊を追い払おうとするがうまくいかない。だが、富士郎に珪への想いを見破られた高志は、年の功ゆえ知識と経験が豊富な富士郎に助けられ、とうとう自分の体に同居することを許すことにした。そんな高志を気に入らないのは、緑川と小林。高志は千鳥にダンスを申し込み、何やらデートもしているようだ。次第に千鳥もその気になってきて…。そんな気配に全然気が付かない高志に、富士郎は借金をたしなめ、株取引のイロハを教える。富士郎はかつて金融関係の仕事をしてきたやり手だったのだ。珪との関係もうまくいき始め、高志は富士郎へのお礼に、ついに千鳥をホテルへと誘う…。一方、富士郎は、高志にベンチャー事業を起こさないかと持ちかける。やりたいことがないわけではないが、高志は一旦断る。先のことをシミュレートして、やる前からあきらめてしまうという高志に「生きていくってことは見えないものを信じる勇気が必要」と諭す富士郎だが……
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