ストーリー
母、兄と平穏な暮らしをしていた“私”(森下千里)だが、ある日、兄がバックパッカーとなって南の島に移住する。その数年後、母が急逝する。たったひとりになった“私”は、このまま平凡なOLとして暮らしていくことに疑問を覚え、兄を追いかけて、自らも南の島・沖縄に向かう。しかし、謎の女性(大西麻恵)と遭遇した直後に“私”は有り金のすべてを失くしてしまい、彼女が盗んだのではないかと疑いながらも無一文となってしまう。残りの金で、あと何日暮らせるだろうか? そんな“私”に街で声をかけ、食事をおごってくれた謎の男(黒田アーサー)。彼の真意がどこにあるのかは、まったくつかめない。しかし、彼とコミュニケーションをとっていくことで、“私”の中で何か大きなものが動き出す。“私”に大きな影響を及ぼす者は、他にもいた。先輩の女性バックパッカーの、アキコ(伊藤裕子)だ。放浪のダイバーである彼女は、安宿を探したくて“私”に接触してくる。アキコに相通じるところがあり、“私”たちは宿をシェアすることになる。数日の日々が経ち二人の関係に変化が出てきて、やがてすれ違いが起こってくる。そして、想像だにしなかったことが、二人にふりかかる。また、鉄くずとコンクリートの塊に囲まれた廃墟に住む人々とも“私”は出会う。世間から隔絶された場所で、独自のリズムで生きる彼らと触れ合うことで、“私”のリズムも次第に変化してゆく。
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