としごろ（1973）

解説かいせつ

もっとも傷きずつきやすい思春期ししゅんきを向むかえた女おんなの子こたちが、周囲しゅういの先輩せんぱい、教師きょうしたちに見守みまもられながら成長せいちょうしていく姿すがたを描えがく。脚本きゃくほんは元持もともち栄美えみ、監督かんとくは「あまから物語ものがたり　おんなの朝あさ」の市村いちむら泰一やすいち、撮影さつえいは「黒くろの奔流ほんりゅう」の小杉こすぎ正雄まさおがそれぞれ担当たんとう。

1973年ねん製作せいさく／89分ふん／日本にっぽん
配給はいきゅう：松竹しょうちく
劇場げきじょう公開こうかい日び：1973年ねん4月がつ14日にち

ストーリー

この春はる、中学ちゅうがくを卒業そつぎょうした森川もりかわ昌子まさこと渡辺わたなべ優子ゆうこは、同窓生どうそうせいで、バレーボール部ぶに籍せきを置おいていた親友しんゆう同志どうしである。二人ふたりは先輩せんぱいであり、母校ぼこうの事務じむ員いん兼けんバレーボール部ぶのコーチをしている大和田おおわだ章子あきこを姉あねのように慕したっていた。昌子しょうじは母ははと二人ふたりの貧まずしい家庭かていのために、近ちかくの工場こうじょうに就職しゅうしょくした。優子ゆうこは高校こうこうへ進学しんがくしてバレーボールを続つづけようと思おもっていたが、大工だいくをしている父ちち、源みなもと三さんが怪我けがをしてしまい、高校こうこうを断念だんねんせざるを得えなくなった。しかし、優子ゆうこのバレーボールの力量りきりょうを惜おしんだバレー部ぶの監督かんとくでもある担任たんにんの沼田ぬまたは、優子ゆうこを自分じぶんの家いえに下宿げしゅくさせ、高校こうこうへ通学つうがくさせることにした。一方いっぽう、工場こうじょうで昌子しょうじの同僚どうりょうの塚原つかはら雄二ゆうじが、昌子しょうじの身代みがわりになって大だいケガをしてしまった。見舞みまいの花束はなたばも買かえない昌子しょうじは、唄うたのアルバイトまでして働はたらいた。いつしか昌子しょうじと雄二ゆうじは互たがいに惹ひかれていくのだった。そんな二人ふたりを、主任しゅにんの堀口ほりぐちは暖あたたかく見守みまもっていた。昌子しょうじの後輩こうはいの淳子じゅんこがある日ひ、不良ふりょうたちに輪姦りんかんされてしまった。淳子じゅんこは友達ともだちの透とおるを誘さそい、波打なみうつ海岸かいがんへ行いった。「俺おれは自分じぶんが嫌いやだ！　親おやたちが敷しいたレールの上うえを行いくだけだ！」と嘆なげく透とおる。淳子じゅんこと透とおるは心中しんちゅうのを図はかった。それは、単たんなる不良ふりょうグループだけへの怒いかりでなく、社会しゃかいへの矛盾むじゅん、親おやへの反抗はんこうをふくめての自殺じさつだった……。そんな頃ころ、優子ゆうこはバレーボールの練習れんしゅう中ちゅう、足あしを骨折こっせつしてしまった。バレーボールを断念だんねんしなくてはならない。いろいろ悩なやむ優子ゆうこを、昌子しょうじたちは、いつまでも美うつくしい友情ゆうじょうで結むすばれようと誓ちかいあい、彼女かのじょを励はげますのだった。強烈きょうれつに飛とんでくるボール、汗あせみどろの部員ぶいん、今日きょうも夕日ゆうひが沈しずむ学校がっこうでは、猛もう練習れんしゅうがつづいていた。