アラバマ物語
劇場公開日:1963年6月8日
解説
ピュリッツァー賞を受賞したハーパー・リーの自伝的小説を原作に、1930年代のアメリカ南部で人種差別に立ち向かう弁護士の闘いを幼い子どもたちの視点から描いた名作ドラマ。1932年、人種差別が根強く残るアラバマ州の田舎町。弁護士フィンチは妻に先立たれ、まだ幼い2人の子どもたちと暮らしている。ある日、彼は白人女性に性的暴行を加えた容疑で逮捕された黒人青年の弁護を担当することに。何よりも正義を重んじるフィンチは、差別や偏見に立ち向かいながら、青年の無実を証明するべく奔走する。しかし町民たちはそれを快く思わず、フィンチや子どもたちに対する風当たりは日ごとに強くなっていく。グレゴリー・ペックが1963年・第35回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
1962年製作/129分/アメリカ
原題または英題:To Kill a Mockingbird
配給:ユニバーサル映画
劇場公開日:1963年6月8日
スタッフ・キャスト
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受賞歴
ノミネート
最優秀作品賞(ドラマ) | |
最優秀監督賞 | ロバート・マリガン |
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2024年9月1日
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■1930年代のアメリカ南部アラバマ州が舞台。
幼い息子ジェムと娘スカウトと暮らす弁護士・アティカス・フィンチ(グレゴリー・ペック)は、白人女性暴行の罪で訴えられた黒人青年・トムの弁護を依頼される。
人種偏見の強い町の人々は冷たく当たるようになるが、アティカスは正義を重んじ、弁護を引き受け、陪審員が全員白人であるという絶望的な裁判に臨む。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・誰が見ても、白人女性マイエラ・ユーエルを殴りつけたのは、愚かしき父親ボブ・ユーエルであり、その証拠を裁判で見事に証明するアティカスだが、黒人差別意識の激しい南部アラバマでは、トムに対し、有罪判決が出る。
そして、アティカスは肩を落とすトムに”上告するから。”と告げるシーンの、黒人牧師に促され、2階で裁判の遣り取りを聞いていた黒人たちが、アティカスの背に向かって起立するシーンの崇高さよ。
けれども、トムは”勾留場所から逃げ出して”射殺されたという報が届く。
それを聞いている幼い息子ジェムと娘スカウト。
・ボブは勝訴したにも関わらず、アティカス・フィンチへの嫌悪を隠さない。
トムの死を肉親に告げに行ったアティカス・フィンチの後を追い、彼に唾を吐きかけるが、フィンチは冷静に対応するのである。
・しばらくたって、幼い息子ジェムと娘スカウトはハロインパーティーに出掛ける時に、何者かに襲われる。
だが、別の者がその男からジェムを救い出す。
そこに保安官がやって来て襲ったのはボブ・ユーエルで、彼はナイフが胸に刺さって死んだという。
スカウトは、自分達を助けてくれたのは、極度の恥ずかしがり屋であるために、様々な噂を立てられていたアーサー・”プー”ラドリー(若き、ロバート・デュヴァル)という事を知っていた。
そして、保安官も”ボブ・ユーエルは、自業自得の死”と言い、恥ずかしそうに戸の陰に立っていたアーサー・”プー”ラドリーを、英雄と言って人前に出すのは”罪”であると言うのである。
<今作は、1930年代のアメリカ南部アラバマ州の黒人蔑視の状況を知らない子供、アティカス・フィンチ弁護士の娘スカウトの目線で描かれた、”相手を理解する大切さ。””。”人種、地位、思想が違ってもお互いに歩み寄る大切さ。”を描いた逸品である。
ラスト、そのスカウトが言う”無害なツグミを撃ってはいけない。”という言葉も染み入る作品である。>
2024年8月13日
PCから投稿
アメリカという国は時々とんでもない正義感を見せます。
ペック先輩の格調高い誠実な演技は素直に感動します。
AFI100にも入った名作なので未見の人はどうぞ。
2024年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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1930年代のアメリカと言えば、ニューディール政策で黒人やヒスパニックといった有色人種が支援の対象外となるなど、人種差別もまだまだ根強かった時代。とりわけ、今作の舞台であり、南北戦争以前は黒人の奴隷制を認めていたアメリカ南部は、差別も強烈なものだったはずだ。作中でも、証人の証言の矛盾を明確に暴いているのにもかかわらず、被告人を有罪とする理不尽さが描かれている。また、障害者に対する差別も根強かったことが窺える。
そのような黒人や障害者に対する差別を、純粋な子供の視点を通じて描く。差別に関して子供らしい無邪気さを発揮する子どもたちを、父親であるグレゴリー・ペック演じる弁護士アティカスが、教え諭すという構成を取ることで、差別を批判するメッセージが込められている作品。
アティカスの人物描写がよくできているのも、この作品を魅力的にしている。子どもたちを叱る際も声を荒げることなく、優しく教え諭している良い父親だ。彼の弁護士業が原因で学校で揉め事を起こす娘に対して「差別を受けている被告人の弁護を止めてしまったら、お前を叱る資格が無い」と言うところが、筋が通っていて魅力的だ。
ストーリーは、アティカスの熱心な弁護にもかかわらず裁判が有罪で終わることでリアリティが出せている。しかし、最後に隣人のブーが子どもたちを助けてくれる結末にすることで、後味の良い構成にできていたのが良かった。
2024年2月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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裁判では勝てなかったけど妨害に立ち向かい正義のために法廷で戦った父の姿は、子どもたちにとってなにもよりもの教育や道標になったに違いないですね。ブーの伏線もとても良かった。
余韻の残る作品でした。