デリカテッセン

DVD特典とくてんの監督かんとく自身じしんのコメントによれば、本ほん作さくは、監督かんとくがオンボロアパートに引ひっ越こした折おりに「変かわり者ものがたくさん住すんでいて、いろいろとトラブルが絶たえないアパートかも知しれない。もし、そうだったら、面白おもしろい。」と妄想もうそうしたことから着想ちゃくそうを膨ふくらませ、低てい予算よさんで作つくった作品さくひんだったとのことでした。

映画えいが作品さくひんの内容ないようとしては、実話じつわモノ（ドキュメンタリー）あり、小説しょうせつなどの原作げんさくを底本ていほんとするものなど、いろいろとありますが、映画えいが作品さくひんというものが、そもそも監督かんとくの知的ちてき創造そうぞうの産物さんぶつであるとすれば、本ほん作さくのように監督かんとくの想念そうねんを少すこしずつ膨ふくらませて、一本いっぽんの作品さくひんに仕上しあげるというのは、案外あんがいとオーソドックスな製作せいさく方法ほうほうと言いえるのかも知しれません。

◯アパートの大家たいかは、建物たてものに同居どうきょしているのがいい。
◯建物たてものの一いち階かいで（入居にゅうきょ者しゃも顧客こきゃくにして）商売しょうばいをしているというのが良よい。
◯肉屋にくやはどうだろう。入居にゅうきょ者しゃから家賃やちんを取とるほか（食材しょくざいとして誰だれでも買かう）肉にくを売うって儲もうけている。
◯毎朝まいあさ、決きまった時間じかんに肉にく切ぎり包丁ぼうちょうを研とぐ様子ようすが不気味ぶきみ。
◯古ふるいアパートで、変かわり者ものもたくさん住すんでいるし、ドブネズミ（トログロ団だん）も出没しゅつぼつする。

監督かんとくの想念そうねんを、少すこしずつ膨ふくらませて（映像えいぞう化かして）一本いっぽんの作品さくひんとして仕上しあげる―そういう意味いみでは「映画えいがらしい映画えいが」ともいえる一本いっぽんだったと思おもいます。
佳作かさくであったとも思おもいます。
評論ひょうろん子こは。

もう、30年ねんも前まえの映画えいがなんだ。
なんと！初はつ見みかも知しれない。

脚本きゃくほんと演出えんしゅつが矛盾むじゅんなく進行しんこうするので、難解なんかいな映画えいがのようで、勧善懲悪かんぜんちょうあくだった。しかし、奥おくが深ふかい。それぞれのキャラクターの行動こうどうには何なにかの意図いとを感かんじる。一回いっかい見みて感想かんそうを言いうのは憚はばかれるかも知しれない。機会きかいがあれば、もう一度いちど見みてみたいものだ。
これぞ傑作けっさく。
追記ついき
昨日きのう見みた『嫌きらわれ松子まつこの一生いっしょう』に影響えいきょうを与あたえているのかなぁと感かんじた。

ネタバレあり

最後さいご

屋根やねの上うえでチェロとノコギリの合奏がっそう。
背後はいごの空そらが次第しだいに晴はれてくる。

「アメリ」の監督かんとくさんだったんですね。
まったく気きがついてなかった。
アメリでは、じゃあ、ずいぶん毒どくを抜ぬいたんだなあ。

映像えいぞうはグロテスクで悪あく趣味しゅみ感かん満載まんさい。なのにキモーイというよりかはおかしい。

登場とうじょう人物じんぶつたちも変へんな人ひとたちばっかり。主人公しゅじんこうからして一見いっけんまともかなと思おもわせて
よく考かんがえたら妙みょうだよね…。

しかしテンポがよくて、意地悪いじわるーな展開てんかい、カット。かなりツボにはまりました。
映画えいが館かんで腹はらかかえて笑わらいました。
毒気どくけが好すきな人ひとに合あうのかな？

なんとなく初対面しょたいめんの人ひとにこの映画えいがを大好だいすきというの勇気ゆうき要いるなあ。

個性こせいが溢あふれる住人じゅうにんで、ストーリーの途中とちゅう途中とちゅうもクスッと笑わらえるところがあった。カエルとかナメクジがいる住人じゅうにんの部屋へやを見みた時ときは、気持きもち悪わるくなった。それがマイナスの減点げんてん。うーーん、見みてて共感きょうかんできる部分ぶぶんがなかったのが残念ざんねん。昔むかしながらの映画えいがだ思おもうけど、自分じぶんには合あわなかったなー