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トロイアの女 : 作品情報 - 映画.com

トロイアのおんな

劇場げきじょう公開こうかい

解説かいせつ

ソフォクレス、アイスキュロスとなら古代こだいギリシャさんだい悲劇ひげき作家さっか1人ひとりエウリピデスの「トロイアのおんな」の映画えいが製作せいさくはエニス・ノーラ、製作せいさく監督かんとく脚本きゃくほんは「そのおとこゾルバ」のマイケル・カコヤニス、撮影さつえいはアルフィオ・コンティーニ、音楽おんがくはミキス・テオドラキスが各々おのおの担当たんとう出演しゅつえんはキャサリン・ヘップバーン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジュヌビエーブ・ビュジョルド、イレーネ・パパス、パトリック・マギー、ブライアン・ブレスドなど。

1971ねん製作せいさく/アメリカ
原題げんだいまたはえいだい:The Trojan Women
配給はいきゅう:インターナショナル・プロモーション
劇場げきじょう公開こうかい:1977ねん1がつ22にち

ストーリー

紀元前きげんぜん、ギリシャとの10ねんわた苛酷かこく戦争せんそうすえ、トロイはスパルタおうメネラウス(パトリック・マギー)の軍門ぐんもんくだり、ぐん略奪りゃくだつ暴虐ぼうぎゃく陰惨いんさんをきほめ、まち老女ろうじょだけがのこった廃墟はいきょした。トロイの王妃おうひヘカベ(キャサリン・ヘップバーン)の運命うんめいのトロイのおんなたち同様どうようで、のこったおんなたちはヘカベのもとあつまった。彼女かのじょたちには、ヘカベとそのむすめカッサンドラ(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)の生存せいぞんが、せめてのすくいだった。が、ギリシャぐん使者ししゃタルキイビウス(ブライアン・ブレスド)があらわれ、予言よげんしゃとしてうわさたかいカッサンドラをギリシャに連行れんこうするとう。ヘカベたち尋問じんもんにもこごめせず、カッサンドラのかくらせまいとした。けれど不運ふうんにもかくれていた神殿しんでんから一筋ひとすじけむりのぼり、カッサンドラはつかってしまった。はげしく抵抗ていこうするカッサンドラにとって、ちちあにうばったギリシャにされるのはえられない。さけび、られてくカッサンドラを見送みおくるヘカベ。悲運ひうんはまだつづく。ヘカベの息子むすこでトロイいち勇者ゆうしゃヘクトルの未亡人みぼうじんアンドロマケ(ヴァネッサ・レッドグレイブ)と遺児いじアスティアナスも連行れんこうされ、まだおさないアスティアナスをころせとの命令めいれいくだった。むすめばかりかまごまでも。ヘカベ、アンドロマケたち悲憤ひふんくるわんばかり、必死ひっし抵抗ていこうする彼女かのじょたち。だが、アスティアナスは城壁じょうへきに、アンドロマケは海岸かいがんのギリシャぐんにそれぞれられてった。何故なぜ?ヘカベたちいかりは頂点ちょうてんたっした。そのにくしみのはこのギリシャぐん兵舎へいしゃるこのたたかいのいん、ヘレネ(イレーネ・パパス)にけられた。ヘレネはメネラウスのきさきでありながら、トロイおうプリアムの息子むすこ、パリスとおとしたあげくいまふたたびメネラウスのしょかえろうといる。ヘカベはヘレネをころすよう、メネラウスにるが、無駄むだだった。メネラウスはヘレネの魅力みりょくわすれられず、2人ふたりってく。そして、宵闇よいやみせまころ、ヘカベのもとにアスティアナスの遺体いたいはこばれ、いまはもうなみだれたヘカベたちしずかに遺体いたいほうむるだけだった。

全文ぜんぶんむ(ネタバレふく場合ばあいあり)

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映画えいがレビュー

4.0戦争せんそう犠牲ぎせいしゃである女性じょせいの、なげくるしみを表現ひょうげんした女性じょせい映画えいが見応みごたえと迫力はくりょくかん

2022ねん3がつ16にち
PCから投稿とうこう
鑑賞かんしょう方法ほうほう映画えいがかん

これはギリシア悲劇ひげき古典こてんいどんだマイケル・カコヤニス監督かんとく本領ほんりょう発揮はっきした、見応みごた充分じゅうぶん力作りきさくだった。このような本格ほんかくてき演劇えんげき映画えいが表現ひょうげんされることは、とお過去かこのものとして時代じだいからわすられてくだろう。それでも70年代ねんだい古典こてん映画えいが制作せいさくしたことの意味いみは、カコヤニス監督かんとく自信じしんほこりのあらわれであるとおもう。なにより役者やくしゃ実力じつりょく最大限さいだいげんかして、古典こてん悲劇ひげき魅力みりょく構築こうちくしていることが素晴すばらしかった。ベテランのめい女優じょゆうキャサリン・ヘップバーンに、若手わかてではジュヌビエーヌ・ビジョルド、「ジュリア」でアカデミーしょう助演じょえん女優じょゆうしょう受賞じゅしょうしたバネッサ・レッドグレイヴ、そしてトロイアのヘレンにふんするイレーネ・パパスと、演技えんぎりょく強固きょうこ個性こせい表現ひょうげんできる女優じょゆうたちの、まさ豪華ごうかばんである。
これら4にん女優じょゆうは、その順番じゅんばん登場とうじょうしてドラマのがりとはべつに、ひとりの女性じょせいとしての情念じょうねん爆発ばくはつてられている。トロイアの王妃おうひでありのこされた女性じょせいたちの指導しどうしゃであるヘップバーンは、ギリシアによってほろぼされたトロイアの悲劇ひげき全身ぜんしんうごきで表現ひょうげんし、その細身ほそみ身体しんたいがより苦闘くとうはげしさをあらわす。この映画えいが品格ひんかくが、ヘップバーンの存在そんざいかん成立せいりつしているとって過言かごんではない。そこへ先天的せんてんてき霊感れいかん持主もちぬし王女おうじょのビジョルドがあらわれ、狂人きょうじんてた姿すがたあやしげにえんす。この親子おやこ熾烈しれつきわめたあらそいの見事みごとなこと。そして、おっと王子おうじうしなったレッドグレイヴが息子むすこれて登場とうじょうするが、そのおさなおとこまでもギリシアぐん殺害さつがいせよと命令めいれいつたえる。どう抵抗ていこうしようと、トロイアのおとこ滅亡めつぼう運命うんめいにある。映画えいがのクライマックスは、王妃おうひヘップバーンと亡骸なきがらとなったまご再会さいかいと、そして曲者くせものヘレンのパパスの登場とうじょうとなる。このパパスの演技えんぎがまた素晴すばらしい。トロイアに悲劇ひげきをもたらした張本人ちょうほんにんともうんえるヘレンだけが優遇ゆうぐうされる場面ばめんおんなたちが衝突しょうとつする劇的げきてき展開てんかいをパパスの強烈きょうれつ個性こせいささえる。
ギリシア古典こてん悲劇ひげき演劇えんげきドラマとして見応みごたえのある映画えいが作品さくひんだった。演劇えんげき素養そようものでも、この女優じょゆうたちの熱演ねつえんには圧倒あっとうされるとおもう。その一人ひとりとして素直すなお評価ひょうかしたい作品さくひんである。

  1978ねん 5月3にち  高田馬場たかだのばばパール

カコヤニス作品さくひんは、に「さかなてきた」しかていない。イレーネ・パパスは、メリナ・メルクーリとともにギリシャ出身しゅっしんきな女優じょゆうさん。「ナバロンの要塞ようさい」「わるやつほどしろい」「Z」「1000にちのアン」「風雪ふうせつ太陽たいよう」「エレンディラ」「「予告よこくされた殺人さつじん記録きろく」とているが、この映画えいが演技えんぎかった。演技えんぎりょくそなえた存在そんざいかんある個性こせい女優じょゆうのひとり。ときはなしのネタにげられるトロイの木馬もくばことったのは、中学生ちゅうがくせいときにテレビでたロッサナ・ポデスタ主演しゅえん、ロバート・ワイズ監督かんとくの「トロイのヘレン」だった。最近さいきんでは、ブラッド・ピット主演しゅえんの「トロイ」が記憶きおくあたらしい。そのなかで、この作品さくひん女性じょせい映画えいが先駆せんくともうんえるくらい、演技えんぎ女優じょゆうによる本格ほんかくてき演劇えんげき映画えいがになっている。

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Gustav