ジャスティス・リーグ

最近さいきんヒーロー映画えいがに対たいする世よの中なかの期待きたいが過剰かじょうになってはいないか。確たしかにマーヴェルはヒーロー物ぶつに新あらたな可能かのう性せいをもたらしたし、追おいつけ追おい越こせのDCも野心やしん的てきな試こころみをしてきたように思おもう。ただ、肩かたひじ張はらずに楽たのしめるファミリー映画えいが以上いじょうのものが観客かんきゃくからも求もとめられるようになり、Twitter等とうで世間せけんの感想かんそうを追おっていても、思おもい入いれが深ふかすぎて「重おもいよ！」と言いいたくなることがある。

その点てんDC系けいヒーローが集結しゅうけつする「ジャスティス・リーグ」は、いろいろ不満ふまん点てんあれど、程ほどよく楽たのしいお祭まつりムービーとしてちゃんと成立せいりつしていたと思おもう。スーパーマンを肴さかなに神かみと人間にんげんについて考察こうさつしたり、バットマンから善ぜんと悪あくの境目さかいめの曖昧あいまいさを感かんじ取とったり、そういう映画えいがにはそういう映画えいがの役割やくわりや面白おもしろさがある。でも今回こんかいの「ジャスティス・リーグ」は「お待またせしまいた！全員ぜんいん集合しゅうごう！」ってことでいいのではないか。しかもワンダーウーマンのガル・ガドットの魅力みりょくはもはやアンストッパブルですな。

DC映画えいがは、愛あいや希望きぼうといったテーマを根幹こんかんに据すえるところが魅力みりょくだ。それらは語かたり尽つくされたテーマにも思おもえるが、マーベルを含ふくめ多様たようなヒーローが入いり乱みだれるご時世じせいで、このブレのなさは逆ぎゃくに貴重きちょうに思おもえてならない。

そんな愛あいや希望きぼうの戦士せんしが集結しゅうけつする本ほん作さくは、冒頭ぼうとうからhope、believe、または路上ろじょうに佇たたずむ男おとこの傍かたわらに”I tried”という文字もじが添そえられているなど、分わかりやすいワードを使つかって現代げんだい社会しゃかいを描写びょうしゃしていく。かくも地ちに足あしのついた切きり口くちで「神かみなき世界せかい」を見みつめようとする姿勢しせいにまず胸むねを揺ゆさぶられた。

一人ひとり一いち人にんをスカウトする構成こうせいや、ヒーローたちがそれぞれにハーモニーを生うみ出だしていく過程かていにも安定あんていした面白おもしろさがある。一方いっぽう、悪役あくやくのキャラがやや弱よわくて印象いんしょうに残のこらないのが残念ざんねん。アクションもあと一いち歩ほ、突つき抜ぬけたものが欲ほしかった。シリーズを光ひかりの差さす場所ばしょに連つれ出だす要素ようそがあと一ひとつでも加くわわれば、何なにかが劇的げきてきに変かわる気きがするのだが。

各かくヒーローが一応いちおうメジャーで細こまかい説明せつめいは不要ふような「アベンジャーズ」に対抗たいこうして、メインシリーズが好調こうちょうなワンダーウーマンの艶あでやかさと、新米しんまいフラッシュのコミカルさと、そして、見みた目めスイマー体型たいけいの半はん漁りょう人じん、アクアマンの逞たくましさを注入ちゅうにゅうし、イメチェンに成功せいこうした"DCユニバース"の最新さいしん作さく。TVCMもそんな乗のりを全面ぜんめんに押おし出だした演出えんしゅつだが、個人こじん的てきには、長引ながびく悪あくとの死闘しとうで疲弊ひへいし、その疲つかれからか髪かみに白しろい物ものが混こんじるベン・アフレックのバットマンが意外いがいな収穫しゅうかくだった。シリーズ卒業そつぎょうが噂うわさされるベンアフだが、その決断けつだんは少すこし先さき延のばしにして欲ほしいと思おもう今日きょうこの頃ころである。

身内みうちの不幸ふこうでスナイダー監督かんとくが途中とちゅう降板こうばんと聞きき、彼かれの演出えんしゅつがどの程度ていど残のこっているのか不安ふあんもあったが、スーパーマンを失うしなった世界せかいの悲かなしみをモンタージュで示しめすオープニングが「ウォッチメン」を想起そうきさせて感慨かんがい深ふかく、まずは一安心ひとあんしん。映画えいがファンを驚おどろかせた「300」の再生さいせい速度そくどを巧たくみに操あやつるアクション演出えんしゅつも、高速こうそく移動いどうする超人ちょうじんフラッシュを得えて、得意とくいの技わざを発揮はっきできるシークエンスが増ふえたと張はり切きったのではないか。

フラッシュと言いえば今回こんかい登場とうじょうする新しんヒーローたちの中なかで単独たんどく作さくが最もっとも楽たのしみなのが彼かれ。ただ、コミックリリーフの役回やくまわりも含ふくめ「X-MEN」シリーズのクイックシルバーとキャラがかぶり気味ぎみなのは気きになるが。

「アベンジャーズ」のジョス・ウェドンが監督かんとくを引ひき継ついだことで、ザックの作家さっか性せいである暗くらさが抑おさえられ、明あかるく分わかりやすい活劇かつげきになった。「ジャスティスの誕生たんじょう」の評価ひょうかが低ひくかったこともありワーナーが無難ぶなんな路線ろせんを望のぞんだのだろう。