神様かみさまのカルテ2

<映画えいがのことば>
医者いしゃの不養生ふようじょうとは、よく言いったもんだ。
先生せんせいも、奥おくさんを大事だいじにね。
ウチのには、いい迷惑めいわくだろう。
夫婦ふうふの時間じかんなんて、これっぽっちもない生活せいかつで、いざ顔かおを突つき合あわせるとなったら（ダンナの）看病かんびょうとはねぇ。
でも、あいつには悪わるいけど、後悔こうかいはしていないよ。医療いりょうに捧ささげた時間じかんを、ね。

貫田ぬきた医師いしの奥おくさん・千代ちよが、本当ほんとうに、いつもいつも「夫婦ふうふの時間じかん」を望のぞんでいたとは限かぎらないと、実じつは、評論ひょうろん子こは思おもいました。
この、映画えいがのことばを聞きいて。

それは、ある奥おくさんが話はなしをしてくれた時ときのことを覚おぼえていたからです。
「ウチのダンナはさぁ、こんな天気てんきのいい日びくらい、どっかに出掛でかけてくれれば家いえの中なかの片付かたづけもできるのにと思おもっても、出掛でかけもしないで、家いえの中なかでゴロゴロ、ゴロゴロ。
鬱うつ陶すえ（うっとうし）いったら、ありゃしない。
それでいて、台風たいふうが来きていたり、地震じしんがあったりして、こんな心細こころぼそい日ひくらいは家いえにいて欲ほしいなぁと思おもう日ひに限かぎって、仕事しごとで出掛でかけてしまって…。」

夫おっとのことををぼやいているようで、実じつは夫おっとを誇ほこらしく思おもっているんだろうなぁ、ということは（ことばの表現ひょうげんとは裏腹うらはらに）彼女かのじょの表情ひょうじょうからは、読よみ取とることができました。

ちなみに、彼女かのじょの夫おっとは、消防しょうぼう職員しょくいん（消防しょうぼう士し）。

彼女かのじょは、身みを挺ていしての火災かさいの鎮圧ちんあつ、人命じんめいの救助きゅうじょということを仕事しごとにしている夫おっとと、夫おっとのその仕事しごととを誇ほこりに思おもっていることか、ハッキリと分わかりました。
評論ひょうろん子こには。

たぶん、医師いしとしての夫おっとと、夫おっとの医師いしという仕事しごとを、千代ちよはちゃんと理解りかいをしていたのではないかと思おもいます。

時間じかん外がい労働ろうどうの常軌じょうきを逸いっした長ながさということでは、医師いしは（義務ぎむ教育きょういく緒いとぐち学校がっこうの教員きょういんと並ならんで）ダントツの首位しゅい争あらそいをしているような職種しょくしゅですから、そのワーク・ライフ・バランスの在あり方かたということでも、単純たんじゅんではない、一筋縄ひとすじなわではいかないことでしょう。

奥おくさんの苦悩くのうも目まの当あたりにしてきていた進藤しんどう医師いしにしてみれば、定時ていじ出勤しゅっきん・定時ていじ退勤たいきんが、多おおくの他ほかの職業しょくぎょうと変かわらない（はず）の医師いしという職業しょくぎょうでもワーク・ライフ・バランスを考かんがえなければならなかったようですけれども。

しかし、必かならずしもそうも単純たんじゅんに割わりきれるものでではないことは、貫田ぬきた医師いしと千代ちよ、栗原くりはら医師いしとハルとを見比みくらべても、窺うかがうことができるようにも思おもわれます。

そして、千代ちよは、やっぱり知しっていたのでしょうね。
貫田ぬきた医師いしが大学だいがく（医局いきょく）からのオファーを蹴けって、本荘ほんじょう病院びょういんの常勤じょうきん医師いしの途とを選えらんだ理由りゆうを。
それだけに、家いえにいることが少すくない貫田ぬきた医師いしにも理解りかいがあったことでしょう。
いいご夫婦ふうふだと思おもうのは、評論ひょうろん子こだけではないこととも思おもいます。

三さん組くみの夫婦ふうふのそれぞれの関係かんけい性せいが、心しんに温あたたかい一本いっぽんでもありました。
佳作かさくという評価ひょうかは、間違まちがいのない一本いっぽんでもあったと思おもいます。
評論ひょうろん子こには。

（追記ついき）
やっぱり有能ゆうのうな医師いしだったのですね。進藤しんどう医師いしは。
けっきょくは入院にゅういん患者かんじゃの四賀しがも、貫田ぬきた医師いしの奥おくさん・千代ちよにも、充分じゅうぶんな説明せつめいで、納得なっとくと安心あんしんとを与あたえることができているわけですから。
そのことも、本ほん作さくの「温あたたかさ」の要素ようその一ひとつになっているのでしょう。

（追記ついき）
映画えいが.comのサイトでは役名やくめいが出でていなかったのですけれども。
しかし、糖尿とうにょう病びょうの入院にゅういん患者かんじゃの役やくで、佐藤さとう二に朗ろうが出演しゅつえんしていました。
実じつは、さる医大いだい病院びょういんの医師いしから「勝手かってなことをする。言いうことを聞きかない。いちばん始末しまつに負おえない患者かんじゃは同業どうぎょうの患者かんじゃ。」と聞きいたことがあります。
患者かんじゃの側がわにもなまじっか知識ちしきがあるだけに、また「医療いりょう現場げんばの裏うらも表ひょうも知しっている」だけに、治療ちりょうに当あたる医師いしの側がわでも何なにかとやりづらいことでしょう。
その「やりづらさ」を、佐藤さとう二に朗ろうは好演こうえんしていたのではないかと思おもいます。
評論ひょうろん子こは。

（追記ついき）
むしろ、第だい一いち作さくに比くらべで、栗原くりはら医師いしの方ほうが、もっとベテラン臭くさくなったというのか…。
いわゆる「医師いしの顔かお」になっていると思おもったのは、評論ひょうろん子こだけだったでしょうか。

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相変あいかわらず眠ねむいこと言いってる桜井さくらいと、旧友きゅうゆうで現実げんじつ主義しゅぎ者しゃの藤原ふじわら。
患者かんじゃの柄本えもとが死しにかけて、夜景やけいを見みせようってことになる。
そのためには病院びょういんのネオンが邪魔じゃまで、宿直しゅくちょくが意図いと的てきに電源でんげんOFF。

柄本えもとは最後さいご感動かんどう的てきなことだけ言いって、ちょうどええタイミングで死亡しぼう。
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うーん、あまりにもズレてると思おもうわ。
儲もうけ第だい一いち主義しゅぎの病院びょういんの中なかで、患者かんじゃと心しんを通かよわせるのはいい。
でもやってることが子供こどもじみて無意味むいみ過すぎる。

夜景やけいなんてどーでもええし、そんなんでネオン消けすなよ。
大人おとなの社会しゃかいとは到底とうてい思おもえない、無理むりやり感動かんどうさせようという意図いとに興きょうざめ。

相変あいかわらずあおいの存在そんざい意義いぎが全まったく無むいし。
次つぎ作さくがあっても絶対ぜったい見みないと、嫁よめと誓ちかい合あいました(場ば)

静しずかで密度みつどの濃こい時間じかん
心しんの波なみ立だちが収おさまっていく

やっぱり続編ぞくへんがあれば観みたくなるよね。

櫻井さくらい翔しょう扮ふんする栗原くりはら一いち止とめが務つとめる本庄ほんじょう病院びょういんに藤原ふじわら竜也たつや扮ふんする栗原くりはらと同期どうきのエリート進藤しんどう辰也たつやが赴任ふにんしてきた。医療いりょうの底辺ていへんへようこそと栗原くりはらは言いった。ところが何故なぜか進藤しんどう辰也たつやの勤務きんむ態度たいどは悪わるかった。

医師いしにとって家族かぞくとは何なにか？　主治医しゅじいの責任せきにんとはどこまでか？　患者かんじゃに寄より添そう治療ちりょうとは休やすみなく医師いしが働はたらく事ことか？　確たしかに患者かんじゃの家族かぞくは医師いしを責せめ、家族かぞくを犠牲ぎせいにしてでも責任せきにんを果はたすのが当あたり前まえと思おもわれるのが普通ふつうかな。でも医師いしにも生活せいかつがある。ある程度ていどの割わり切ぎりが必要ひつようなんだろうな。そばに居いなくても気持きもちは寄より添そえるか。