「何なにを一番いちばんに見みせたかったのかイマイチ分わからない」風ふう立たちぬ　Fate number.9さんの映画えいがレビュー（感想かんそう・評価ひょうか）

アニメーションの完成かんせい度どは文句もんくなしですが、最近さいきんのジブリ作品さくひん同様どうよう、肝心かんじんのストーリー展開てんかいや人物じんぶつ描写びょうしゃに関かんしては焦点しょうてんがバラけていると言いうか、何なにを一番いちばんに見みせたかったのかイマイチ分わからないものになっています。

そもそも、主人公しゅじんこうである堀越ほりこし二郎じろう氏しが「戦闘せんとう機き・ゼロ戦せんの設計せっけい者しゃ」であるという事ことを知しった上うえで観かんに来くるジブリファンがどれだけいるのでしょうか？そして知しらない人ひとに対たいして堀越ほりこし氏しの半生はんせいと偉業いぎょうをどう伝つたえたかったのか？その辺あたりが見みえないので、単たんに宮崎駿みやざきはやお氏しが描えがきたかったものをツギハギしているだけの自己じこ満足まんぞくで終おわっているように思おもえます。

他たの人ひとの指摘してきにもあるように、この作品さくひんは戦前せんぜん〜戦中せんちゅうの飛行機ひこうき開発かいはつの苦労くろうを描えがきたいのか、少年しょうねんの頃ころの夢ゆめを叶かなえる情熱じょうねつとサクセスストーリーを描えがきたいのか、ふたりの悲恋ひれんを描えがきたいのか、震災しんさいや戦争せんそうにより疲弊ひへいしていく日本にっぽんの歴史れきしの悲劇ひげきを描えがきたいのか、それぞれ焦点しょうてんがバラけてまとまりが無なく、どれも中途半端ちゅうとはんぱな扱あつかいで描えがき切きれていません。

結局けっきょく、肝心かんじんの「ゼロ戦せん」を制作せいさくする過程かていや戦争せんそうの描写びょうしゃはほとんど描えがかれないまま終了しゅうりょう。戦争せんそうに突入とつにゅうして行いく当時とうじの緊迫きんぱくした時代じだい背景はいけいの変化へんかをきちんと踏ふまえたうえで、堀越ほりこし氏しの大好だいすきな飛行機ひこうきを作つくれる喜よろこびや、その飛行機ひこうきが戦争せんそうに使つかわれる事ことの苦悩くのうなどを描えがかないと、こちらに訴うったえかけるものが無ないように思おもえます。