疑惑ぎわくのチャンピオン

ドーピングで永久えいきゅう追放ついほうになった人ひとの話はなしですが予想よそう以上いじょうに不快ふかいな人間にんげんの作品さくひんでした。
役やく作づくりなのか本当ほんとうにそういう人物じんぶつだったのか、冒頭ぼうとうから自信じしん過剰かじょうで自己じこ中心ちゅうしん的てきで狡猾こうかつな、いかにも「イヤな奴やつ」なので永久えいきゅう追放ついほうになっても自業自得じごうじとく、という感想かんそうしか持もてないようなわかり易やすい演出えんしゅつ方針ほうしんです。
映画えいがとしては面白おもしろいです。

ツールドフランス詳くわしくなかったけどなかなか面白おもしろかったです。
もともと勝利しょうりへの執念しゅうねんが強つよいとはいえ
闘病とうびょう後ごにいっそうそれが強つよまったのは
納得なっとくできる面めんもある。
しかしそれが隠かくれ蓑みのになっていくのは皮肉ひにくで残念ざんねん。
支援しえんしたいという気持きもちは嘘うそではなかったはずなんだが。

あれほどに人々ひとびとの信頼しんらいと喝かっさいを浴あびて
ウソをつき続つづけられる（ある意味いみ）メンタルの強つよさに驚おどろきでした。

もっと家族かぞくや周囲しゅういの人ひととの関かかわりもあるとなお良よかったかな。
その後ごも気きになるところです。
子供こどもとかキツイよなあ。

人ひとは、信しんじられるものを探さがし求もとめるあまり、事実じじつらしいものを偽造ぎぞうしてしまう傾向けいこうがあるのかもしれない。マスメディアは、この傾向けいこうを極端きょくたんに強つよめる道具どうぐになっている。マスコミが作つくった熱狂ねっきょうを、マスコミの内部ないぶで真実しんじつの追求ついきゅうの名なの下したに突つき崩くずそうという抗こう争そうがあるのは、自己じこ矛盾むじゅんだと思おもった。人間にんげん誰だれしもが持もっている優やさしさや正義せいぎは、偽善ぎぜんや功名こうみょう心しんと渾然一体こんぜんいったいとなっている。それがメディアを通つうじて色いろんな人ひとの利害りがいを巻まき込こんでいくと、物凄ものすごく歪いがんだ極端きょくたんな虚構きょこうが出来上できあがる、という構図こうずをとてもよく表あらわす具体ぐたい例れいだと思おもった。

勝かつためなら何なにをしてもＯＫ。
そんな狂気きょうきを淡々たんたんと描えがいた、実話じつわベースのドラマ。

別べつに薬物やくぶつ使用しようを肯定こうていするつもりはないけど、
純粋じゅんすいにもっと強つよく、もっと速はやく、と追求ついきゅうしたとき
そこにドーピングが含ふくまれることは
ある意味いみで自然しぜんなのかも、と思おもってしまった。
もちろんルールで禁止きんしされてるし、倫理りんり的てきにＮＧというのはあるんだけど。