エタニティ　永遠えいえんの花はなたちへ

ー　今いま作さくは、人生じんせい賛歌さんかを謳うたいあげた作品さくひんである。ー

＜Caution 内容ないように触ふれています。＞

　　・ヴァランティーヌ（オドレイ・トトゥ）は、親おやの決きめたジュールとの結婚けっこんを一いち度どは拒否きょひするが、ジュールの想おもいを知しり、結婚けっこん。
　　８人にんの子供こどもに恵めぐまれる。
　　だが、男子だんしの双子ふたごは、童貞どうていのまま戦場せんじょうに散ちり、娘むすめエリザベートも病やまいに倒たおれる。
　　”人生じんせいは死者ししゃを見送みおくる事こと・・”と悲嘆ひたんにくれるヴァランティーヌ。
　　更さらに、もう一人ひとりの娘むすめマリゴは、修道院しゅうどういんへ行いってしまう。
　　ー　波乱万丈はらんばんじょうな人生じんせいであるが、この物語ものがたりはこんな程度ていどでは終おわらない。ー

　　・ヴァランティーヌの息子むすこアンリは幼馴染おさななじみの美うつくしき女性じょせいマチルド（メラニー・ロラン：「イングロリア・バスターズ」のあの女性じょせいですね。）と恋こいに落おち、娘むすめに恵めぐまれるが、４０歳さいで産うんだマリーの命いのちと引ひき換かえに自分じぶんは命いのちを落おとす・・。
　　ー　末期まっきのシーンで子供こども達たちに、マチルドが遺のこした崇高すうこうな言葉ことば。ー

　　・マチルドの従したがえ従妹じゅうまいで親友しんゆうのガブリエル（ベレニス・ベジョ：「アーティスト」のあの大だいスターになって行いく女性じょせいですね。）は、不器用ぶきようなシャルルと親おやが決きめた結婚けっこんをする。
　当初とうしょは、ギクシャクしていたが、マチルドはシャルルの深ふかい愛あいと情じょうを知しり、二人ふたりは幸しあわせな家庭かていを築きずいて行いく。シャルルに起おこったある事件じけんまでは・・。
　　ー　だが、彼女かのじょの哀かなしみを癒いやす周囲しゅういの優やさしき人々ひとびとの姿すがた。ー

　　・大おおきな食卓しょくたくに集あつまった、ヴァランティーヌとジュールの子こや、孫まごのシーンが今こん作さくが言いわんとしている事ことを象徴しょうちょうしている。
　　ー　私わたしたちは、哀かなしき事ことを乗のり越こえて、繁殖はんしょくしていくのだ！輝かがやかしい未来みらいのために。その一方いっぽう、天寿てんじゅを全まっとうする、ヴァランティーヌもキチンと描えがかれている。ー

＜とにかく、登場とうじょうする三さん世代せだいの登場とうじょう人じん物もの数のかずが凄すごい。
　だが、キチンと観みていれば違和感いわかんなく鑑賞かんしょうできる。
　結婚けっこんや、子供こどもの誕生たんじょうの歓喜かんきの時ときと、死しや別わかれの哀かなしき時とき。
　そのすべてが、人生じんせいであり、世代せだいから世代せだいへ生せいが受うけ継つがれていく事ことを表あらわした、ラストのシーンは素晴すばらしい。
　当時とうじの美うつくしき衣装いしょうや、調度ちょうど品ひん。庭にわに咲さき誇ほこる花はな々も印象いんしょう的てきな作品さくひんである。＞

この監督かんとくは「ノルウェイの森もり」を手掛てがけた人ひとなのですね。「あぁ、なるほど〜」という感かんじ。

「ノルウェイの森もり」鑑賞かんしょう時じは、少々しょうしょう退屈たいくつで独ひとりよがりの作品さくひん、という感想かんそうをもった。それでいて、映像えいぞうや台詞せりふの一部いちぶが強烈きょうれつでいつまでも忘わすれられず、 結果けっか的てきにはインパクト大だいで、何なにが言いいたかったのかと時々ときどき印象いんしょうに残のこるシーンを思おもい出だしては考かんがえさせられてきた。
この映画えいがにも同おなじようなものを感かんじた。これも後々あとあと忘わすれられない映画えいがとなっていくのかもしれない。
焼やき付つけられた印象いんしょうって、なかなか消きえないから…。

それにしても、結婚けっこん、出産しゅっさん、子育こそだて、死別しべつ、で終おわる女性じょせいの人生じんせいって地味じみだ。観みていて眠ねむくなってきた。
それが最後さいごの方ほうではだんだん重おもみを帯おびて感かんじられてくるのだから、その点てん、上手うまくできた映画えいがなのかもしれない。

ただ、女性じょせいの生なまにも現実げんじつ的てきにはもっといろんな要素ようそがある。そういうものを感かんじさせない美化びかされた内容ないように、観みていて少すこしイライラ感かんというか、仮想かそう空間くうかんにいるような閉塞へいそく感かんを感かんじる。
女性じょせいの生せいのある面めんだけをピックアップしている作品さくひんだから、と割わりきればよいのでしょうけど。

ゆっくりと音楽おんがくに包つつまれて人生じんせいを想おもう、そんな映画えいがです。

美うつくしい映像えいぞうの中なかの静しずかな時ときの流ながれ、優やさしく人生じんせいを語かたりかけてくれる。見み終おわった余韻よいんも美うつくしく嫋たおやかな作品さくひんだった。