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The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ : 映画評論・批評 - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2018ねん2がつ23にち

  • 予告編よこくへん

The Beguiled ビガイルド 欲望よくぼうのめざめ : 映画えいが評論ひょうろん批評ひひょう

2018ねん2がつ13にち更新こうしん

2018ねん2がつ23にちよりTOHOシネマズ六本木ろっぽんぎヒルズほかにてロードショー

監督かんとく女性じょせいとしての成長せいちょうだけでなく、映画えいが作家さっかとしての原点げんてん意識いしきさせる

ソフィア・コッポラ最大さいだい魅力みりょくはセンスだろう。ガーリーカルチャーの旗手きしゅとして颯爽さっそう登場とうじょうした「ヴァージン・スーサイズ以来いらい彼女かのじょえが物語ものがたり登場とうじょう人物じんぶつたちの内面ないめんがピンとこないきでも新作しんさくのたびにになるのは、まれながらのセレブならではのたか美意識びいしきつくりあげる世界せかいかんきつけられるからにほかならない。それは、南北戦争なんぼくせんそう末期まっき南部なんぶ女子じょし寄宿きしゅく学園がくえん舞台ぶたいにしたほんさくでもおなじ。負傷ふしょうしたきたぐん兵士へいしマクバニーがはこびこまれたことによっておんなえん緊張きんちょうまれるという物語ものがたり自体じたい目新めあたらしさはない。けれども、かつてドン・シーゲルクリント・イーストウッドというおとこくさいコンビで「しろはだ異常いじょうよる」として映画えいがされた小説しょうせつをソフィアがるとなると、はなしちがう。

しろ基調きちょういろあせたパステルカラーのドレスをまつわったおんなたちが、鬱蒼うっそうとしたもりかこまれたしろ瀟洒しょうしゃかんらす。そのビジュアルのうつくしさ。フランス宮廷きゅうていさえもポップにえがいたソフィアが、ポップチューンをはいし、抑制よくせいいたトーンのなか淡々たんたんえがくからこそ、おんなたちのむねうごめきはじめる欲望よくぼう嫉妬しっと陰影いんえいふかまれば、残酷ざんこくさのインパクトもすことになる。たしかに魅力みりょくてき男性だんせいではあるとはいえ、ときにおんなたちのなかに1にんいるおとこであることを利用りようしようとするマクバニーの小賢こざかしさとともに。

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ソフィアにとってははつ心理しんりスリラーだが、そもそもおんな集団しゅうだん彼女かのじょこのみの題材だいざい。その集団しゅうだん年齢ねんれいはばが、まだおさなさののこ少女しょうじょから母親ははおや世代せだい学園がくえんちょうにまでひろがったあたりにも、マクバニーとかれ教師きょうしエドウィナをえんじるのが、「ヴァージン・スーサイズ」、「マリー・アントワネット」と閉塞へいそくかんかかえるおんなたちの中心ちゅうしんにいたキルステン・ダンストであるあたりにも、ソフィア自身じしん監督かんとくとしてというよりも1人ひとり女性じょせいとしてかさねてきた歳月さいげつたくされているかのよう。

マクバニーをまねいた夕食ゆうしょくせきでエドウィナが学園がくえんちょうからかたなに羽織はおるようにわれるシーンがあるが、「ヴァージン・スーサイズ」でもキルステンえんじるラックスにおなじシチュエーションがある。これはおんな習性しゅうせいえがくがゆえの偶然ぐうぜんなのか、はたまたデビューさくへの目配めくばせなのか。いずれにせよ、一人ひとり女性じょせいとしての成長せいちょう意識いしきさせる作品さくひんは、映画えいが作家さっかとしての原点げんてん意識いしきさせるのだった。

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