カメラを止めるな!
劇場公開日:2018年6月23日
解説
映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざまな挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。当初は都内2館の上映だったが口コミで評判が広まり、同年8月からアスミック・エースが共同配給につき全国で拡大公開。200万人を超える観客動員を記録する異例の大ヒットとなった。
2017年製作/96分/G/日本
配給:アスミック・エース、ENBUゼミナール
劇場公開日:2018年6月23日
その他の公開日:2017年11月4日(日本初公開)
原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。
スタッフ・キャスト
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受賞歴
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2023年9月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
まさか、こんな幸せな温かい気持ちになる映画だったとは!
途中のエンドロールで観るのを止めそうになった自分が笑える。
よくできた映画だ。『四畳半神話体系』とかと同じジャンルかな。全てが伏線系。
たぶんVODで観ている人の大半が、後半と前半を比べながら再度観てるはず。(私もやりました。)楽しめるわー。
娘を肩車した写真もああいう意味があったのね。素晴らし。
しかし「あのシーン」は単に脚が映りこんだだけだったのか。(笑
2022年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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いやー面白かったw まさか最初のが本気の本編とは思ってなかったけど、細かい仕掛けの種明かしがあって、もう一度、最初から見返したくなってしまう。最後には達成感が共感できて、見終えてスッキリした気分。血なまぐさいゾンビ映像なのに不思議ですね。
2018年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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低予算ながら破格のヒットを飛ばしたホラー映画と言えば、ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス監督『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を思い出す。しかし、本作はホラー映画ではなく、映画制作の舞台裏を撮ったメタ映画だ。
構造は三重の「ミーズ・アン・ビーム(紋中紋)」になっていて、チープなゾンビ映画(一重目)を撮影する、熱心過ぎてヤバい感じになった監督とスタッフたちを本物のゾンビが襲う(二重目)、というストーリーの特別番組を生で撮るスタッフのスラップスティック(三重目)というものだ。
生放送の最中に起きる数々のトラブルをどう切り抜けるか、が笑いのポイントになっている。同時に、映画を作る人たちの葛藤や熱意が伝わってきて、胸が熱くなる、という感動のフックも仕掛けられている。よくできた娯楽映画であることは間違いない。
有り体に言えば、のめりこんで作品を作ることは「狂気」と隣り合わせだ。その狂気じみた熱気のほとばしりをいちばん感じさせるのは、本当のエンドロールで流れる本当のスタッフたちの撮影の様子からだ。映画制作の得体の知れない魅力に取り憑かれた者たちの狂気。
その意味で、園子温監督『地獄でなぜ悪い』を彷彿とさせる。盗作疑惑が持ち上がっているが、スタッフたちの熱意がないがしろにされないように解決してほしいものだ。
2018年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
昔から低予算で観客を驚かせるにはゾンビ物が有効だ。とはいえ、ロメロ以降、映画作りの鉄則として知られるこの手法を、まさかこれほど呆気にとられる形で駆使して、しかも観客にハイレベルの楽しさと「なるほど!」の快感、それに何とも言えない爽快感と感動をもたらすとは恐れ入った。
もしも前半の長回しの趣向だけで終わっていたら、タイトルはそのまま「ワンカット・オブ・ザ・デッド」で良かったに違いない。本作のタイトル「カメラを止めるな!」はまさしく秀逸な後半部なくして生まれ得なかったもの。この映画には「諦めたらそこで終わり」という普遍的なメッセージが満ち満ちており、それが登場人物の心にしっかりと寄り添い、ひいては映画作りにとどまらず、作り手の生活や人生、そしてあらゆる観客たちの心を鼓舞する応援歌のように響き始めるのだから不思議だ。本作を見ると底知れぬ勇気と元気がこみ上げてくるのはきっとそのためなのだろう。