ラッカは静しずかに虐殺ぎゃくさつされている

映画えいがという映像えいぞう作品さくひんから多おおくの真実しんじつと哲学てつがくを知しり学まなぶことができる
本ほん作さくもまさにそんな作品さくひんの一ひとつ

原題げんだいは　City of ghosts、
邦題ほうだいは　ISIS に抗あらがうラッカの市民しみんジャーナリストグループ名めい
スマートフォンを武器ぶきにして、
文字通もじどおり命懸いのちがけでISISと戦たたかう市民しみんジャーナリストにフォーカスを当あてた作品さくひん

とにかく凄すさまじい記録きろく映画えいが、観みれば分わかる

2017年ねん発表はっぴょうの映像えいぞう作品さくひんなので生前せいぜんのバグダディが映うつっている
ISISは組織そしきではなく思想しそう、まだ終おわらない
仮かりに終おわっても、
民主みんしゅ主義しゅぎが根付ねつかない国家こっかでは新あらたな専制せんせい組織そしきが台頭たいとうしてくる
民主みんしゅ主義しゅぎと国民こくみんのための政府せいふを確立かくりつするまで
RBSS（Raqqa is Being Slaughtered Silently)はその活動かつどうを続つづけるのだろう

ー　２０１４年ねん６月がつ　戦後せんご史上しじょう最悪さいあくの人道じんどう危機ききと言いわれるシリア内戦ないせん下か、過激かげき思想しそうと武力ぶりょくで勢力せいりょくを拡大かくだいしていた「イスラム国こく」（IS)が、北部ほくぶの街まちラッカを制圧せいあつ。
　　その後ご、ISはラッカを首都しゅととし、公開こうかい処刑しょけいが繰くり返かえされ、市民しみんは死しの恐怖きょうふにおびえながら過すごす過程かていは、映画えいがに描えがかれている通とおりである。
　　そんな中なか、海外かいがいメディアに、ラッカで何なにが起おきているかを伝つたえるために、市民しみんジャーナリスト集団しゅうだん”RBSS　ラッカは静しずかに虐殺ぎゃくさつされている”が秘密裏ひみつりに結成けっせいされる。
　　RBSSは、ラッカでの非ひ人道的じんどうてきなISの行為こういをスマホで撮影さつえいし、SNSに投稿とうこうする。
　　だが、危機ききを強つよめたISは彼かれらや彼かれらの親族しんぞくを標的ひょうてきに、非道ひどうな行為こういを次々つぎつぎに行いっていく。ー

◆感想かんそう
　・苛烈かれつなポリティカル・スリラー・ドキュメンタリーとしか、書がきようのない映像えいぞうが次々つぎつぎに映うつし出だされる。RBSSの国内こくない組ぐみのメンバーは情報じょうほうを必死ひっしで発信はっしんするが、次々つぎつぎに暗殺あんさつされていく。

　・主おもにトルコに逃にげた国外こくがい組ぐみのメンバーもISによる、暗殺あんさつの恐怖きょうふに耐たえる日々ひび。そんな中なか、RBSS創立そうりつの共同きょうどう者しゃナジがトルコで暗殺あんさつ。
　彼かれらの多おおくはドイツに逃のがれる。だが、国外こくがい組ぐみの肉親にくしんも、ISに処刑しょけいされていく。
　ー　臨場りんじょう感かんが、尋常じんじょうでない。そして、自分じぶんの父親ちちおやがISに処刑しょけいされるシーンを見みるメンバーの深ふかい哀かなしみとISに対たいする怒いかりと恐おそれ。ー

　・ドイツでも、移民いみん排斥はいせき運動うんどうが激化げきかし、彼かれらはベルリンから別べつの土地とちへ・・。
　ー　２０１０年ねんころから、フランスを中心ちゅうしんに、移民いみん排斥はいせき運動うんどうが激化げきかし、その波なみはネオナチ思想しそうに毒どくされた一部いちぶのメンバーの誘導ゆうどうにより拡散かくさんしていった・・。故郷こきょうを追おわれ、異国いこくの地ちでもIS及および、その国くにの人々ひとびとに追おわれるRBSSのメンバーの哀かなしみ、不安ふあんや如何いかに。想像そうぞうもつかない・・。ー

＜２０２１年ねん　ISは今いま作さくでもその姿すがたが鮮明せんめいに映うつし出だされたアブー・バクル・アル＝バクダーディのアメリカ軍ぐんの攻撃こうげきによる死しをきっかけに、壊滅かいめつ状態じょうたいになっていたが、新あらたな勢力せいりょくが萌芽ほうがしている。
　そして、全すべての元凶げんきょうと言いって良よいアサドは、圧倒的あっとうてきな勢力せいりょくを依然いぜん保たもっている。
　ラッカにかつての、美うつくしき街並まちなみ、寛容かんような精神せいしんを持もつ人ひとが多おおかったと冒頭ぼうとうで紹介しょうかいされた人々ひとびとが、再ふたたび、穏おだやかに暮くらせる日ひは来くるのであろうか・・。
　今いま作さくは、公開こうかい当時とうじ、ISの非道ひどうな所業しょぎょうを、全ぜん世界せかいに命いのちを懸かけて発信はっしんした勇気ゆうきあるジャーナリスト達たちの、生せいの姿すがたを描えがいている。
　RBSSの代表だいひょうスポークスマンに対たいし、世界せかいのジャーナリストがスタンディング・オベーションで称となえたシーンは、可かなり沁しみた作品さくひんである。＞

＜２０１８年ねん８月がつ１８日にち　京都きょうとシネマにて鑑賞かんしょう＞

＜２０２１年ねん８月がつ５日にち　　別べつ媒体ばいたいにて再さい鑑賞かんしょう＞

なんで、ドイツ警察けいさつによる保護ほごの申もうし出でを断ことわったのだろう！