X-MEN：ダーク・フェニックス

•普通ふつうに面白おもしろかった！
•マグニートー結構けっこう好すきかも

最初さいしょにX-MENの最新さいしん作さくが「ダーク・フェニックス」だと聞きいたとき、正直しょうじき「やっちまったな～」と苦笑にがわらいした。
考かんがえてもご覧らんなさい。全能ぜんのうのミュータントとかいう触ふれ込こみの時点じてんで、バトル漫画まんがのハイパーインフレ感かんしかない。
何なんでも貫つらぬく矛ほこみたいなもので、「それ、本当ほんとうなら壁かべに立たて掛かけられないよね」と真顔まがおでツッコミたくなるシロモノである。

そんなもの、常人じょうじんにどうこうできるもんじゃない。S級きゅうミュータントだってどうにもならん。
そんな不安ふあんを抱かかえつつも観みたのは、アメコミ映画えいがの先駆さきがけとして、MCUの後塵こうじんを拝はいしつつも泥臭どろくさく粘ねばってきたX-MENへの愛あいゆえだ。

結論けつろんとしては、まぁ予想よそう通どおりと言いうか、大味おおあじでアクロバティックな話はなしでしたな。
アクションはなかなか好このみだった。特とくに終盤しゅうばんのエリックはめちゃめちゃ強つよくて格好かっこう良よくて、本当ほんとうに好すき！
私わたしは自分じぶんがチャールズ派はだと長ながらく信しんじていたけど、本当ほんとうはエリック派はだったのかもしれん。

タイトルロールでもあるジーンは、この映画えいがの主役しゅやくなわけだけど、実際じっさいこんなに共感きょうかんできない主人公しゅじんこうもなかなか珍めずらしい。
自分じぶんの境遇きょうぐうに怒おこるばかりで、反省はんせいとか後悔こうかいとか罪悪ざいあく感かんとか、心しんの「揺ゆれ」みたいなものが一切いっさい見みえてこないんだもの。
彼女かのじょはチャールズに嘘うそをつかれている訳わけだけれども、それだって「嘘うそつき！」ってなる前まえに考かんがえることがあるでしょ。最初さいしょに受うける感情かんじょうが「裏切うらぎられた！」なの？何なにかおかしくない？

「設定せっていの大だい風呂敷ふろしき感かん」プラス「主人公しゅじんこうの魅力みりょくのなさ」というハンデを抱かかえながらどうにかゴールした。そんな印象いんしょうだった。
エリックが最高さいこうに格好かっこう良よいだけに、本当ほんとうに残念ざんねん。
「マイノリティの自己じこ実現じつげん」という、圧倒的あっとうてきに時代じだいにフィットした素養そようがありながら、何故なぜストーリーに活いかせないのか？
もし今後こんごもX-MENで映画えいがを作つくるなら、もっとその素質そしつを活いかした映画えいがを撮とって欲ほしい。
あと、ジーン・グレイで脚本きゃくほんを作つくるのはいい加減かげん諦あきらめた方ほうが賢明けんめいだ。

なんだか今回こんかいのX-MENは冒頭ぼうとうからラストまで常つねに暗くらい雰囲気ふんいきで進すすみ、どっしりと重苦おもくるしい感覚かんかくを受うける展開てんかい。おもわず、これが本当ほんとうにX-MENシリーズなのかと思おもわせるほど。壮絶そうぜつなフィナーレに向むけているかの如ごとくです。

それもそのはず、前半ぜんはんでいきなり重要じゅうようなミュータントが命いのちを落おとしてしまうのです。こんなにも早はやくに衝撃しょうげきを見みせられるのですから、そこからは不安ふあんという気持きもちで鑑賞かんしょうせざるおえないのです。

"スペシャルな存在そんざい"として、これまでもミュータントの悲かなしい過去かこや苦くるしみをX-MENシリーズでは描えがいてきましたが、これまでも増ましてジーンの過去かこは悲かなしく重おもくあります。抑制よくせいが効きかなくなった彼女かのじょは、見境みさかいもなく愛あいするものを不幸ふこうにしてしまうのですが、劇げき中ちゅうでも語かたられる「ギフト（能力のうりょく）は使つかい方かたによって便利べんりにも凶器きょうきにもなる」という言葉ことばのように、完全かんぜんにジーン次第しだいで天使てんしにも悪魔あくまにも変へんれるのです。

監督かんとく自身じしんも「本ほん作さくはこれまでのシリーズとは大おおきく異ことなる」と言いっていますが、まさに苦悩くのうです。ジーンの苦悩くのう、ミュータント達たちの苦悩くのうなど感情かんじょうが生々なまなましく描えがかれています。

今回こんかいの敵てきはいったい誰だれなんでしょうか？ダークサイドのジーンでしょうか？やっぱり人間にんげん達たちなんでしょうか？マグニードなんでしょうか？いやどれも違ちがいました。一気いっきに宇宙うちゅうという存在そんざいまで広ひろがり、想像そうぞうを絶ぜっする強敵きょうてきが存在そんざいしたのです。

なんだ！？これは今いままでのX-MENをストーリーとしても遥はるかに超越ちょうえつしまってます。なんだか次元じげんが別格べっかくというべきでしょうか。集大成しゅうたいせいであることは間違まちがいありません。

本ほん作さく、長ながきにわたり続つづいてきた、X-MEN最終さいしゅう章あきらともいわれています。20年ねんの歴史れきしの終焉しゅうえんになりますが、それにしても壮絶そうぜつな結末けつまつやしませんかね。思おもわず涙なみだが出でてしまうほどです。本当ほんとうに、終おわってしまうんでしょうか、残念ざんねんでたまりません。

せめて終おわるなら、原作げんさくコミックでは実現じつげんしている、「X-MEN VS アベンジャーズ」を実現じつげんして欲ほしいぃ！！！