太陽たいようは動うごかない

タイトルが意味いみするのは鷹野たかのの持もっている「心しんの指針ししん」だろうか。
今日きょう一いち日にちだけ　いまこの瞬間しゅんかんだけという「太陽たいよう」のような普遍ふへん的てきな概念がいねんがいつも心しんを照てらし続つづけている限かぎり、どんな出来事できごとに遭遇そうぐうしても冷静れいせい沈着ちんちゃくにいられるのだろう。太陽たいようが心しんにある限かぎり、心しんが動揺どうようすることはないといったところだろうか。
スパイアクションを産業さんぎょう分野ぶんやに絞しぼり込こんだことがこの作品さくひんの新あたらしさだろう。
しかしながら、胸むねに埋うめ込こまれた起爆きばく装置そうちはいただけない。
ANエージェントが虐待ぎゃくたいされていた子供こどもとか、鷹野たかのの過去かことか説明せつめいされてもエージェントの胸むねに爆ばく弾だんを埋うめ込こむのは、この作品さくひんのシリアス性せいを返かえって損そこなっているように思おもう。
それが風間かざまの指示しじではなくどこにあるのかもわからない本部ほんぶの指示しじだとしても、胸むねに爆ばく弾だんを仕込しこむのは敵てきに対たいするやり方かたで、それはミッションインポッシブルですでに使つかわれたとても許ゆるしがたい手法しゅほうだ。
風間かざまですらAN通信つうしんについて知しらないことだらけなのに、その配下はいかのエージェントに爆ばく弾だんを埋うめ込こむ理由りゆうが分わからない。
この設定せっていは、山下やましたがそれによって死しんだことを鷹野たかのと田岡たおかが目まの当あたりにして苦くるしむ演出えんしゅつ　これとAN通信つうしんの機密きみつ順守じゅんしゅの厳きびしさとが天秤てんびんになるが、田岡たおかが終始しゅうしそのことに悩なやんでいるのを鑑かんがみると、おおよそエージェントの原動力げんどうりょくになっていない。
ヤクザ世界せかいと同おなじだ。
なぜ爆ばく弾だんを埋うめ込こまなければならないのか？　この作品さくひんが説明せつめいしなければならないことだが、すべてエンタメとして片かたづけてしまっているのは残念ざんねんだった。
それ故こ、このタイトルにならざるを得えなかったのだろう。
島しまを抜ぬけ出だしたヤナギとカンタが大物おおもの企業きぎょう家かになったが、その道みちが正ただしかったと言いわざるを得えない。鷹野たかのは好すきだったシオリと東京とうきょうのホテルですれ違ちがうが、彼かれの決きめた「太陽たいよう」によって、彼女かのじょと言葉ことばを交かわすことさえしない。
ただ、物語ものがたりそのものがグローバル化かによって複雑ふくざつ化かすることに沿そって、背景はいけいが細こまかく設定せっていされているのは見事みごとだった。
また、敵てきを中国ちゅうごく企業きぎょうにしていることは世よの中なかの流ながれなのだろう。日本にっぽんのエージェントと韓国かんこくのエージェントがライバルであり、時ときに中国ちゅうごくがお互たがいの利害りがいの一致いっちとなる点てんも面白おもしろかった。
まるで峰みね不二子ふじこのようなアヤコのキャラも悪わるくはないが、ひねりもなかった。
このAN通信つうしんの目的もくてきが、中国ちゅうごく企業きぎょうCNOXによる次世代じせだい太陽光たいようこう発電はつでん装置そうちの独占どくせんをさせないこと、なりふり構かまわず力ちからを駆使くしして技術ぎじゅつを盗ぬすもうとするCNOXから情報じょうほうを横取よこどりし、METにその情報じょうほうを売うるという設定せっていは面白おもしろかった。
この設定せっていの緻密ちみつさこそこの作品さくひんの命いのちだろう。
各国かっこくを行いき来きし、アクション満載まんさいだが、最後さいごまで騙だまされていることに気きづかないナナがどうにも引ひっ掛かかってしまう。
しかしながら、娯楽ごらく映画えいがとしては申もうし分ぶんなかった。

☆☆☆★★

〝 美人びじんの条件じょうけんとは何なにか？ 〟

原作げんさく「太陽たいようは動うごかない」読了どくりょう済ずみ。「森もりは知しっている」は未読みどく。

※ １ およそ１年間ねんかんの上映じょうえい中止ちゅうしから待望たいぼうの公開こうかい…って事ことで、大おおいに喜よろこばしい。
…とは言いえ、コレは、、、

元々もともとがWOWOWが製作せいさくに関かかわり、連続れんぞくドラマとしての放送ほうそう権けんを持もっている事ことが大おおきいのだろう。
※ ２ この辺あたりは、多おおくの問題もんだい点てんをのこした『劇場げきじょう』の配信はいしん・公開こうかいに於おけるバタバタ劇げきとは違ちがうところ。
とりわけ、WOWOWとゆう大おおきな後うしろ盾たてがあるどと、ここまでスンナリと行いくのか…と。

そんな事ことを思おもいつつ、「太陽たいよう…」を読よんでいると、、、「……ん、ん、ん、つ、つ、つ、ツマラナイ、、、、、、」と、何なん度ど思おもった事ことか！
少すくなくとも、５００ページ以上いじょうもある原作げんさくの部分ぶぶんの半分はんぶんくらいまでは、これっぽっちも面白おもしろいとは思おもえなかった。

ところが、その前半ぜんはんに於おけるアクション描写びょうしゃであり、パニック描写びょうしゃは、明あきらかに力ちからが入はいっているし。もしも映像えいぞう化かしたならば、その部分ぶぶんでの製作せいさく費ひはとんでもないモノになりそう…とすら感かんじた。

↓ ここから先さきは、「太陽たいよう…」だけを読よんでいるのを基もとにしたレビューになります。

エンドクレジットで映うつる映像えいぞうには（おそらく）WOWOW版ばんでしようし。そもそも（続編ぞくへん的てきな位置いちにあるであろう）「森もりは…」読よんではいない。
それだけに、かなりの確かく率りつでいい加減かげんなレビューになっている可能かのう性せいが有あります。
その辺あたりは平たいらにご容赦ようしゃって事ことで(u_u)

冒頭ぼうとうのアクション場面ばめんは。邦画ほうがとして世界せかい的てき映画えいがと比くらべてみても、かなり引ひけを取とっていないと感かんじる。
（「太陽たいよう…」の）原作げんさくには無ないだけに。この場面ばめん及および、少年しょうねん時代じだいの淡あわい恋愛れんあい模様もようを描えがく描写びょうしゃを観みて、これは原作げんさくから離はなれたオリジナルストーリーで展開てんかいされるのか？と思おもいながら観みる事ことにした。

「太陽たいよう…」には凡およそ２０人にん以上いじょうの登場とうじょう人物じんぶつが居いたが。映像えいぞう化かで登場とうじょうするのは、その内うちの半分はんぶんくらいだっただろうか。
ヤマシタや、少年しょうねん時代じだいの描写びょうしゃ等とうを含ふくめた多おおくの人物じんぶつは、ひょっとしたら（続編ぞくへんが製作せいさくされたならば）「森もりは…」に登場とうじょうするのだろうか？

『太陽たいよう…』での登場とうじょう人物じんぶつを約やく半分はんぶん程ほどにした事ことで。元々もともと原作げんさくに有あった《ゴチャゴチヤ》感かんは、ほんの少すこしだけ整備せいびされている感かんが有ありました。
前半ぜんはんでの、大掛おおがかりな日にち韓かんサッカー戦せんを背景はいけいとした大だいアクション場面ばめんを全すべてカットした事ことで、かなりのコストダウンになっているし。中なかでも（原作げんさくでは）クライマックスで、囚とらわれてレイプされそうになるＡＹＡＫＯを奈々ななに入いれ替かえ。更さらに、少年しょうねん時代じだいの淡あわい恋愛れんあい模様もようの、彼女かのじょのトラウトに置おき換かえた事ことにより。その彼女かのじょのドラマの序章じょしょうとした様ようなラストは、思おもわずWOWOW版ばんも観みてみたくなりました。
（無料むりょう放送ほうそうでないと観みられないので）

この辺あたりは、ヤマシタ役やくの市原いちはら隼人はやとが絡からむ思おもえる部分ぶぶんも同様どうようで。いきなり登場とうじょうした時ときは、「あれ？これ誰だれ？」と思おもってしまいましたから。

そんなこんなと、原作げんさくが今こん一ひとつだっただけに、予想よそう外がいには楽たのしめたのですが。もう一ひとつ突つき抜ぬける程ほどでは無なかったのは事実じじつ。
予告編よこくへんに有ある、藤原ふじわら竜也たつやが。大おおきな木き箱ばこから出でて来くる描写びょうしゃ等とうは、本来ほんらいならば大おおきな笑わらいに劇場げきじょうは包つつまれて然しかるべき場面ばめん。
映画えいが全編ぜんぺんで「あり得えね〜！」…と言いいながら、楽たのしむにも。やはり今こん一ひとつと言いったところでしようか。
内容ないよう的てきには、その様ような楽たのしみ方かたが可能かのうな【漫画まんが】なんですけとねえ〜！

※ ３ 思おもえば、最近さいきん『インディ・ジョーンズ』が４Ｋで再さい上映じょうえいされていますが。言いって見みれば、あれこそが映画えいがに於おける【漫画まんが】的てきな、尤もっとも良よい例れいと言いえましょうか。

ドイツ軍ぐんの潜水せんすい艦かんが動うごき出だす。
すかさずインディは、海うみへと飛とび込こむと、その潜水せんすい艦かんのハッチへと到達とうたつする。
その潜水せんすい艦かんは、数すう千せんキロは離はなれた場所ばしょへと移動いどうする。

いや！いや！いや！あり得えんから(*^_^*)

でもですね〜！ 映画えいが的てきな【嘘うそ】が、あのインディシリーズには通用つうようしてしまうのですよ〜！

それを（観客かんきゃくに）納得なっとくさせてしまう仕掛しかけを、作品さくひんの中なかに数多かずおおく散ちりばめているからなんですよね〜！
その為ためにも細こまかいギャグやら笑わらいの要素ようそは絶対ぜったいに必要ひつよう。
この作品さくひんだと、笑わらいの要素ようそは沢山たくさん有あった筈はずだったのに、その辺あたりの仕掛しかけ等とうごもう一ひとつだったかと思おもう。
でも、ちょっとだけ観みた時期じきが悪わるかった…って事ことは有あったのかも知しれない。
※ ４ 何なにしろここ数日すうじつは、子供こどもの虐待ぎゃくたいに関かんする痛いたましいニュースが続つづいていただけに。

その辺あたりを含ふくめた、原作げんさく独特どくとくの設定せっていに。今こん一ひとつのめり込ごめなかった感かんは否いなめない作品さくひんでした。
（おそらく、ある程度ていど、原作げんさく者しゃ自身じしんは。ハリウッド性せいのエンタメ性せいの世界せかい観かんを表現ひょうげんしたかったのでしょうが。）

それだけに、ハン・ヒョジュの《不二子ふじこちゃん》っぷりには、大おおいに楽たのしませて貰もらいました。
片言かたことの日本語にほんごがまた可愛かわいい(≧∀≦)
原作げんさく自体じたいからして、何なんとなくその様ような雰囲気ふんいきは有ありましたが。映像えいぞう化かを観みたら完全かんぜんに〝 それ 〟でしかなかった…って言いう(´Д` )

〝 美女びじょの条件じょうけんってのは、味方みかたが居いないって事ことだ 〟

まさに、原作げんさくに有あった言葉ことばを地ちで行おこなったキャラクターでしたなあ〜(^^)

２０２１年ねん３月がつ６日にち TOHOシネマズ錦糸きんし町まち楽天らくてん地ち/スクリーン１０

※ １ コロナによる上映じょうえい中止ちゅうしが長引ながびいてしまった。

※ ２ 吉本よしもとと、松竹しょうちくとの関係かんけいがかやり拗こじれた。
（この辺あたりの経緯けいいは、ネットの情報じょうほうを参照さんしょう願ねがいます）

※ ３ コロナにより、新作しんさくの上映じょうえいが叶かなわず、暫しばらくは旧作きゅうさくの上映じょうえいが多おおかったのはご存知ぞんじの通とおり。

※ ４ 間あいだが悪わるい事ことに、作品さくひんの内容ないようが子供こどもの虐待ぎゃくたいに起因きいんしといただけに。上映じょうえい当時とうじ問題もんだいになった児童じどう虐待ぎゃくたい問題もんだいのニュースは、この作品さくひんの上映じょうえいに関かんしては、宣伝せんでん等とうもなかなか出来できなかったのでは…とは思おもう。

ストーリーと回想かいそう、ラストのオチはいまいち効果こうか的てきでないと感かんじた

他たの方ほうのレビューから２作品さくひんを詰つめ込こんで作つくった作品さくひんだと知しった