「絢爛けんらん豪華ごうかな画面がめんの裏側うらがわは虚うつろ」ウィーアーリトルゾンビーズ　因果いんがさんの映画えいがレビュー（感想かんそう・評価ひょうか）

さまざまな映画えいが技法ぎほうを次つぎから次つぎへと繰くり出だすエネルギッシュさに一瞬いっしゅん気圧けおされそうになるものの、それらが文脈ぶんみゃく的てき必然ひつぜん性せいを持もたないコケオドシであることがわかってしまうと途端とたんに冷さめてしまう。あと矢崎やさき仁司ひとし『三さん月がつのライオン』でも思おもったことだが、こういう冷笑れいしょう的てきな作風さくふうの映画えいがで赤あかん坊ぼうの泣なき声ごえを問題もんだい解消かいしょうのメタファーに用もちいるやり方かたはかなり強引ごういんだし安直あんちょくだと思おもう。ジャンプスケアで観客かんきゃくを無理むりやりビビらせる粗悪そあくなホラー映画えいがと大差たいさがない。

もはやオリジナルというものが成立せいりつしない現代げんだいにあっては、使つかい古ふるされた主題しゅだいをどう切きり出だし、どう編集へんしゅうするのかが創作そうさくにおける最さい重要じゅうよう項目こうもくだと思おもう。しかし本ほん作さくは「己おのれの無む感情かんじょうに苦悩くのうする若者わかもの」という使つかい古ふるしもいいところな主題しゅだいをさも新規しんきで奇特きとくなもののように捉とらえている節ふしがあった。そんなことをいくら饒舌じょうぜつに語かたられたところで「だから何なに？」という素朴そぼくな疑問符ぎもんふしか浮うかんでこない。