名めい探偵たんていピカチュウ

実写じっしゃ化か大だい成功せいこうではないだろうか。ポケモンのビジュアルのかわいさを損そこなうことなく、実写じっしゃテイストに落おとし込こむのが上手うまい。こんな風ふうにポケモンと過すごせる日常にちじょうを味あじわってみたいと心底しんそこ思おもってしまった。しかめっ面つらした渡辺わたなべ謙けんのようなおじさんが、普通ふつうにポケモンと一緒いっしょに暮くらしていても誰だれも違和感いわかんを持もたない世界せかいが羨うらやましすぎる。ハリウッド映画えいがらしい、ツイストの効きいたストーリー展開てんかいで、ポケモンの核かくとなるものはしっかりと継承けいしょうされていた。アニメ・ゲームの実写じっしゃ映画えいが化かとして成功せいこうの部類ぶるいに入はいるだろう。
ライアン・レイノルズの芝居しばいも案外あんがいにハマっていた。フェイシャル・キャプチャによる表情ひょうじょうづけも絶妙ぜつみょうな調整ちょうせいだったと思おもう。大谷おおや育江いくえさんの声こえも一瞬いっしゅんだけど聞きけるのは嬉うれしい。しかし、おじさんの声こえにピカチュウを乗のせるとあんなにギャップ萌もえが生うまれるとは。ピカチュウのデザインの勝利しょうりなんだろう、どんな声こえを乗のせても可愛かわいくなるのかもしれない。つくづくすごいデザインだと思おもう。

メイン層そうは子供こどもなのでストーリーに深ふかみは足たりないですが単調たんちょうではないですし、ユーモアもあり、何なによりピカチュウがここまでCGで可愛かわいらしく表現ひょうげんできただけで十分じゅうぶんではないでしょうか。

「ピカチュウがオヤジ声ごえ？」といった点てんをPRしていた作品さくひんでしたが、決けっして奇きをてらった作風さくふうという訳わけでもなく、最後さいごまで見みれば「謎なぞ解とき」はできますし、対象たいしょう年齢ねんれいを考かんがえれば良質りょうしつな出来できだと思おもいます。
そもそもポケモン人気にんきは最初さいしょの1998年ねんの「劇場げきじょう版ばんポケットモンスター ミュウツーの逆襲ぎゃくしゅう」が凄すごく、日本にっぽんで興行こうぎょう収入しゅうにゅう76億おく円えんという大だいヒットを記録きろくしました。そして、実じつはアメリカでも8574万まんドルという日本にっぽんを上回うわまわる大だいヒットを記録きろくしていたのでした！
ただ、それ以降いこうは、特とくにアメリカでは人気にんきが下さがっていったのですが、まさにその「ミュウツー」を使つかった実写じっしゃ版ばんで、世界せかいで勝負しょうぶしたのが本ほん作さくでした。
本ほん作さくは日本にっぽんでの興行こうぎょう収入しゅうにゅうは30.1億おく円えんを記録きろくし、何なにとか及第きゅうだい点てんといえるレベルでした。
そしてリベンジという形かたちとなったアメリカでは、興行こうぎょう収入しゅうにゅうは1億おく4410万まんドルとリベンジ成功せいこうで、こちらも及第きゅうだい点てんといえると思おもいます。(もちろん、アニメ版ばんと実写じっしゃ版ばんでは、制作せいさく費ひが大幅おおはばに違ちがいますが)
ただ、制作せいさく費ひを1億おく5000万まんドルと結構けっこうかけたので「続編ぞくへん」があるのかは判断はんだんが難むずかしいラインな気きがします。
きっと面白おもしろい切きり口くちとなるストーリーができたらあり得えるのかもしれません。

さて、私わたしは字幕じまく版ばん、吹替版ばんと見みて、今回こんかい3回かい目めは吹替版ばんで見みました。
ピカチュウの「面白おもしろいキャラ」としては、(「デッドプール」の)ライアン・レイノルズの声こえも良よかったですが、字幕じまく版ばんで難なんを感かんじたのは、哀愁あいしゅうと可愛かわいらしさを醸かもし出だす後半こうはんの「ポケモ～ン♪」とトボトボと歌うたいながらのシーンが分わかりにくい点てんです。
その点てん、吹替版ばんでは西島にししま秀俊ひでとしの起用きようが功こうを奏そうしていて日本人にっぽんじんだとキチンと反応はんのうしやすくなっているのです。
一方いっぽう、竹内たけうち涼すずか真しんの声こえを聞きくと顔かおが連想れんそうできて、(そこまで魅力みりょくを感かんじなかった)主役しゅやくの俳優はいゆうとギャップを感かんじてしまい、慣なれるのに少すこし時間じかんがかかります。
もし竹内たけうち涼すずか真しんが英語えいごが堪能たんのうで主役しゅやくを演えんじていたら、もっと興行こうぎょう収入しゅうにゅうは上あがっていたと思おもいます。
渡辺わたなべ謙けんは、もはやハリウッド映画えいがに馴染なじみ過すぎていますね。
正直しょうじき、本ほん作さくで渡辺わたなべ謙けんと竹内たけうち涼すずか真しんのリアル共演きょうえんを見みてみたかったです。

かつては日本にっぽん関連かんれんのコンテンツは海外かいがいで改変かいへんだらけで大変たいへんなことになっていましたが、本ほん作さくのように日本にっぽんの会社かいしゃが資金しきん面めんでも共同きょうどうで出だして、クオリティーコントロールをしてくれていると安心あんしんして見みることができます。
たぶん、ここまで可愛かわいらしくて繊細せんさいなデザインは日本人にっぽんじんの感性かんせいが必要ひつようだったのでは、と思おもいます。
また、ピカチュウの声こえも日本にっぽんのアニメ通どおりで可愛かわいらしさを損そこなわず良よかったですね。
今後こんごもこのような流ながれがどんどん広ひろがっていくことを期待きたいしたいです。