「劇的げきてきには描えがきづらい些細ささいな成長せいちょうのプロセス」エイス・グレード　世界せかいでいちばんクールな私わたしへ　MPさんの映画えいがレビュー（感想かんそう・評価ひょうか）

生うまれたときからWEBやSNSが存在そんざいする世代せだいを"ジェネレーションZ"と呼よぶらしい。実態じったいを隠かくしたままの自分じぶんを広ひろく発信はっしんできる彼かれらだから、現実げんじつと虚構きょこうの間あいだで悩なやむこともないのかと思おもいきや、人ひとはそう簡単かんたんでもないことがよく分わかる。この映画えいがは、中学ちゅうがく最後さいごの年としをそんな風ふうに悩なやみながら暮くらすヒロイン、ケイラが、少すこしだけ自己じこを肯定こうていし、一いち歩ほ前進ぜんしんするまでを描えがいて、内面ないめんの成長せいちょうがどれだけ価値かちがあるかを伝つたえてくれる。人ひとからどう見みえるではなく、自分じぶんは自分じぶんをどう見みているのか?これは、別べつにケイラに限かぎった問題もんだいではない。誰だれにとっても、永遠えいえんの命題めいだいなのだ。そんな劇的げきてきには描えがきづらい些細ささいな成長せいちょうのプロセスをカメラが掬すくい取とった本ほん作さくは、青春せいしゅん映画えいがというジャンルを大胆だいたんにアップデートした野心作やしんさく。身みも氷こおるようなスクールカーストの恐怖きょうふ、不器用ぶきようだが温あたたかいシングルファーザーの眼差まなざし、等々とうとう、細部さいぶの描写びょうしゃにも並外なみはずれたセンスを感かんじる。