妖怪ようかい大戦たいせん争そう　ガーディアンズ

前作ぜんさく『妖怪ようかい大戦たいせん争そう』(2005)で妖怪ようかいたちと戦たたかった魔ま人じん、加藤かとう保憲やすのりの封印ふういんを解とかんとする妖怪ようかい獣じゅうと、渡辺わたなべ綱つなの末裔まつえい「破風はふなき家いえの子こ」と日本にっぽん妖怪ようかいたちの戦たたかいが見みせ場ばだが、最終さいしゅう的てきには、戦たたかいではなく、怨念おんねんの集合しゅうごう体たいである妖怪ようかい獣じゅうを鎮しずめるという振ふる舞まいを選えらぶ。
永えい久保くぼ貴一きいちのマンガ『カルラ舞まう！』では、怨霊おんりょうを鎮しずめるために大祓おおはらい詞しという祝詞のりとを宣せん読する場面ばめんがあるが、渡辺わたなべ兄弟きょうだいと妖怪ようかいたちは「鎮しずめ歌か」を歌うたうことで妖怪ようかい獣じゅうの荒あら魂たましい(あらみたま)を鎮しずめた。ぬらりひょんは、争あらそいではなくこれが我われら妖怪ようかいのやり方かただった、と呟つぶやく。前作ぜんさくのラストで、「勝かち戦いくさのようです」と告つげる京極きょうごく夏彦なつひこ演えんじる神かみン野の悪あく五ご郎ろうに、水木みずきしげる演えんじる妖怪ようかい大だい翁おきなは「戦争せんそうはいかんです、腹はらがへるだけです」と答こたえるが、おそらく水木みずきの言葉ことばを踏ふまえた荒あら俣宏の演出えんしゅつなのではないだろうか。
ところで、これはちょっと深ふか読よみしすぎかもしれないが、フォッサマグナから太古たいこの化石かせきの怨念おんねんが結集けっしゅうして妖怪ようかい獣じゅうが生うまれた、という設定せっていだが、意識いしきというか「心しん」を持もたない生物せいぶつが怨念おんねんを抱いだく、というのは矛盾むじゅんであるように思おもえる。妖怪ようかい獣じゅうは巨大きょだいなアンモナイトに人ひとの顔かおがついているような姿すがただ。つまり、フォッサマグナに閉とじ込こめられた生物せいぶつの中なかには、原生げんせい人類じんるいの祖先そせんにあたるホミニド(霊長れいちょう類るい)もいて、海底かいていの隆起りゅうきや岩石がんせきの堆積たいせきといった一いち種しゅの「自然しぜん災害さいがい」で死しんだのではないか。その荒あら魂たましいに復活ふっかつの力ちからを与あたえた者ものがいたはずで、それが加藤かとう先生せんせいだったのでは。そんな推理すいりだ。
ちなみに、こんなご時世じせいなので、アマビエが登場とうじょうするかと期待きたいしていたが、発見はっけんできなかった。やや残念ざんねん。武神ぶしん＝大だい魔神まじんを見みれたのはよかった。