エターナルズ

Zhao's independent films showed she is among the most powerful forces behind the camera, one who can saturize the screen with very little resources. Jumping from indie to superhero certainly had me wondering if this were a new kind of film. Not really. The Marvel universe of course saturates Zhao's voice. The creature design and VFX are better than usual. Action sequences have interesting angles.

10人にんもいる不老不死ふろうふしのキャラのひとりひとりが、とても丹念たんねんに描えがかれている。マーベルは、常つねに作品さくひん単体たんたいのクオリティより、キャラクターを立たたせることで成功せいこうしてきたと思おもっているのだが、『エターナルズ』がやっていることはこれまでとは勝手かってが違ちがう。ヒーローとして面白おもしろいキャラなのではなく、ひとりひとりが人格じんかくとして（厳密げんみつには人ひとではないかも知しれないが）きちんと成立せいりつしていて、フィクションを超こえて「人柄ひとがら」を感かんじさせるのだ。

これは演者えんじゃの個性こせいをフィクションに取とり入いれるクロエ・ジャオ監督かんとくのアプローチの賜物たまものであることは容易よういに想像そうぞうできるのだが、３回かい観みて、登場とうじょう人物じんぶつたちがどんどん好このましく思おもえてくる。

彼かれらが人類じんるいを守まもろうとする動機どうきづけが足たりないという批判ひはんもあるようだが、7000年ねん地球ちきゅうにいて、スマホアプリにどハマリしているセルシ、お手製てせいの窯かまでパイを焼やいているギルガメッシュ、イカリス以外いがいの全員ぜんいんがそれぞれに似合にあうファッションを楽たのしんでいることなどなど、どう見みても彼かれらは人間にんげんの暮くらしや文化ぶんかを満喫まんきつしている。正直しょうじき、彼かれらが人間にんげんを守まもりたいと思おもうのに、それ以外いがいの深刻しんこくそうなドラマ性せいなんて必要ひつようないんじゃないだろうか。

明あきらかにイカリス以外いがいのエターナルたちは、日常にちじょうを楽たのしみながら7000年ねんを過すごしてきた。る。そもそも人類じんるいを発展はってんさせることが使命しめいだったわけだが、何なん千せん年ねん経たっても達観たっかんしたりせず、彼かれらなりに愉快ゆかいに人生じんせいを積つみ重かさねてきた。ああ、それだけで感動かんどうモノではないかと思おもうのです。心しんから。

本ほん作さくは上映じょうえい時間じかんは2時じ間あいだ36分ふんとなっていて、10年間ねんかんの集大成しゅうたいせいであった「アベンジャーズ　エンドゲーム」の3時じ間あいだ1分ふんよりは短みじかいものの、初はじめての作品さくひんとしては割わりと長ながめとなっています。
でも、本ほん作さくでメガホンをとった「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督かんとくは「短みじかすぎる」と言いいます。
それもそのはず7000年ねん以上いじょうという期間きかんを描えがく必要ひつようがあり、「エターナルズ」の10人にんのメンバー、アクションシーン、人間にんげん模様もようなど様々さまざまなものを描えがかないといけないからです。
しかもクロエ・ジャオ監督かんとくにとっては初はつのアクション映画えいがで、いきなりの大役たいやく。
マーベルのトップが多様たよう性せいを求もとめたチャレンジングな本ほん作さく。これまでのサポート体制たいせいが充実じゅうじつしていたこともありアクションシーンもキチンとしていて、まずは及第きゅうだい点てんではないでしょうか。

ここからは、個別こべつに焦点しょうてんを当あて感想かんそうを書かいてみます。
まず、「ノマドランド」のような自然しぜん光こうのもとロケ撮影さつえいされた映像えいぞうの数々かずかずは、映像えいぞうにリアリティーを与あたえている点てんで成功せいこうと言いえるでしょう。
MCU映画えいがで初はつのラブシーンも監督かんとくらしさでしょう。
ただ、それらはあくまで一部いちぶであって、全体ぜんたいとしては、ややアクションシーンが少すくな目めのMCU映画えいがという結果けっかになっているように感かんじました。
また、本ほん作さくは、初はつ登場とうじょうの10人にんを使つかって、いきなり「アベンジャーズ　エンドゲーム」のような壮大そうだいな作品さくひんを描えがき切きらないといけないため、脚本きゃくほんが詰つめ込こみ過すぎている状態じょうたいになっている点てんがあります。
それもあってか、予備よび知識ちしきのない10人にんの人間にんげん模様もようや背景はいけいなどを描えがくのは困難こんなんだった印象いんしょうです。時間じかんの行いき来きが多用たようされている点てんも、必かならずしも効果こうか的てきではなく、まとまりがない印象いんしょうを与あたえているように感かんじました。
これまでのMCU映画えいがは、「アベンジャーズ　エンドゲーム」という10年間ねんかんの集大成しゅうたいせいを描えがいた作品さくひんがあり、そこでは最後さいごのボスキャラとして「サノス」という全ぜん宇宙うちゅうで最大さいだいの脅威きょういがいたのは非常ひじょうに効果こうか的てきだったと思おもいます。
ただ、本ほん作さくでは、それを1作さくで飛とび越こえようと、“宇宙うちゅう最さい凶きょう最悪さいあくの敵てき・サノスをも超こえる敵てき”とされる「ディヴィアンツ」という設定せっていは、野心やしん的てきだとは思おもいますが、映像えいぞうの面めんでは、割わりとパッパッと倒たおされていく雑魚ざこキャラのように見みえた点てんは、やや違和感いわかんを持もちました。
しかも「エターナルズ」のメンバーから「アベンジャーズ」を優ゆうに超こえるような強つよさが見みえにくかったことも、よりそれを感かんじさせました。
これは、本来ほんらいMCU映画えいがの醍醐味だいごみであるアクションシーンが最高潮さいこうちょうに機能きのうしないといけないところであって、その革新かくしん的てきな映像えいぞうを生うみ出だすまでは出来できていなく、あくまで通常つうじょうのアクション映画えいがになっていた点てんは、野心やしん的てきな作品さくひんであるがゆえに残念ざんねんと感かんじた部分ぶぶんでした。

本ほん作さくは、あくまでこれからMCU映画えいがが新あらたな方向ほうこう性せいを模索もさくする中なかで生うまれた実験じっけん的てきな作品さくひんであり、この化学かがく反応はんのうも踏ふまえて、より進化しんかしていくと思おもうので温あたたかく見守みまもりたいと思おもいます。