フラ・フラダンス

ところどころ話はなしの起伏きふくが少すくないかなと思おもう部分ぶぶんもありますが、思おもいっきり重おもくしたり、逆ぎゃくに思おもいっきり喜よろこんだりって見みていて疲つかれるし創作そうさく作品さくひんだなあと思おもってしまうのでこの作品さくひんのような雰囲気ふんいきのほうがリアル感かんがあって自分じぶんは好すきです

しゃべるぬいぐるみ（姉あね）が物語ものがたりの主軸しゅじくになっていたらまた別べつのファンタジー作品さくひんになっていたでしょうがそうではなく「少すこし不思議ふしぎ」な要素ようそにとどめたのも良よかった。自分じぶんの死後しごの妹いもうとを見守みまもって、言いえなかったお別わかれの言葉ことばを伝つたえるっていう、シンプルな話はなしなんだけど涙腺るいせんに来きます。名前なまえもなにも考かんがえていなったので「ひわ」と「まり」でひまわりというのもとても素敵すてきでした

また主人公しゅじんこう１人にんだけの成長せいちょう、活躍かつやくを描えがくのではなく、かといって同期どうき５人にんでなにかすごいことを成なし遂とげたわけでもない。５人にんそれぞれのどこにでもあるような悩なやみを通とおして、ちょっとづつみんなで成長せいちょうしたという小ちいさな部分ぶぶんを描えがいているのも、これまたほんとにどこか日常にちじょうでありそうで共感きょうかんできる作品さくひんでした

ダンスのアニメーションもとてもきれいで見みやすく、なんとなくで見みたのですが総そうじてとてもいい作品さくひんで温あたたかい気持きもちになる作品さくひんでした

脚本きゃくほんが吉田よしだ玲子れいこさん、水島みずしま精二せいじさんが取とりまとめるということで鑑賞かんしょう。
・主人公しゅじんこう、夏なつ凪なぎ日び羽わを中心ちゅうしんにしたストーリー展開てんかいなので、各かくキャラの背景はいけいは薄うすめだけれども、変へんに物語ものがたりが拡散かくさんしないので物語ものがたりに集中しゅうちゅうできました。王道おうどうの青春せいしゅんモノ、ダメな子この成長せいちょう物語ものがたりでしたね。
・常磐興産じょうばんこうさん、いわき市し関係かんけいがかなり協力きょうりょくしたんだろうな、と伺うかがえる背景はいけいに、いわきに行いったころを思おもい出だしました。
・声優せいゆう陣じんは良よかった。福原ふくはら遥はるかはアイ歌かに続つづいて感情かんじょう表現ひょうげんがとても上手うまく、キャラの顔かおしか見みえてこない。そして何なにより早見はやみ沙織さおりの破壊はかい力りょくが卑怯ひきょうなまでに凄すさまじい。ただ、ディーン・フジオカだけはどうにかならんかったのか・・・・。
・画像がぞう、特とくにキャラのモーションは好このみの分わかれるところじゃないかなあと思おもう。フラの指先ゆびさきの動うごきとか丁寧ていねいだったのだけれど、ひきになるとちょっと残念ざんねん感かんというかリカちゃん人形にんぎょうでのマリオネット的てきな印象いんしょう。
・風かぜの音おと、雨あめ音おんだったり細こまかい音おとが丁寧ていねいに表現ひょうげんされ、映画えいがに没入ぼつにゅうできる作つくり。 結構けっこう、手間暇てまひまかけたんじゃないかなあ。
いろいろと喜怒哀楽きどあいらくがあり老若男女ろうにゃくなんにょに刺ささる良よい作品さくひんだと思おもいます。

スパリゾート・ハワイアンにフラガールとして入社にゅうしゃした少女しょうじょの成長せいちょうを描えがく物語ものがたり。

フラダンスと言いう地味じみな題材だいざい。でも、蒼あおい井い優ゆうを世よに出だした秀作しゅうさく「フラガール」という先駆せんくがある為ために、意外いがい性せいどころか二に番ばん煎せんじを感かんじてしまい、非常ひじょうに不安ふあんに思おもいながらの鑑賞かんしょうでした。
しかし、脚本きゃくほんはヒットメーカーの実力じつりょく者しゃ「吉田よしだ玲子れいこ」、そして「鋼はがねの錬金術れんきんじゅつ師し」の監督かんとくを務つとめた水島みずしま氏しが総そう監督かんとくの作品さくひんということもあって、とても良よくまとまった作品さくひんでした。

作品さくひんは主人公しゅじんこう日び羽わを含ふくめた新人しんじん5人にんの成長せいちょう譚たん。個性こせいが強つよく、その分ぶんだけ欠点けってんも大おおきい少女しょうじょ達たち。その5人にんそれぞれを映うつしながら、個人こじんとして・チームとしての緩ゆるやかに成長せいちょうする姿すがたがとても上手じょうずに描えがかれています。
亡なくなった姉あねの存在そんざい、キャプテンあやめとの関係かんけい、仄ほのかな恋心こいごころ。前半ぜんはんにあったアイドルコンサートもしっかりと伏線ふくせんにする抜ぬけ目めのなさ。見事みごとだと思おもいます。

ただ、それだけに幾いくつか残念ざんねんなところが目めに付つき・・・「勿体もったいない」と思おもってしまいます。
まず『前向まえむきな』残念ざんねんなところを二ふたつ。
一ひとつ目めは、作品さくひん全体ぜんたいに芯しんがないこと。例たとえば、フラ選手権せんしゅけん参加さんかをもっと前まえに明示めいじされていれば、芯しんになり得えたように思おもいます。
もっと言いえば、『姉妹しまいで同おなじ舞台ぶたいに立たつ』が姉妹しまいの共通きょうつうの夢ゆめ・・・という設定せっていをつくり、それをしっかりと明示めいじしていれば、エンディングのあやめとの共演きょうえん迄までが見事みごとに繋つながったように思おもえます。
二ふたつ目めは、上述じょうじゅつのフラ選手権せんしゅけん。後輩こうはいたちの掛かけ声ごえの応援おうえんは見事みごとでしたが、もっとメリハリを付つけて欲ほしかった。アイドルソングに戸惑とまどう人ひとたち、失笑しっしょうや笑わらい声ごえ。それでも、徐々じょじょに楽たのしみだす観客かんきゃく、最後さいごは会場かいじょう一体いったいの声援せいえんに・・・そんなボルテージの上昇じょうしょうを魅みせてくれた方ほうが、より感動かんどう的てきなシーンになったように思おもいます。

次つぎに『批判ひはん』としての残念ざんねんなところ。
一ひとつ目めはダンスシーンのレベル。フラダンスを題材だいざいにしている映画えいがなのにチープ過すぎます。『アイカツ』のスタッフが多おおく係かかわっているそうですが、良よくも悪わるくもＴＶてれびアニメレベルに感かんじます。
例たとえば、映画えいが『境界きょうかいの彼方かなた』。冒頭ぼうとうのダンスシーンと比較ひかくしてどうでしょう。例たとえば、映画えいが『甲きのえ鉄てつ城じょうのカバネリ』。エンディングシーンのダンスと比較ひかくしてどうでしょう。共ともに、本編ほんぺんと関係かんけいがないプラスアルファのお遊あそび部分ぶぶんでしたが、素晴すばらしいクォリティを魅みせてくれました。そんな映画えいがを観みているだけに、映画えいがのメインコンセプトのダンスシーンがこれでは、失望しつぼうを感かんじてしまいます。
二ふたつ目めは声優せいゆうです。オリジナル映画えいがでの俳優はいゆう女優じょゆうの抜擢ばってきは珍めずらしくありませんが、それなりに力量りきりょうのある方ほうを抜擢ばってきして欲ほしいと強つよく希望きぼうします。この作品さくひんで言いえば、特とくに鈴すず懸かか涼太りょうたを演えんじたディーン・フジオカのレベルが低ひくく、聞きくたびに物語ものがたりから気持きもちが離はなれて行いきました。

厳きびしい批判ひはんもしましたが、映画えいが全体ぜんたいを観みれば上述じょうじゅつの通とおり完成かんせい度どの高たかい映画えいがだと思おもいます。私的してき評価ひょうかは普通ふつうにしました。