誰かの花
劇場公開日:2022年1月29日
解説
団地のベランダから落ちた植木鉢を巡る偽りと真実の数々を描いた人間ドラマ。鉄工所で働く孝秋は、薄れゆく記憶の中で徘徊する父・忠義と、そんな父に振り回される母・マチのことが気がかりで、実家の団地を訪れる。しかし忠義は数年前に他界した孝秋の兄との区別がつかない様子で、孝秋を見てもぼんやりとうなずくだけだった。ある日、強風の中で団地のベランダから落下した植木鉢が住民に直撃し、救急車やパトカーが出動する騒ぎが起こる。父の安否を心配する孝秋だったが、忠義は何事もなかったかのように自宅にいた。ベランダの窓が開いたままで、忠義の手袋に土が付着しているのを見つけた孝秋は、父への疑いを募らせていく。「ケンとカズ」のカトウシンスケが主演を務め、吉行和子、高橋長英が共演。横浜のミニシアター、シネマ・ジャック&ベティの30周年に向けて企画・製作された作品で、横浜のとある団地を舞台に、これが長編2作目となる横浜出身の奥田裕介監督がメガホンをとった。
2021年製作/115分/G/日本
配給:ガチンコ・フィルム
劇場公開日:2022年1月29日
スタッフ・キャスト
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2022年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ー 今作は、観る側に解釈を委ねる映画であると思う。予告編のトーンでは、年老いた両親(
高橋長英&吉行和子)が住むアパートから、風の強い日にベランダから植木鉢が落ち、越して来た家族の父親が亡くなった事を、認知症になった父への疑いを抱いて行く息子(カトウシンスケ)という作品の様に思えた。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・だが、今作を鑑賞すると、植木鉢を落としたのは、両親の家の隣室に住む男(篠原篤)であるように描かれている。
少し、混乱したところである。
では、何故父の手に嵌められた手袋に土が付いていたのか・・。
何故、ヘルパーの女性は植木鉢を落としたのが、認知症の父と思ったのか・・。
・大切な人を交通事故で失った人達の集まりの場、あすなろ会の人々の言葉などを聞いていると、この作品は愛する人を突然失った人たちの深い喪失感を描こうとしたのかとも、思う。
・男の兄は、昔交通事故で亡くなっているように、描かれているし、男がそのことに深い哀しみを抱えている事も後半描かれている。
・今作で、一番不穏なのは、植木鉢により亡くなった男の妻(和田光沙)の息子(太田流星)の行動である。
生卵を落としたり、あすなろ会主催の男の車の運転席に乗りアクセルを吹かせたり、極めつけは篠原篤演じる男が住みにくくなり、引っ越しをした後に男の前で逆立ちをし、同じく逆立ちをした男の脇を擽った後に、腹に一発拳を入れる。
ー 彼だけは、犯人を知っているのであろうか・・。-
<今作は、様々な見方を見る側に委ねる作品であると思う。
高年齢化する社会への警鐘。
交通事故被害者の実態。
鑑賞後も、イロイロと気になる所の多い作品である。>
<2022年7月23日 刈谷日劇にて鑑賞>
2022年4月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
中途半端で重苦しいだけでした。
2022年4月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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鉄工所で溶接工として働くタカアキは、認知症がすすみ徘徊する父と、そんな父を介護する母のことが気がかりで、たびたび実家の団地を訪れていた。しかし父はタカアキをみても数年前に事故死した兄との区別がつかない様子だった。ある強風の日に、団地のベランダから落下した植木鉢が住民に直撃し救急搬送される事故が起きた。父の安否を心配したタカアキはヘルパーの長谷川と急いで自宅に戻ると、父は自宅の風呂場にいた。ベランダへの窓ガラスは開いたままで、父がはめてた手袋には土が付着しているのをみつけたタカアキは、父への疑いを持つようになったが・・・てな話。
もし自分の親が何か事件を起こしたら、そしてそれを知ったら、親は認知症で本人は無自覚だったら、自分はどうするだろうか、って思いながら観てた。タカアキと同じ行動を取ったかも知れないな、って思う。
虫を裏返すシーンや母が手袋をゴミ箱に捨てるシーンなど色々と布石は打たれてて、どうなるんだろうと思ってたが、観る人に任せる、って終わり方だった。
観客が自分なりに解釈してください、って事なのだろう。
こういう問題提起型の作品も良いかも、と思った。
加害者を憎んでも未来は無い、ってことを伝えたかったのかも。
吉行和子はほんわかしてていつもながら良かった。ヘルパー長谷川役の村上穂乃佳が綺麗だった。子役・太田流星の逆立は上手かった。
2022年4月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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「あり得ない」と思う部分が多すぎて、没入できませんでした。
相太は賢そうなのに、一緒に料理していた父親がちょっと買い足しに出かけた間に他人に「病院に行こう」と言われて、すぐに父が戻ることも言わず父に連絡もせずに従ってしまう(このときリアルタイムでは父がどこにいるかは語られないのだが、その不自然さのために何か薄気味悪い)。
フラフラ出歩く認知症の夫をコンロの火を点けっぱなしで探し回るような妻が、夫を縛ろうとしたが縛れずそのまま病院に出かけたのに、帰ってきて部屋の前で事故が起きたと知っても慌てて夫を確認しようとしない。
病院にいる間に父親がマンション前の通路で事故に遭ったのに、相太を探して事故にあったのでは、勝手に病院に行かなければ良かったのでは、と悔やむ人物が一人もいない(遺族会でのそれぞれの遺族の話でも、自分を責めてしまうという描写がなかった気がする)。
遺族の会では、遺された人の痛みが癒えていくことではなく裁判で恨みを晴らすことを煽っている。
交通事故を「交通殺人」と呼ぶほどの遺族の会の会長が、相太を車に乗せてエンジンを掛けたまま忘れ物を取りに行く、などなど書き出せばきりがない程です。
監督のお話を聞いて、思いには共感するところが多かったのですが、作品は残念でした。
次回以降に期待しています。