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ホムンクルス : 映画評論・批評 - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2021ねん4がつ2にち

  • 予告編よこくへん

ホムンクルス : 映画えいが評論ひょうろん批評ひひょう

2021ねん3がつ23にち更新こうしん

2021ねん4がつ2にちより新宿しんじゅくピカデリーほかにてロードショー

進化しんかする綾野あやのつよし左目ひだりめとおして異様いよう世界せかい視覚しかくされる映画えいがてきなサイコミステリー

俳優はいゆう綾野あやのつよし進化しんかまらない。今年ことし1がつ29にち公開こうかいされヒットした「ヤクザと家族かぞく The Family」につづ主演しゅえん最新さいしんさくホムンクルス」は、綾野あやの役者やくしゃとしてのカメレオンぶりをあらためて堪能たんのうできる作品さくひんとなっている。やくきるかれすごみがスクリーンからつたわってくるのだ。

ホムンクルス」は、浅野あさの忠信ただのぶ主演しゅえんで2001ねん映画えいがされた「ころ1」などでられる山本やまもと英夫ひでおによる累計るいけい発行はっこう部数ぶすう400まんえる同名どうめいカルト漫画まんがを、綾野あやの主演しゅえん、「のろい」シリーズなどのヒットで、国内外こくないがい活躍かつやくし、ジャパニーズホラーの旗手きしゅとなった清水しみずたかし監督かんとくのメガホンによって実写じっしゃ映画えいがしたサイコミステリーだ。その独創どくそうてき内容ないようから“映像えいぞう不可能ふかのう”ともわれていたが、山本やまもと×綾野あやの×清水しみず監督かんとく融合ゆうごうし、化学かがく反応はんのうこすことで映像えいぞう実現じつげんした。

頭蓋骨ずがいこつあなけると第六感だいろっかん芽生めばえるという“トレパネーション”手術しゅじゅつけた記憶きおくがない主人公しゅじんこう名越なごしは、右目みぎめをつむって左目ひだりめると、なんと人間にんげん異様いようかたち=ホムンクルスにえるようになる。この名越なごしえるようになる視覚しかくてきで、心理しんりてきでもある異様いよう世界せかいを、観客かんきゃくがスクリーンをとおしてることになるじゅうさんじゅうのこの構造こうぞうは、「る」という行為こういにおいてもじつ非常ひじょう映画えいがてきであるとえる。

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そして、この現実げんじつてき設定せってい記憶きおくがないという主人公しゅじんこう綾野あやのがリアリティをあたえている。名越なごしえんじる綾野あやの左目ひだりめから、異様いよう人間にんげんかたち世界せかいえていることがつたわってくるのだ。やくになりった居振いふいや独特どくとく台詞せりふまわしはもちろんだが、極端きょくたんえば左目ひだりめだけでえんじ、この物語ものがたり世界せかい成立せいりつさせているとっても過言かごんではない。我々われわれ観客かんきゃくはいつしか、綾野あやのときうれいをびた左目ひだりめなか主人公しゅじんこううご感情かんじょう混乱こんらんするあたまのう)のなかかれ記憶きおくしんやみることになる。冒頭ぼうとう綾野あやの進化しんか言及げんきゅうした所以ゆえんだ。

名越なごしにトレパネーションをほどこ研修けんしゅうを、成田なりたりょう綾野あやのけじとサイコにえんじたほか、映画えいがオリジナルの役柄やくがらなぞおんな”を岸井きしいゆきの、さらに石井いしい杏奈あんな内野うちのきよしといった個性こせい俳優はいゆうじん共演きょうえん。また、「ヤクザと家族かぞく The Family」につづき、常田つねだだいまれひきいる音楽おんがく集団しゅうだんmillennium paradeがげきちゅう音楽おんがくとメインテーマを担当たんとう清水しみず監督かんとくによる大胆だいたん独特どくとく映像えいぞう表現ひょうげん繊細せんさい心理しんり描写びょうしゃによる世界せかいかんいろどっているのもどころ、きどころとなっている。

ほんさく特異とくいなのは、「他人たにん深層しんそう心理しんりが、視覚しかくされてえる」というビジュアルてき面白おもしろさの表現ひょうげんおちいるのではなく、主人公しゅじんこう能力のうりょくによって、えているものがたして現実げんじつなのか、それとも覚醒かくせいしたのうによってつくされた虚構きょこう世界せかいなのか、社会しゃかい深部しんぶにまでするどみ、綾野あやのえんじる主人公しゅじんこう狂気きょうきとともに、人間にんげん正体しょうたいせまっていることだ。もの視点してん心理しんりによって、かたわる映画えいがかもしれない。

和田わだたかし

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