「「父親ちちおや力りょく」MAXな一本いっぽん」そして僕ぼくは途方とほうに暮くれる　talkieさんの映画えいがレビュー（感想かんそう・評価ひょうか）

<映画えいがのことば>
父親ちちおやとして、お前まえに言いっておく。
逃にげろ。逃にげろ。逃にげろ。逃にげ続つづけろ。
そうして、どうしようもなく怖こわくなったら、映画えいがの主人公しゅじんこうにでもなったつもりで、こう思おもうんだ。
「面白おもしろくなってきやがったぜ。」
これで、すべて解決かいけつする。

<映画えいがのことば>
やっぱり、お前まえは俺おれと違ちがうな。
全然ぜんぜん、面白おもしろくならなかったじゃねぇかよ。

人間にんげん、生いきていくためには、時ときには「逃にげる」ことも必要ひつようになることがあるのかも知しれませんけれども。
破綻はたんするたびに、それぞれの人間にんげん関係かんけいから逃にげて、逃にげて、逃にげまくってきた裕一ひろいちが、初はじめて（ようやく？）自分じぶんと向むき合あい、（これだけの人間にんげん関係かんけいの破綻はたんを経験けいけんして来きたのに）「何なにも変かわっていないんですよ、俺おれ。」と気きがついたことが、裕一ひろいちの最大さいだいの変化へんかだったのだろうと思おもいます。評論ひょうろん子こは。

そこまで来こられれば、大丈夫だいじょうぶでしょう。
現げんに、その後ごの裕一ひろいちは「最大さいだいの危機きき」も、ちゃんと乗のり越こえることが出来できていた訳わけですから。

そして、裕一ひろいちをそこまで「押おし戻もどした」のは、何なにと言いっても父親ちちおやの影響えいきょう力りょくを置おいて、他たにありません。
女子じょし力りょくならぬ、「父親ちちおや力りょく」MAXな一本いっぽんというべきでしょう。

佳作かさくだったと思おもいます。評論ひょうろん子こは。

（追記ついき）
たまたま同おなじ時期じきに観みた別べつ作品さくひん『ちひろさん』も、生いき様ざま（ざま）ということがテーマの作品さくひんでしたけれども。同どう作中さくちゅうのちひろさんのように「逃にげない」「運命うんめいに真正面ましょうめんから抗こう（あらが）う」という生いき方かたも一ひとつとすれば、本ほん作さくのように「逃にげる」ということも、それはそれで一ひとつの生いき方かたなのかも知しれないと思おもいます。評論ひょうろん子こは。
省かえりみて、二人ふたりの子供こどもたちから見みて、評論ひょうろん子こはどんな父親ちちおやだったでしょうか。
おそらく、その本心ほんしんを聞きく前まえに、評論ひょうろん子この柩ひつぎの蓋ぶたが閉とじられるとは思おもうのですけれども。
そんなことにも思おもいの至いたった作品さくひんになりました。

（追記ついき）
しかし、何なにですか、この映画えいがは。
本当ほんとうはコメディですか？
そういう前段ぜんだんの組立くみたても、本ほん作さくの「味あじわい」を、いっそう深ふかくしていたとも思おもいます。
学生がくせい演劇えんげきご出身しゅっしんの方ほうのようですけれども、こういう作風さくふうの監督かんとくさんなのでしょうか。
だったとしたら、「追おっかけ」をするのが楽たのしみな監督かんとくさんに、また新あたらしく出会であえたようにも思おもえて、嬉うれしい限かぎりです。評論ひょうろん子こには。

（追記ついき）
裕一ひろいちの郷里きょうりの「北海道ほっかいどう」って、苫小牧とまこまい市しのことだったのてすか。
シネマ・トーラスでのロケがあったのですね。本ほん作さくでは。
「王子おうじ総合そうごう病院びょういん」も、市内しないでは大おおきな病院びょういんのひとつです。
そして、王子製紙おうじせいしの煙突えんとつや、苫小牧とまこまい駅えきのコンコースも映うつっていました。
ちなみち、苫小牧とまこまい市しは評論ひょうろん子この地元じもとではないのですけれども。
それでも、同どう市内しないで別べつの集あつまりがあって、その機会きかいに月つきにいっぺんくらいは、ここシネマ・トーラスでも映画えいがを観みていることを、申もうし添そえておきたいと思おもいます。