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梅切らぬバカ インタビュー: 加賀まりこ&塚地武雅 自閉症の息子への愛「忠さんを好きになってほしい」 - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2021ねん11月12にち

  • 予告編よこくへん

うめらぬバカ : インタビュー

2021ねん11月12にち更新こうしん

加賀かがまりこ塚地つかじたけみやび 自閉症じへいしょう息子むすこへのあいただしさんをきになってほしい」

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加賀かがまりこが54ねんぶりに主演しゅえんつとめ、塚地つかじたけみやび親子おやこやくはつ共演きょうえんする映画えいがうめらぬバカ」が公開こうかいされた。自閉症じへいしょうかかえる息子むすことその母親ははおやをふたりが誠実せいじつえんじ、様々さまざま人間にんげん共存きょうぞんする社会しゃかいかたいかけながら、新鋭しんえい和島わしまかおり太郎たろう監督かんとく親子おやこきずなぬくえがいた良作りょうさくだ。母親ははおや珠子たまこえんじる加賀かが忠男ただおやく塚地つかじはなしいた。(取材しゅざいぶん編集へんしゅう撮影さつえい松蔭しょういん浩之ひろゆき

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――自閉症じへいしょう息子むすこ母親ははおやという役柄やくがら関係かんけいせいえんじるにあたってむずかしさはありませんでしたか?

加賀かが:もともとづかさんのファンでもあったから、った瞬間しゅんかんからもう息子むすこのようにていました。ただしさん(忠男ただお)にたいする愛情あいじょうは、特別とくべつやくづくりすることも、なんむずかしさもなく、自然しぜんえんじられました。

塚地つかじ親子おやこ関係かんけいせいでどうこうしよう、という相談そうだん一切いっさいしませんでしたね。

加賀かがわせもなく、テストしただけよね。おたがいうまくやろうなんていう、そういう精神せいしんっていないし、やってみればおたがかるものだから。そういう信頼しんらい関係かんけい最初さいしょからうまくいっていましたね。

でも、最初さいしょ本読ほんよみで、づかさんがちょっとくらいな?とおもったの。そうしたら、せんもん施設しせつ見学けんがくってかえってきたところだったようで。どうえんじるかかんがえられていたんじゃないかしら。心配しんぱいになったのはそのときくらい。あとは、わたし息子むすこおもいきりめたい、とおも場面ばめんがあって、きしめようとしたらづかさんがすごくおおきいので、うでまわらなくてちょっとびっくりしちゃったことが(笑)。まるでぶらがったっていうかんじになりましたね。

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――母親ははおや珠子たまこさんにとってはずっとちいさな息子むすこだけれど、他人たにんからたらただしさんはおおきなからだ大人おとな、という身体しんたいてき視覚しかくてき表現ひょうげんもこの映画えいが世界せかいかんあらわすので、おふたりは素敵すてきなキャスティングだとおもいました。長年ながねんだたる監督かんとくとのお仕事しごとつづけてきた加賀かがさんが、ほんさく出演しゅつえんのオファーをけた理由りゆうおしえてください。

加賀かが:たまたま、いの息子むすこ自閉症じへいしょうだったのでどうせっするかというのを、わたしはまあまあっているほうだとおもっていたし、文化庁ぶんかちょうがおかねしてわか監督かんとく輩出はいしゅつするための映画えいがだということもきました。でも、最初さいしょはえっ、こんな地味じみ題材だいざいをやるの? とおもいましたね。和島わしま監督かんとくはおわかいのに、あしがついているというか、チャラついていない。そこがこう印象いんしょうでした。

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――障害しょうがいかかえるほうえんじることについて、プレッシャーはありませんでしたか?

塚地つかじむずかしいテーマですし、たしてぼくがやっていいのか? とたくさんなやみました。おわら芸人げいにんでもあるので、どこかふざけているようにえてしまうかもしれないし。バラエティ番組ばんぐみているぼくているほうは、もと部分ぶぶんぼくのパーソナリティもある程度ていど、ごぞんじだったりするでしょうから、そのことがやくのマイナスになったりしないだろうか? とかんがえました。でも監督かんとく作品さくひんへのつよおもい、そしてぼくりたい、さらには母親ははおややく加賀かがさんだといて、ぼくでよければやらせていただきたいとおもったんです。とにかく真摯しんしえんじてようとおもいました。

加賀かが:ふざけてるってられるのが一番いちばん障害しょうがいってらっしゃるほう失礼しつれいだし、こちらも不愉快ふゆかいよね。でもづかさんは、そういうさいきわのところで、いや気持きもちにならない芝居しばいができる。もう天才てんさいよ。

塚地つかじ以前いぜん取材しゅざいしていただいた自閉症じへいしょうのおさんをほうが、自宅じたくでおさんと一緒いっしょにこの映画えいが試写ししゃをごらんになったそうで、「友達ともだちでもつけたかのように、ずっとてるのよ」とってくださって。一瞬いっしゅんでもそうおもってもらえたのがうれしくて、そのためにこの映画えいがやったのかなとおもえるほどでした。

加賀かが:それは素敵すてきはなしね。

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――おわら芸人げいにんだから……とおおせいますが、複数ふくすう映画えいがしょう受賞じゅしょうした「間宮まみや兄弟きょうだい」など、づかさんの俳優はいゆうとしての評価ひょうかたかいです。演技えんぎとバラエティの仕事しごと、それぞれちが感性かんせい使つかわれるとおもうのですが、どのようなえをなさっているのでしょうか?

塚地つかじやくづくりと、トーク番組ばんぐみはなすエピソードをさがすことなど、準備じゅんびする内容ないようはもちろんちがいます。でもじつけてはいないんです。よくかれるのでカッコいいことをいたいのですが、なににもわらないんです。こういったインタビューですら一緒いっしょです。

加賀かがわたしおなじ。バラエティにるのと、映画えいがやドラマの撮影さつえいおなじように準備じゅんびするわよね。現場げんばっていうスイッチがはいるのよ。でも、カメラのまえでいきなりニコニコできるって気持きもわるいでしょ。“現場げんば”っていうスイッチがはいらないとわたしたちだってできないのよ。

――ほんさくだけでなく、社会しゃかいてきなマイノリティの方々かたがたえが作品さくひんえて、共感きょうかん理解りかいふかまっていくのをかんじます。

加賀かがわたし今年ことしのパラリンピックに感動かんどうしました。こういった映画えいが参加さんかしたタイミングで、あんなに感動かんどうてき大会たいかいがあったのはとてもしあわせにおもいます。たましいやして、頑張がんばちからせていただいて、はなせませんでしたね。

塚地つかじ:メダルをられたのち選手せんしゅまわりのほうへの感謝かんしゃべられていて、感動かんどうしましたね。

加賀かが:ああいうかたち脚光きゃっこうびるとつね感謝かんしゃ気持きもちがさきるのでしょうね。とく芸能げいのうかいが……っていうタイプがおおいから、選手せんしゅたちを感激かんげきしました。

だから、この映画えいがてくださったほうみんながただしさんをきになってほしいんです。それが一番いちばんねがいで、うれしいことです。「このまち有名人ゆうめいじんになってほしい」というセリフもありますが、ちいさいコミュニティのなかかれ見守みまもってくれるじんがいさえすればいい、きっと珠子たまこさんはいなくねる、とふくくくってるとおもう。そういう気持きもちがすごくわかるの。

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――加賀かがさん自身じしんもこんなははでありたい、というおもいをたま子役こやく投影とうえいされたのでしょうか?

加賀かが:なかなかそういうふうになるのはむずかしいけれど、いの息子むすこには自分じぶんのできる範囲はんいせっしています。たとえば、絆創膏ばんそうこうなんはこけてあちこちにけたりすることもある。いはおこるんだけど、それはこだわりだし、たのしそうだから、わたしすみむまでやらせてあげたらいいんじゃない、とおもうの。おたが一緒いっしょにいるといろんなちがいがあるから。おかあさんになれるとはおもってないけれど、いろんなこまかいかさねやバランスが大事だいじなんでしょうね。

――この作品さくひんがきっかけで、加賀かがさんという女優じょゆう魅力みりょくあらたに発見はっけんするわか世代せだい観客かんきゃくおおいとおもいます。過去かこ出演しゅつえんさくではなにてほしいですか?

加賀かが:「麻雀まーじゃん放浪ほうろう」(84)ね。わたし和田わだまことさんとたくさん仕事しごとしたけれど、これは映画えいがとしても大好だいすき。いろんなおもがありすぎて。わたし真田さなだ広之ひろゆきくんにイカサマをおぼえろってなぐるシーンは13かいくらいなぐって、大変たいへんでした(笑)。おしえてくださるほうまえでイカサマをしてくださったんですが、全然ぜんぜんわからない。もう手品てじなのよう。あの映画えいがのいろんなシーンがきですね。

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――小栗おぐり康平やすひら監督かんとくの「どろかわ」(81)の加賀かがさんも印象いんしょうてきでした。

加賀かが:あれはじつはたった6あいだしか参加さんかしてないのよ。監督かんとくかんがいて、東宝とうほう撮影さつえいしょふねってきてくれて撮影さつえいしたの。だから実際じっさいにあのかわにはってないの。でもずっといるみたいでしょ。

――予算よさんめんなどきびしい状況じょうきょうもあるなかいまさくのようにわか監督かんとく良作りょうさくしています。今後こんご日本にっぽん映画えいがかい期待きたいしたいことはありますか?

加賀かが自然しぜん才能さいのうてくるとおもいます。ものつくひとたちの情熱じょうねつって、半端はんぱじゃないから。いまわかやつは……っていう発想はっそうまったくありません。おもいがけないことっていっぱいあるから。むかし篠田しのだ正浩まさひろさんや寺山てらやま修司しゅうじさんがてきたころも、いろいろわれていたけど、わたし小津おつさんがつくるのも、わかひとつくるものも、映画えいがすべおなじだとおもっています。とくに、わか監督かんとくがずっとじょ監督かんとくしながらつくった映画えいがってわたしきだな。小栗おぐりさんのときももっと協力きょうりょくしたかったけど、あのときはあれがせいいっぱいだった。でもそういうときしょうをもらっちゃったりするのよね。

塚地つかじ:この映画えいがのように、りたい題材だいざいがある監督かんとくれるようになってほしいですよね。漫画まんが原作げんさくやヒットさく量産りょうさんするんじゃなくて、りたいものへのこだわりがかるほうが、えんじるがわれますから。和島わしま監督かんとくも、まった妥協だきょうしないんです。

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――コロナウイルス感染かんせんしゃ減少げんしょう営業えいぎょう自粛じしゅく期間きかんわり、映画えいがかん通常つうじょう営業えいぎょうもどっています。是非ぜひ映画えいがかんていただき、いろんなことをかたってほしい映画えいがですね。

塚地つかじ映画えいがかんってまえたのしいですよね。服装ふくそうかんがえたり、いろんなドキドキワクワクがある。だれかと一緒いっしょって、映画えいがかったら「いやーかったね」ってはなせるし、わないなっておもっても、それはそれではなしのネタになりますから。

加賀かが:こんな時期じきだから、「オンライン試写ししゃでいいからて」って友人ゆうじんたち連絡れんらくしたら、半数はんすう以上いじょう映画えいがかんたいってわれました。どれだけオンラインが流行はやったところで、やっぱり映画えいがかんるのはちがうもの。映画えいがかん前後ぜんご時間じかんおもになるわよね。

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