BECKY ベッキー

13歳さいの少女しょうじょが過剰かじょう防衛ぼうえいはどうかなぁ？
しかもこれ、Ｒ指定していされているの？
そんなら、手塚てづか先生せんせいの『アトミック・ボーイ』も放映ほうえい出来できるよね。
いつも言いうけど、男おとこをバッタバッタとやっつけるなら、金的きんてき狙ねらい撃うちして、虚勢きょせいするとか。それで最後さいごは殺ころさない。その方ほうがかっこよくない？この映画えいがだと、カニバ◯ズムに繋つながりそうで。

どったんばったんは面白おもしろいけれど、ただエグくしているだけのシーンも多おおい。意外いがい性せいはあるが爽快そうかい感かんは無ない。
少女しょうじょが主役しゅやくのアクションはキックアスやハンナ等とうがあるが、それらに比くらべてバックボーンや展望てんぼうが浅あさい。
そして鍵かぎになる「鍵かぎ」が何なにのためのものなのか、まったく説明せつめいが無ない。ネオナチが追おっているが、マークは「ユグドラシルの木き」で北欧ほくおう神話しんわのもの。
それの正体しょうたいを明あかさないで終おわるので、正直しょうじきイライラする。
含ふくみを持もたせるように作つくっているが、そんな姑息こそくな工夫くふうよりも本編ほんぺんをしっかり面白おもしろくしてほしい。
この展開てんかいなら、鍵かぎが無なくったって面白おもしろくできるでしょう。ホームアローンを見習みならおう。

ちなみに最後さいごに「カナダの25セント硬貨こうかを追おって……」と言いっているのは、鍵かぎの代かわりに投なげてごまかしたコインのことですね。

ベッキー、最強さいきょうの悪運あくうんと圧倒的あっとうてき素質そしつだけで全すべてをねじ伏ふせてた
いいぞ、もっとやりなさい。

続編ぞくへんを待まってるよー♪^_^

必要ひつよう以上いじょうにバイオレンス描写びょうしゃを見みせる映画えいがはある。
「キック・アス」みたいに。

で本ほん作さく。
前半ぜんはんはそんな感かんじ。
違ちがうのはラスト。
主人公しゅじんこうと敵てきボスとの戦たたかいのシーン。

人質ひとじちになってた母子ぼしが逃にげ出だした＆敵てき大男おおおとこが戦線せんせん離脱りだつしたので、
「定番ていばん」な展開てんかいとしては、

ベッキーと敵てきボスが戦たたかう
負まけそうになった時とき、父親ちちおやの婚約こんやく者しゃが助たすけに来くる
それでも負まけそうになった時とき、敵てき大男おおおとこが助たすけに来きて、敵てきボスを倒たおす
警察けいさつが来くると、敵てき大男おおおとこを逃にがす
ベッキーと婚約こんやく者しゃは仲直なかなおりをする

という展開てんかい。

だが、本ほん作さくはあえてこの「定番ていばん」を覆くつがえしてみせる。

婚約こんやく者しゃは助たすけにこない＆仲直なかなおりしない
敵てき大男おおおとこを射殺しゃさつする

と。

これは、敵てき大男おおおとことの「俺おれと違ちがい、まだ引ひき返かえせる」という会話かいわが「伏線ふくせん」になっている。
つまり、「暴力ぼうりょく」という一線いっせんを超こえて「引ひき返かえせない領域りょういき」に来きた、ということ。
そしてそれはオープニングで示唆しさされている。
ベッキーと敵てきボスを対比たいひさせて描えがいている。
これはこの2人ふたりが表裏一体ひょうりいったいであることを示唆しさしたものだろう。

となれば、敵てきボスも敵てき大男おおおとこもベッキーが殺ころす必要ひつようがあったし、
婚約こんやく者しゃと仲直なかなおりする必要ひつようもない。
ラストのカウンセラーの「暴力ぼうりょく性せいが心配しんぱい」というのが「ネタバレ」だろう。

そういう意味いみで、単たんなるアクション、単たんなる過剰かじょうな暴力ぼうりょく表現ひょうげんの作品さくひんとは違ちがう、深ふかいテーマを持もつ作品さくひんである。