劇場げきじょう版ばん　転生てんせいしたらスライムだった件けん　紅蓮ぐれんの絆きずな編へん

一応いちおうテレビシリーズからの続つづきだが、独立どくりつした物語ものがたりとしてテレビシリーズ未見みけんの人ひとでも楽たのしめるように構成こうせいされている。本ほん作さくのドラマの中心ちゅうしんは、主人公しゅじんこうのリムルよりも映画えいがオリジナルキャラクターのヒイロやトワなので、それほど予備よび知識ちしきを必要ひつようとしないと思おもう。オーガ族ぞくがかつて村むらを滅ほろぼされて、少数しょうすうの生いき残のこりがリムルの元もとに集つどっているという点てんだけ知しっておけば多分たぶん大丈夫だいじょうぶ。物語ものがたりの構造こうぞうは極きわめて明快めいかいに勧善懲悪かんぜんちょうあくで、小国しょうこくを身みを犠牲ぎせいにして収おさめる女王じょおうがいて、それを陥おとしいれようと企たくらむ輩やからをリムルたちの介入かいにゅうで排除はいじょするというもの。その中なかでオーガの生いき残のこりたちの絆きずなが描えがかれる。悪わるい奴やつが倒たおされ、苦くるしんでいた人ひとが救すくわれ、仲間なかまが増ふえていく。複雑ふくざつな世よの中なかなので、これくらいシンプルな物語ものがたりはたまには良よいなと思おもう。
ちょっとそれでも考かんがえたくなるのは、スライムという存在そんざいの面白おもしろさ。なんにでも変型へんけいできて、性別せいべつ概念がいねんもない。何なんの属性ぞくせいもなかった状態じょうたいから始はじまるから、何なににでもなれる自由じゆうさがある。人間にんげんは生いきてるだけで属性ぞくせいが増ふえまくってしまう。人種じんしゅとか性別せいべつとか国籍こくせきとか社会しゃかい的てき地位ちいとか、そういうの全部ぜんぶ取とっ払ばらってしまったスライムという状態じょうたいは確たしかにちょっと羨うらやましいと、本ほん作さくを観みると思おもう。

本ほん作さくは、原作げんさくのタイトルに強烈きょうれつなインパクトがあり、タイトルだけは知しっていました。
マンガをベースにしたテレビアニメが第だい2期きまで放送ほうそうされていて、第だい3期きの製作せいさくも決きまっています。
本ほん作さくは、原作げんさく者しゃが原案げんあんを務つとめた❝その間あいだのオリジナル作品さくひん❞となっています。
そのため、本ほん作さくを完全かんぜんに楽たのしむのであればテレビアニメの第だい2期きまでを見みる必要ひつようがあるのかもしれませんが、私わたしは原作げんさくもアニメも一切いっさい知しらない状態じょうたいで見みてみました。
まず、劇場げきじょう版ばん「名めい探偵たんていコナン」のような設定せっていの紹介しょうかいなどなく、いきなり本題ほんだいから入はいります。
その意味いみでは、劇場げきじょう版ばん「鬼おに滅めつの刃は」のような感かんじでしょうか。
ただ、本ほん作さくは、単独たんどくでも成立せいりつするようにしたオリジナルストーリーなので、一見いっけんさんでも大丈夫だいじょうぶなようになっています。
キャラクターは「異い世界せかい」の設定せっていのため、面白おもしろそうな登場とうじょう人物じんぶつが多おおくなっています。
そのため、見みれば見みるほど背景はいけい等とうが分わかってきて楽たのしめると感かんじました。
主人公しゅじんこうリムルの魔ま国こく連邦れんぽう（テンペスト）は、テレビシリーズの関係かんけいもあってか割わりと「背景はいけいの作画さくが」は単純たんじゅん化かしていますが、本ほん作さくの舞台ぶたいとなるラージャ小しょう亜あ国こくの「背景はいけいの作画さくが」は、さすが劇場げきじょう版ばんだけあって緻密ちみつに描えがかれています。
また、アクションシーンが多おおいのも特徴とくちょうですが、絵えコンテがしっかりしているのか、割わりと凝こったエッジの効きいたカットが多おおく良よかったです。
物語ものがたりもユーモアを交まじえて進すすんでいき、必然ひつぜん性せいのある伏線ふくせんを作つくり、上手うまく回収かいしゅうされています。
登場とうじょう人物じんぶつの背景はいけい等とうの要素ようそが多おおいため、1度目どめよりも2度目どめの方ほうが世界せかい観かんに入はいり込こめ楽たのしめると思おもいます。原作げんさくの人気にんきの高たかさも納得なっとくです。