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月の満ち欠け : 映画評論・批評 - 映画.com

劇場げきじょう公開こうかい 2022ねん12月2にち

つきけ : 映画えいが評論ひょうろん批評ひひょう

2022ねん11月29にち更新こうしん

2022ねん12月2にちよりまるうちピカデリーほかにてロードショー

大泉おおいずみひろし“27ねんえんけ”がお見事みごと! 目黒めぐろれんは「たたずまいがいい」にふかうなず

うごとにち、ある瞬間しゅんかんからけ、いちえるものの、ふたた姿すがたあらわす。わたしたちの頭上ずじょうかんでいるつきのことだ。小説しょうせつ佐藤さとう正午しょうごは、この様子ようすを“まれわり”にリンクさせ、数奇すうき壮大そうだいなラブストーリーを完成かんせいさせた。直木賞なおきしょう受賞じゅしょうさく映画えいがというにんけたのは、廣木ひろき隆一りゅういち監督かんとく複雑ふくざつんだ原作げんさくのストーリー・相関そうかん関係かんけいを、たくみにさばききったという印象いんしょうだ。

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物語ものがたりは「現代げんだいあいする妻子さいし同時どうじうしなってしまったおとこ小山内おさないけん」「27ねんまえ:ある女性じょせいゆるされざるこいをしたおとこ三角みすみ哲彦てつひこ」という2人ふたりおとこじくすすんでいく。キーとなるのが「瑠璃るり玻璃はりらせばひかる」という言葉ことば無関係むかんけいだった小山内おさない三角さんかく人生じんせいが“瑠璃るり”という女性じょせい存在そんざい交錯こうさくしていくさまがえがかれている。

廣木ひろき監督かんとくはつタッグとなった大泉おおいずみひろしは、小山内おさないやくとして“27ねん”という歳月さいげつけた。時代じだいごとのえんけは流石さすが一言ひとこと。28さい、36さい、47さい、55さい……ハツラツとした幸福こうふくなひとときをて、しんきずい、いと哀愁あいしゅうかんじさせるまでにいたる。

もっともシンパシーをかんじてしまったのが、大泉おおいずみ好演こうえんひかる、この小山こやまないだ。かれは“まれわり”をしんじてはいない。その姿勢しせい容易よういくずれず、事実じじつであれば“残酷ざんこくなことでもある”ともいてみせる。なやみ、らぎ、戸惑とまどったすえ辿たどいた小山内おさない表情ひょうじょうが、感情かんじょうおおきくさぶるはずだ。

三角みすみ哲彦てつひこやくの「Snow Man」目黒めぐろれんは、なぞ女性じょせい正木まさき瑠璃るりやく有村ありむらじゅんこい物語ものがたりいどんだ。はつ映画えいが単独たんどく出演しゅつえんとはおもえないほど、三角さんかくというおとこ人生じんせいいていたようにかんじる。廣木ひろき監督かんとくの「たたずまいのいい役者やくしゃさん」という発言はつげんにはふかうなずいた。注視ちゅうししてしまったのは、目黒めぐろの“つ”芝居しばいおもひとつづける。たとえまえからえようとも――この素地そじがあるからこそ、小山内おさない対峙たいじするシーンがえるのだろう。

ほんさくは「えていったもの」と「からのこされたもの」から形成けいせいされた物語ものがたりっていいのかもしれない。「からのこされたもの」として重要じゅうようなポジションをきずいているのが、田中たなかけいだ。これまで好人物こうじんぶつ狂気きょうきひともしっかりと自分じぶんのものとしてきた田中たなかだが、今回こんかい後者こうしゃ真価しんか発揮はっき物語ものがたりの“はし”ともなる存在そんざいだが、終始しゅうしおそろしい。是非ぜひ注目ちゅうもくを。

岡田おかだひろし

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